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弘毅(駿一)が次に気が付いた時には病室の一室の
ベットの上に寝ていた。
『ここはどこなんだ?…… 俺は確か……』
弘毅(駿一)がまだはっきりしない意識の中でそんな事を
思っていると弘毅(駿一)がいる部屋の中にナース服を着た
女性が入ってきた。
「弘毅さん。大丈夫ですか?」
ナース服を着た女性は弘毅(駿一)に話しかけながら、
病室の窓の前まで進んでいった。
その女性は彩香にそっくりだった。
「あ、彩香……」
弘毅は思わず、ナース服を着た女性にそう呟くと
『え?……』
ナース服を着た女性・奈津は驚いた顔で弘毅のことを見詰めた。
その後でナース服を着た奈津は弘毅にニコッと微笑みながら
「事故の後遺症で誰かと間違えたのですね?……」
と弘毅に言った。
「ご、ごめんなさい!……」
弘毅はナース服の奈津に謝った。
「はははぁ…… 良いですよ! じゃあ。始めに体温を
計りましょうか?」
ナース服の奈津はベットの弘毅に体温計を差し出した。
「はい……」
弘毅はナース服の奈津から体温計を受け取った。
でも、弘毅は何かを忘れている気がしていた。
でも、弘毅にはそれがなんなのか、今の弘毅にはわからない。
「何処か、具合が悪いところはないですか?」
ナース服の奈津はベットにいる弘毅のことを気づかった。
「……」
弘毅はナース服の奈津の問いかけに答えることが
出来なかった。
夜、弘毅がベットで眠っていると頭を何かで叩かれた
強い痛みに襲われた。
弘毅はベットの布団の中に潜り込み、蹲っていると
何処からか
「弘毅……弘毅…… 思い出して……」
と弘毅に語りかける声が聞こえてきた。
『だ、誰だ?俺の事を呼ぶのは……
何を思い出すのだ?……』
弘毅がそんなことを思って、ゆっくりとベットの
布団の中から這い出ると弘毅が寝ているベットの横には
ナースの奈津が立っていた。
「どうしたの? 眠れないの?……」
ナースの奈津は弘毅に優しく微笑んだ。
「あ、頭が割れるように痛くて……」
弘毅がナースの奈津にそう言うとナースの奈津は
まるで慌てる風もなく、
「じゃあ。何かお薬を持ってきましょうね!」
弘毅にそう言って、弘毅の病室を後にしようとした。
『何か変だ!』
そう感じた弘毅はナースの奈津に
「看護婦さん。 僕は何の事故でここに
運ばれてきたのですか?」
と訊いたがナースの奈津は何も答えず、
弘毅の病室を立ち去った。
弘毅はナースの奈津が持ってきた安定剤を飲んだ。
頭の割れるような痛みが少し和らいだ弘毅は
そのまま、静かに眠りに付いた。
「弘毅……弘毅… 起きて!」
弘毅は深い眠りの中、自分の呼び起こす女性の声に
気が付いた。
『誰だ? 俺を呼ぶのは?……』
弘毅が目を瞑ったまま、自分を呼んだ女性のことを探した。
「ダメよ!弘毅。この幻影に飲み込まれては……」
その女性の声は弘毅のことを優しく包み込むように
囁いた。
弘毅はその女性の声に確かに訊き覚えがあった。
『誰だ? 俺を呼ぶのは?……』
弘毅がそう思いながら、目を開けると
消え行く薄っすらとした彩香の姿を見た。
弘毅はその消え行く彩香の姿を見た途端、思わず、
「あ、彩香……」
と囁いたが弘毅は彩香が誰なのか、思い出せない。




