第千十三話
清磨が会長を務める時島グループに、新しい会議室ができた。
その名も、『黄金竜王討伐会議室』である。
時島グループは清磨のスキルの影響で質の高い人材がそろっている。
基本的には、魔戦士組が素材を獲得し、それを清磨がいる場所に輸送。
清磨が全ての素材にスキルを使って質を高める。
あとは営業組がそれらを販売。
こんな流れなのだが、人数がそれ相応にいるので思ったよりも研究室や会議室が存在するのだ。
その中で様々なことが行われており、研究器具などでも必要があれば清磨のスキルを使う。
戦闘センスにおいては、秀星が『基本的に三十秒以内に壊滅』と設定して作った黄金竜王に対して戦いを挑むほどなので高いのだが、こうした専用の会議室を設けていないとどうしようもないのだ。
もちろん、会議室の存在に関係なく、清磨自身もごちゃごちゃ考えている。
黄金竜王グレイ・リーサルドーラ
このモンスターの情報をセフィコットから買えないか。ということはかなり重要だ。
というか、あのドラゴンの名前がこんなかっこいい名前だったということを知ったのがセフィコットから情報を買ったからである。
「あのドラゴンの情報、めちゃくちゃ高いな」
清磨はいつも通り、沖野宮高校の屋上のベンチで敦美の膝枕でいろいろ愚痴っていた。
「そもそも買おうという生徒の方が少ないはずですが……」
「挑戦するやつがほぼいない『究極の暇竜』だもんな」
「字面が……」
事実とはいえあんまりな言い方である。
「で、とりあえずある程度予算つけてポイントも敦美に渡したけどさ。何かわかったことってある?」
「清磨様は基本的に、あのドラゴンからブレス、尻尾、魔法の三種で攻撃してきたとのことですが、情報からすると、あのドラゴンが真面目に戦う場合、どれか一つに絞って戦うようです」
「てことは?」
「三種類を組み合わせていたということは、遊んでいたということですよ」
「マジかぁ~」
えーうそぉ。といった様子でぐったりしている清磨。
それ相応にまじめに戦っていた清磨だが、ドラゴンからすればまだまだ遊びだったらしい。
「それから、あのドラゴンの名前の正式名称がわかりました」
「正式名称?」
「はい。こちらになります」
タブレットを見せる敦美。
そこには、ドラゴンの姿や推定される攻撃力などの情報がいろいろあるが、その上には名前があった。
黄金竜王グレイ・リーサルドーラ(第一形態)
「ラスボスか!」
「ラスボスですからね」
まさかの第一形態!
何段階まであるのか知らないけど、最終的にどうなるのだろうか。
「あー。めんどくさ。 第一形態を倒した段階では何ももらえないんだろ?」
「はい。最終形態まで倒さなければ報酬は発生しません。一応称号はもらえますよ」
「いらねぇ……てか何段階かあるの?」
「第二形態でも基本的にドラゴンですが、蛇になったり兎になったりするようです」
というか、ウサギとドラゴンと蛇ってなんかどこぞの特撮ヒーローのようだ。どうでもいいけど。
「何干支でウロウロしてんねん。って兎!?ラスボスの形態としてそれってありか!?」
「第三形態では一度人間形態になります」
「なんでや」
「そして最終的に……」
「最終的に?」
「人間形態のままです」
「竜の要素消し飛んでるやん」
「ちなみに、全滅したらすべて最初からやり直しです」
「ダルい……」
聞けば聞くほどいい情報がない。
ナンテコッタ。
「秀星先輩はなんであんな風に作ったんだろ」
「それはわかりません。というより、クリア不可能なものを学生しか挑まないダンジョンで配置するということそのものに意味などあるのでしょうか。私はないと思いますが」
「だよなぁ……」
というか、いったい誰なら攻略できるのだろうか。そもそも行くのだってダルいのに。
「まあ、今のところ、俺たちが挑みたいのはあのドラゴンくらいだし、とりあえず全力でやってみるしかないか」
「そうですね。ポイントチケットの獲得を早く進めたい今、挑むべきはあのドラゴンです。コストはそれ相応にかかりますが、この学校でしか手に入らないセフィコットからのサービスを受けるためには必要ですからね」
「そんじゃ、ちょっと気合入れますか!」
「はい」
打倒ドラゴン。
これは頑張らない理由はない。
性能は理不尽だが、そもそも本気でぶち当たれる敵を求めていた頃だ。
そういうのがいた方がやる気が出ます。




