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 弘毅のことが心配になった奈津は

 「ちょっと、休憩!……」

 近くの海水浴場の駐車場に車を止めた。

 「本当に大丈夫?……」

 奈津は心配そうに弘毅の顔を覗き込むと

 「ああぁ……」

 弘毅は奈津に明るく、答えたが顔を上げることが

できなかった。

 奈津は弘毅のことを気遣い、

 「何か、飲み物を買ってくるね?……」

 というと車を後にした。

 『だ、大丈夫?……』

 弘毅の頭の奥から奈津にそっくりな女性の声と

顔が浮かんできた。

 弘毅は混乱し、頭が激しく、痛み出した。

 座席に持たれ掛かった弘毅は

 「茉里……」

 と呟き、そのまま気を失った。


 数分後。 弘毅は額に感じる冷たさに気が付いた。

 ゆっくりと弘毅が目を開けると奈津が心配そうに

弘毅の額にペットボトルの冷たいお茶を当てていた。

 「大丈夫? ヒドイ熱だよ?……」

 奈津は弘毅にそう言うと弘毅は少し辛そうに

 「ああぁ…… 大丈夫…… あ、ありがとうね!」

 ペットボトルを握る奈津の手を強く、握り締めた。

 びっくりした奈津は

 『あっ……』

 弘毅から顔を逸らし、恥ずかしそうに弘毅の手を

振り解いた。

 二人の間にぽとりとペットボトルが落ちた。

 「ご、ごめん……」

 弘毅は奈津に謝ると恥ずかしそうに車から出た。

 海からの冷たい風が弘毅の身体を吹き抜けた。

 弘毅を追いかけるように奈津も車から飛び出してきた。

 「うぅ…… 寒っ!……」

 薄手の服の奈津は身体を強張らせて、震えた。

 弘毅は着ていた上着を脱ぐと奈津の肩に

そっと、掛けた。

 「あ、ありがとう!……」

 奈津はびっくりした顔で弘毅を見詰めると

弘毅が掛けてくれた上着に包まった。

 弘毅と奈津は二人でしばらく、誰もいない冷たい海を

見詰めた。

  身体が冷えた弘毅は奈津の車に戻ろうとした時、

頭が再び、疼いた。

 それと共に弘毅の記憶に波打ち際で波と戯れる

奈津とそっくりな女性・茉里のことが頭の中に

浮かんできた。

 『ま、またか?……』

 あまりの痛みに弘毅は頭を抱え、その場に蹲った。

 「だ、大丈夫?……」

 奈津は心配そうに弘毅のことを覗き込んだ。

 「ああぁ……」

 弘毅はそう答えたものの、頭からは血の気が

引いていた。

 「……やっぱり、何かが変だわ?……

病院に行って見てもらいましょう?……」

 奈津は弘毅の前にしゃがむと心配そうに

弘毅の顔を覗き込んだ。

 「だ、大丈夫だから……」

 立ち上がろうとしたものの、弘毅は力が入らず、

その場に崩れ落ちた。

 たまたま、愛犬・シェリーの散歩で浜辺を来ていた

初老の男性・狭間は

 「どうかしたかね?……」

 苦しそうに蹲る弘毅に優しく声を掛けてきた。

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