第千七話
「敦美。どうしよう。星乃に聞いても効率的な稼ぎ方を知らないって言われたんだけど」
「私が朝森星乃の立場であれば、知っていても言わないと思いますが」
「いやまぁ。それはそうなんだけどな」
近道したいお年頃。
清磨はストレートに星乃に聞いたが、結局教えてくれなかった。
確かに仲良くしておいた方がいいとはお互いに感じたり事情があったりするが、それとこれとは話は別ということなのだろう。
「いろいろ可能性は考えられるんだけどけなぁ。そもそも未来にはポイントチケットのシステムが撤廃されてる可能性だってあるんだし」
「そうですね」
まあ、無くなるかどうかは時島グループがどれくらい本気を出すのかによる部分がありそうだ。
そして未来に存在しない場合、星乃だって稼ぎ方は分からないだろう。
元々、バトルロイヤルなどのゲーム環境に置いて複雑性と多様性を確保するために作られたシステムである。
日常的に反映させるという目的で本来は存在しないのである。
事実。バトルロイヤルが行われる場合、ゲーム内で使えるポイントはゲーム中に手に入れたものだけというルールが採用される。
いろいろな意味で『別』という扱い方があるのだろう。
「はぁ。別に大量にばらまいてもいいじゃねえか。だって、セフィコットに頼んで『処理できないから順番待ち』なんてことにはならないんだろ?」
「そうですね」
需要はたくさんあるだろう。
ただ、学生レベルでセフィコットに注文することなど、セフィアがかかわることで供給能力はほぼ無限と言っていい状態なのだ。
需要と供給の曲線グラフで値段は変動するというが。供給側が無限なのである。
言い換えれば、セフィコットに対して何らかの制約を設けている秀星のさじ加減ということなのだ。
それを基に料金を設定しているからこそ、『流通するチケットは過剰にならない方がいい』ということなのだろう。
「はぁ。新規参入がつらいな……」
全体数が決まっていることによる希少性の確保というのはあまり好きではない。
鉱石そのものならともかく金なんだし、もうちょっと増えてもいいじゃん。
……と思うわけだが、朝森秀星にとってはそうでもないらしい。
「はぁ。まずは地道にか……なんか大量にチケットが手に入るイベントってねえかな」
「去年はバトルロイヤルが多数行われたそうですが、あれは魔法省が魔戦士学校の生徒の現状を把握するために行っていたものですから、今年は行われても一回か二回くらいでしょうね」
「それだよ。ていうか、それでチケットを大量に手にいれた連中がずっと抱え込んでるんじゃねえのか?」
「それは考えられますが……セフィコットと交渉した結果、今のペースでチケットを稼いでいれば、そう時間はかからないうちにかなりのシステムを構築できますよ」
「え?」
「上限があるということは、それに応じて物価も抑えられているということなので」
「そりゃそうだわ……」
完全に失念していた清磨。
会長にあるまじきことだが、時島グループにおいて彼は売るための物を調達する係であり、しかも潜る先がすべてダンジョンなので、現実の物流はあまり活動に影響しないのである。
……要するに、それらを実際に売って利益を出す際の交渉のリーダーは敦美なのだ。清磨がめんどくさがったのだろう。会長にあるまじきことであることに変わりはない。
「しかたがない。地道に積み重ねたものが勝ちか……」
「あとは、ポイントチケットでの支払いに限定し、時島グループで何かしらの販売をすることも可能でしょう」
「そっちのほうが俺たちらしいか?」
「人数も連携も十分ですからね。この学校は周囲にいろいろ売られていますが、敷地内には購買部がありませんから」
「だよな。食堂すらないのは驚いた。まあ授業が午前中しかないから、午後は学校の外で何か買えばいい話だけど……」
「では、学生レベルで何を販売するのか決めましょう」
「そうしますか……敦美。指揮は任せる」
「かしこまりました」
ザ・丸投げである。




