第千十七話
『ぐっ。ぬう……難しい~~~っ!』
グレイはパソコンの前で叫んでいた。
なお、彼はパソコンを自作したが、彼のフォルムは手足が短く、胴体が長い。
で、この大きさのドラゴンが本来の大きさの電子機器を使うと絵面的にやばいモノがあるので、彼専用のキーボードとマウスを作っている。
ものすごく大きなキーボードとマウス、そしてディスプレイになっているが、これらは全て『魔石発電』と呼ばれる発電方法で電力を供給している。具体的にどんな発電方法なのかは割愛。
でまぁ、それでネットゲームで遊んでいたのだが、叫んでいた。
清磨を圧倒したグレイだが、彼が作った会社のゲームは難しいらしい。
『廃課金で手に入れた装備でも全然勝てんぞ!いったいどういう防御力をしているのだ!』
どうやらRPGをやっていたようだ。
そして画面を見る限り、アクションではなくターン性のバトルのようだ。さすがになれてないのでガチアクションに挑む勇気はグレイにはないらしい。
画面の下側には四人分のキャラのHPやMPとかの表示が並んでおり、HPは尽きている。
戦略を練ってキャラの行動を選択してボスモンスターに挑んでいたが、どうやらダメージが全然通らずに『うがああああっ!』となっているらしい。
『バランスがおかしいだろう。圧倒的に固い装甲に、全属性の範囲攻撃を連発してきて、しかもやたら高度なAIが搭載されていてこっちの戦略を読んでくるし、ふざけているのか!』
ゲーマードラゴンに言うのもあれだが、自分のことを棚に上げている。
『むうう……しかもこれでまだまだ形態を残しているだと?クッソオオオオ!』
ここまでくると清磨たちからの当てつけのような話である。
まあ、だからこそグレイ自身がコイツに挑もうとしているという可能性もあるが。
『ぐうぅ……やたら時間がかかるが、とあるクエストをクリアすれば、強力なアイテムを作成できる素材が手に入るが……あいつらが定期的に挑んでくることを考えるとなぁ』
そういうグレイだが、正直、普段はラスボス業務しかやっていない暇ドラゴンである彼がここまで『時間で悩んでいる』となると、もうそれはニートでなければクリアできないようなゲームではないのだろうか。
『時間制限がキツイな。三日後までしかこのクエストはやってないし』
ぐぬぬ、と唸るグレイ。
『……はぁ、仕方がない。ものすごく高いが期間限定パックを購入するか』
ポチポチと課金ページに移動して一万円を投入するグレイ。
中にはガチャの挑戦チケットが入っており、これを使うことで、先ほどグレイが愚痴った『素材アイテム』を購入できるのだ!
『よし……とりあえず開けるか』
……で、普通に当たらなかった。
『むぐううっ!ならば、百連に挑んでやるわ!』
百万円を投入。挑戦チケットは百枚獲得。
『よし、百連続モードで……よし、こいっ!素材アイテムは三個あれば装備を作れる。そして装備が一つあれば十分だ!三個こい!三個こい!』
で、百個もらえた。
『こんなに要らねえええ~~~っ!ていうか、悪意を感じるうううう~~~っ!』
絶叫するグレイ。
このゲームは手に入れたアイテムを他のプレイヤーに売却不可なのだ。
一応『分解』みたいなことは可能なので、このあたったアイテムを汎用性の高いアイテムに変更することはできるのだが、だからと言って百個も欲しいわけではない。
『クッソ!なんなのだこのゲームは、クッソ!こうなれば全員に装備させてボスをフルボッコにしてやるわ!』
早速『錬金』とか『合成』とかが書かれているページに飛ばして、装備を何個も何個も作るグレイ。
自棄になっているのはグレイ自身も分かっていると思うが、これはそういう問題ではないのだろう。本人にとっては。
『フハハハハッ!さあぶっ倒してやるぞこのクソボスめ!これが課金の力だあああ~~~っ!』
まあグレイが自分で稼いだ金なので別に使い方に文句を言うつもりはないが……。
そのぶっ倒されまくっているボス。未来のグレイの姿ではないよな。と、ツッコミを入れたくなる清磨たちであった(プレイヤーネームがまんま『グレイ』だったので早期発見しました)。




