第八百四十八話
高志は『このまま椿が秀星を押し切る』などを言うことは微塵も考えていない。
基本的に秀星はチートキャラなので、一人の人間が単純に攻めたところで解決しないことは目に見えている。
さすがに爆撃されているという現状では、来る者だって来ない。
それだけなら椿がいずれ秀星に爆弾を当ててどうにか秀星を追い出して、そのまま通常の状態に戻るだろう。
エリクサーブラッドを持つ秀星につかれるという概念はないので、秀星が途中で飽きた場合だけだが、いずれにせよ『終わりがない』ということはない。
ただ問題なのは、そもそもイベントそのものがあと三十分もないということだ。
クリスマスイブに四時間という時間で用意されたイベントだが、ここまでいろいろ暴れてきた結果、もうすでにそこまで時間はない。
結果的に、もうすでに終了モードにほとんどの参加者がなっているのだ。
高志と来夏が酒盛りをはじめて、積極的に自分が倒せるモンスターを倒していた沙耶でさえモンスターを討伐するのをやめて酒盛りに参加しているのはそういう理由である。
秀星がいるとお互いに倒してもスコアを手に入れることはできない。
だが、スコアを手に入れることができないといっても、そもそもこのイベントに呼ばれた中で強い連中はすでにアイテムを揃えているし、大量にスコアをまだ持っているのだ。
そもそも一位の景品にすら興味がないということで、イベント中の方がまだいいものが手に入るという状態。
そこから先で手に入るクーポン券で何がもらえるのかを示されていれば、やる気になったメンバーが一部いるかもしれないが、そもそも参加者の中で強いメンバーは魔法省に対する期待が薄い。ここから本気になるというのはほぼ不可能である。
それらの情報をまとめていけば、結論から言って『参加者としてはどうでもいい』のだ。
負けたとしてもデスペナルティはない。
あえて言えば、そこを弄らなかった魔法省が悪いだろう。
まあ、デスペナルティアリだとそれはそれで問題が発生しそうだが、この手のゲームには必要だったようだ。
まあ初回なのでこんなものだが、正直。もっとやりようはあっただろう。
ちなみに、逃げ回っている秀星だが、弾道から椿がどこにいるのかに関してはすでに分かっている。
やろうと思えばいつでも狙いに行って倒せるだろう。
それをしないのは、なんとなく椿を倒そうとは思っていないのか、逃げるしかないことに新鮮さを感じているか。そのどれかだと思われる。
結局、椿以外、このイベントに真面目に参加しているものがいないのだ。
まあこれでは盛り上がりませんね。うん。




