第八百五十七話
というわけで、天界に向かった秀星。
地球の指定ポイントで貰った通行証を手にラターグの屋敷に向かう。
そして、門番に見せた。
すごい人間に寄せているが、人ではなく人間くらいの大きさの人工物、ヒューマノイドと呼ばれるものだろう。
通行証を手渡してみると、ジーッと見たあと頷いた。
「スキャンを完了。正式な通行証です」
「中にいるラターグに会いたいんだが、どこにいるかわかるか?」
「あの粗大ゴミなら……」
「ちょっとタンマ。え、あいつ、門番に粗大ゴミって言われてるの?」
「私を製造したメーカーの本音です」
「そうか……まあ粗大ゴミ程度の存在だったらまだ楽だよな」
「この屋敷のメイド長は正式な書類に『無価値な腐敗ゴミ』と記載していますからね」
「遠慮がなさすぎる……」
そしてそれで通じてしまうのがまたアレだが、こればかりはもうどうしようもない。
今更ラターグが改心することもないだろうし。
「さて、話を戻しますが、あの粗大ゴミは屋敷に正面から入ってすぐ近くにある階段から地下に降りてすぐの執務室にいるようです」
「……二人称へのツッコミはおいておくとして、出入り口に近いところにいるんだな」
「以前はこの門をくぐってすぐ左に木造平屋の豆腐ハウスを作って生活していた」
「……なるほど。とりあえず、俺は会いに行ってくるよ」
「うむ」
門番から通行証を返してもらって、秀星は門をくぐった。
そして屋敷の正面から入って行って、そのまま地下に移動する。
すぐそばには『粗大ごみ執務室』と書かれている。
「……」
秀星は絶句したが、ノックする。
「ラターグ。俺だ」
「おお、秀星君だね!入ってくれ!」
ラターグの元気そうな声が聞こえてきたので、中に入る。
そこでは……ラターグがものすごい勢いで枕を作っていた。
「……」
「秀星君。そんな顔をするのはやめてくれよ。一緒にプレゼントを作ってくれ」
「それはいいんだが……具体的に何を作ればいいんだ?」
「この紙を見てくれ。とりあえずプレゼントの規定が書かれているんだ。この通りに作る限り、問題はないよ」
「……きっちり明文化しているとは思わなかった」
「こういうマニュアルは一度作っておけば楽だからね」
「マニュアルをしっかり守っていればの話だがな」
「確かに」
というわけで、秀星もプレゼントの作成を開始した。
規定は思ったよりシンプル、かつきっちりしている。
特にプレゼントという関係上、箱に入らなければならないので、その大きさという絶対的な制限はあるが、そのほかはかなり緩い。
「ところで、秀星君は大量のプレゼントを作るとか、デザイン的に大丈夫?」
「やったことがあるから大丈夫だ」
「なるほど」
で、大量に、かつ多種多様、かつラターグよりも圧倒的な速度でプレゼントを作っていく秀星。
「……まさか。枕を作っている僕よりもスピードが速いとは……」
「フフフ。こういう小さなものをたくさん作るのは慣れてるからな……で、このプレゼント。天界にいる人間に配るみたいだが……最終的にどれくらいの数になるんだ?」
「うーん……今までにいろんな次元で死んだ人間と同じくらいだからなぁ……」
「多すぎだろ」
「そんなもんです」
「……」
わかってはいたことだが、圧倒的である。
「そういえば、この部屋のプレートにすごいことが書かれてたが……」
「え、そうなの?この部屋ね。あの本棚の裏から僕の豆腐ハウスに直行できる地下通路に入れるから、そっちのドアから入ったことがないんだよね」
「そうか……」
要するに知らないようだ。
「秀星君。あまりしゃべっている時間はないよ。もっとスピード上げてね」
「……そうだな」
言っていることは間違っていない。
そこからは終始無言で作り続ける。
ドアから職員が入ってきて、次々と二人で作ったプレゼント(包装まで仕上げている)を運び出していく。
(あー面倒……)




