第八百七十七話
運命派は個人主義。とミーシェは言ったが、そこに事実と異なる部分はない。
基本的に神祖は一人ですべてできるのだ。まあ、一部ポンコツも混じっているが、少なくとも生活面において不備はない。
しかし、圧倒的に数が少ないことも事実である。
そのため、誰かに頼られたら何となく話をしようと思うものなのだ。
同じ派閥に属していればなおさらである。
「パライド!助けてくれ!」
「なんですか。そんなあなたらしい叫び声を出して」
「私らしいとは何だ!」
というわけで、フォルノスは寄生神祖パライドのところに行っていた。
どこの世界にあるのかもよくわからない喫茶店であり、そこでスーツを着て新聞を読んでいるパライド。
フォルノスが突入してきて、とりあえずマスターに奥の個室を使わせてもらえるように話した次第である。
「はあ、神祖になる前からあなたは変わりませんね。それで、選挙に勝ちたいから知恵を貸してほしいと?」
「そういうことだ。で、なんで知ってるんだ?」
「決まっているでしょう。監視用の寄生モンスターを放っているからです」
「ほう……誰に引っ付いてるんだ?」
「朝森椿。ご存じでしょう」
椿は様々なことに対してストレスを感じない性格である。
もしかしたら気がついているかもしれないが、それはパライドにとってもどうでもいいことだ。
「まあ、当然だな」
「取りつかせたらなんだか私のいうことを聞いてくれなくなりましたがね。その寄生虫」
「あれ、お前の寄生モンスターが効かない奴っているのか?」
「ええ、寄生の構造上、効かない場合はありますよ」
「ほー……」
「メカニズムの説明はかなり長くなるので結論から言いますが、両親ともに神器使いの場合、私の寄生は一切通用しません」
「なるほど……んなことはどうでもいいんだよ!何か案はないか?このままだと、私は初の神祖として生徒会長に立候補して惨敗した男になってしまう!」
「……」
パライドとしては呆れしかない。
「いまやっている公約をやめればいいでしょう」
「だが、いまから公約をやめるのもなぁ……」
「なら、両方やればいいではありませんか」
「両方?」
「ええ。あなたの公約と、国枝という生徒の公約を両方やればいいのです。資金面で言えば可能でしょう」
「なるほど、わかった!それをもとに計画を立ててくる!」
拠点から去っていくフォルノス。
「……資金面では問題ないと言いましたが、実際に運用するとしてどうするつもりなんでしょうね」
パライドはため息をはいた。
沖野宮高校はキャッシュレスが進んでいるため、基本的に換金した場合は口座振込だ。
データの中で数字が動くだけなので、システムを一度組み上げれば編集も容易である。
国枝の公約は、専門のプログラムを外部に発注するだけでいい。
一律で換金額を上げるというのはそういうことだ。
だが、チームの定義から始めなければならないフォルノスはそもそも面倒だろう。
「近いうちにまた泣きついて来そうですね。まあ、それもいつものことですか」
パライドはそういってまたため息をつく。
フォルノスのことは嫌いだとは思っていないが面倒だとは思っているようだ。
当然である。




