第八百四話
どうやら招待状を貰っているものは思ったよりも多いらしい。
まず、剣の精鋭メンバーは全員貰っているし、高志に確認したところ、どうやらユニハーズメンバーももらっているそうだ。
なんだか知る範囲でかなりいる『強者』がかなり選ばれているようにも見えるのだが、おそらく狙っているだろう。
ただ、あまりにも多すぎるので、トーナメント形式のバトルはほぼなくなったといっていい。
あまりにも多すぎて面倒になるし……とても一方的な戦いになるパターンが多そうだ。
ただし、『開催そのものがクリスマスイブ』と言っていたので、あらかじめ撮っておいて編集するわけではない。
生放送でもしっかり映える内容にしつつ、大人数が集まるとなると、狭い空間での大乱闘になる可能性が高いのだ。
そうでなければ、『魔戦士』を集める理由がない。
「……俺が安全管理委員会だもんな。本当にやばい乱闘になる可能性は高いんだよなぁ」
魔法省の公式ページを見ると、『世界一位』という項目には全て秀星の名前が書かれている。
そんな秀星を戦う場所ではなく、『安全管理』という場所に押し込めるとなると、『想定される被害の上限』がとても高い。
「そのあたりはオレたちが考えるようなことじゃねえだろ」
「まあそれはそうだけど……」
現在、来夏と二人でキャンピングカーの中で話しているわけだが、来夏としては別に気にするようなことではないらしい。
秀星が安全管理をする以上、最初のクリスマスイブから惨劇が起こるということはないだろう。
むしろそれを避けること以外に、安全管理の席に秀星を据える意味はない。
基本的にセフィアに任せておけば問題はないはずなのだが……。
「アトムが何を考えてるのか知らねえけど、オレたちにできるのは楽しむことだけだぜ」
「……まあ、いろいろツッコみどころはあるが、とりあえず思ってるのは……一応『安全管理』だっていうのに、いまだに詳しい話が来ないんだけど……」
当然のことだが、安全管理ということは、それだけ危険になるケースというものが『想定』されているということだ。
その想定されているはずのケースの説明すらないというのは一体どういうことなのだろう。
「……秀星に何とかしてもらう気、本当にあんのかね?」
「俺が参加側になったら何か悪いことでもあるのか?……招待状を貰ったメンバーも何をするのか聞いてないんだろ?」
「みたいだな。まあ、本当に準備がモノを言うメンバーに関しては小さく伝えられてる可能性もあるだろうけど、それは特殊なケースであって、オレには関係ねえし」
とっても面倒な話である。
「父さんに聞いても何も聞かされてないって言われたみたいなんだよなぁ……いったいどこに放り込まれるんだろうか」
「ダンジョンに放り込まれるわけじゃなさそうだな。招待状を貰ったメンバーの情報をオレも集めてるけど、属性的にダンジョンが合わない奴もいれば、ダンジョンじゃないとどうにもならない奴もいたぜ。ダンジョンにも放り込まれるんじゃないか?」
「わからんな……」
悩む秀星と来夏だが、こうして悩んでいる魔戦士は現在多い。
招待状を渡すわりに、そこで何を行うのかという情報が徹底的に規制されている。
そんな状況では、『どれくらい本気になるか』も分かれるだろう。
イベントで戦績を残せば何らかの報酬は発生するはず。
しかし、どれほどの人数に対して報酬が用意されているのかもわからない。
そして、主催しているのは魔法省の中でも最強と呼ばれる青年。頤核だ。
正直……『嫌な予感がする』のである。
「そろそろわかると思うか?」
「そろそろかなぁ……だって、もう十日もないぞ」
カレンダーを見る。
十二月十九日だ。
さすがにここで分からなかったら性格が悪すぎる。
「まあ、いいじゃねえか。結局、楽しんだ奴が勝てるんだからよ」
「……」
参加側でなんだか高い成績を残しそうなやつがとても楽しそうな様子だ。
確かにそういわれてしまっては納得するしかない。
……面倒な話だ。
そして安全管理の席に座らなければならない秀星の胃にはダメージが入り続けるのである。
予想する方も大変なのだ。




