第千十五話
「的矢先輩。ちょっと、ラスボスのドラゴンを倒せそうな人材を集めたいんですけど、誰か頼めそうな人っていますか?」
「……」
あれから全員で突撃したようだ。
そして完璧に一網打尽にされたようで、『あっかーん!』となった清磨は的矢のところに直行した。
『歯車相関図』という、人間の人脈と、それを裏付ける力の関連性すら判別できるスキルを持っているため、『可能性がありそうな人』に繋がりたい場合、彼に頼むのは確かに間違っていない。
「……早速だな。君たち」
清磨と敦美の二人で的矢に接触しているわけだが、的矢としては、来るとしてももうちょっと後だと思っていた。
「先輩ならいろいろと、実力的な関係とか、誰と誰が組んだら『かみ合うのか』が分かると思いまして」
「……」
的矢は確かに、『黄金竜王を介した実力的な力関係』は見えている。
清磨の思想はともかく、後輩に過ぎないし、清磨は自信家だが別に礼節というものがないわけではない。
そのため、どんなことがあっても黙っている。などと言うほど的矢も意地悪な性格ではない。
ただ、的矢もそのドラゴンの情報をセフィコットから買っているのだ。
そのうえで判断するが……。
「正直、パワーバランスがなぁ」
「ん?」
「結論から言うと、あのドラゴンを倒せる生徒はこの学校には何人かいる」
「えっ……」
「ただ、その生徒たちは一人で倒せるほどの実力者だ。具体的に言えば、彼らが君たちのチームに参加するとなると、逆に君たちが要らなくなる」
「……ちょっと、実力に格差がありすぎません?」
「この学校はそんな感じだ。天窓学園の方も格差はあるが、こっちよりはまだいい方だ。まあ、天窓学園だと、君が考えているようなことはできなかったと思うけどね」
「……」
清磨の表情はそれを超えて、『そもそも学校に行く意味がない』とでも言いたそうだ。
だってめっちゃ稼げてるからね。
義務教育が終わったら本来は学校になんて行く必要なんてない。
「やっぱり、自分たちでやる方が手っ取り早いか?」
「ああ。ただ、ボス部屋の中に拠点を作ってそこを指令室にするくらいの連携が取れないと、おそらく君たちでは勝てないと思うが」
「ボス部屋に指令室を作るのですか?」
「鑑定や予測といった分野は、やはりその場でやるのが一番情報を獲得しやすい。本来ならこんな無謀で使いこなせないようなことは言わないが、君たちは数が多いし。頑丈な拠点が作れるのなら、そこから援護射撃だってやりたい放題だろう。まあ、少し気を抜くとあのドラゴンに粉々にされるけどね」
「だよなぁ……で、敦美。どうする?」
「ふむ……一応、考えてみましょう」
というわけで、プランを変えて攻めることにしたようだ。
学校内の格差が酷いのも問題だが、秀星がいるから仕方ないね。




