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そのあまりにも可愛らしい奈津の愛車に乗るのに
弘毅は戸惑った。
「どうしたの? さあ、行くわよ!……」
道路の方に廻った奈津は弘毅にそう言うと
さっさと自分の車に乗り込み、車のエンジンをかけた。
「ま、待ってください!・・・・」
弘毅は慌てて、奈津の車に乗り込んだ。
「しゅ、出発!……」
奈津は弘毅が車に乗り込んだのを確認すると
ゆっくりと車を発進させた。
久しぶりに車を運転するのか、奈津は身体を
ガチガチに緊張させ、運転に集中していた。
不安になった弘毅は
「だ、大丈夫?……」
ガチガチに緊張して、運転している奈津を見ながら、
奈津にそう話しかけた。
「……え? なに?……」
奈津は運転に集中したまま、弘毅に聞き返した。
「何でもない……」
弘毅は奈津から顔を逸らすと前を見据えたまま、
身体をガチガチに緊張させた。
高速道路に乗り、少し運転にも余裕が出てきた奈津は
「ねぇ。さっき、何か言わなかった?……」
弘毅にふいに訊いてきた。
「うんん…… 別に…… ただ、運転が<
大丈夫かな?って思って……」
「失礼しちゃうわね!…… ただ、久しぶりに運転するから
緊張をしていただけよ!」
奈津は運転をしながら頬を膨らませ、怒った。
「ご、ごめん!…… しかし、何処に向かっているの?……」
弘毅は辺りの風景を見回りながら、運転している
奈津に訊いた。
「昨日、見せてくれた写真の場所!……」
奈津は上着のポケットから昨日、弘毅から見せてもらった
写真を取り出すと弘毅に写真を返した。
「え? わ、わかったの?…… この写真の場所が……」
弘毅は驚いた顔で奈津のことを見詰めた。
「うん! 私の友達がその場所を知っていたの。……
違うかもしれないけど…… まあ。行ってみましょう?」
自分も知らないことを奈津の友達が知っていたことに
弘毅は奈津に不信感を抱いた。
「う、うん……」
弘毅は奈津の運転している横顔を見ながら、頷いた。
「ちょっと、遠いから飛ばすわね!……摑まっていてね!」
奈津は車のアクセルを強く踏み込んだ。
奈津の車はスピードを上げ、東九十九里道路を
東へと駆け抜けた。
真亀ICまで来た奈津達は
そのまま、海沿いの道を北東へと走った。
「あれ? 確か、この辺りのはずなんだけど?……」
奈津は運転しながら、辺りを見廻した。
「だ、大丈夫?……」
弘毅は不安そうに奈津の横顔を見詰めた。
その途端、弘毅の記憶の奥底に埋もれていた奈津と
そっくりな女性と愉しく、ドライブしている風景が
おぼろげに甦ってきた。
『な、何だ? この記憶は……』
弘毅は再び、頭が割れるように痛み、座席に蹲った。
「だ、大丈夫?……」
今度は奈津が運転をしながら、心配そうに
弘毅のことを見詰めた。
「ああぁ…… 大丈夫……」
弘毅は奈津にそう言ったモノの、埋もれていた記憶と現実とが
ごちゃ混ぜになり、頭がオーバーヒート寸前だった。




