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「ど、どいてくれ!…… そいつを壊さないと……」
弘毅は目の前の彩香を払い除けて、アンドロイドの
駿一を壊そうとした。
「ダメ! やめて!……」
彩香はアンドロイドの駿一に覆いかぶさり、
動かないアンドロイドの駿一を庇った。
弘毅は彩香のそんな姿を見たら、アンドロイドの駿一に
手を出すことが出来なかった。
彩香は動かないアンドロイドの駿一に覆いかぶさったまま、
「駿一。もう良いから…… 一緒に休みましょう!」
と囁くと動かないアンドロイドの駿一の首の後ろへと
手を回した。
次の瞬間、彩香は自分の掌から電気のコードらしきモノを伸ばし、
アンドロイドの駿一の首の後ろに接続するとアンドロイドの駿一の
機能を停止した。
「ごめんなさい。弘毅さん。私はもう一緒に行けないわ……
貴方だけで先に進んで!」
彩香はそう言うとアンドロイドの駿一のように
機能を停止した。
弘毅はとりあえず、マスターコンピューターを止めるために
マスターコンピューターがある部屋に一人で向かった。
弘毅は偽物の加奈子と奈津の目を掻い潜り、
何とかマスターコンピューターがある部屋の前に辿り着いた。
彩香の活躍で難なく、マスターコンピューターの部屋のドアは開き、
弘毅は部屋の中に入った。
そこには強化ガラスで造られた二つの円柱があり、
中には加奈子と狭間が入っていた。
「ど、どうして……?」
弘毅が変わり果てている狭間らの事を見詰めながら、
途惑っていると突然、狭間の目が開き、
「MZ1よ! よくぞ、ここまで辿り着いたな!……」
弘毅に話しかけてきた。
「MZ1? 誰のことだ?」
弘毅は目の前の強化ガラスの中にいる狭間が誰のことを
言っているのかわからず、辺りをキョロキョロと見廻した。
狭間は少しがっかりした表情をしながら
「なんだ。何も覚えておらぬのか?」
弘毅に言ってきた。
弘毅にはまるでわからなかった。
弘毅は目の前にいる狭間が言ったことを考えたが
全く、わからなかった。
その時、再び弘毅の頭がひどく痛み出し、
弘毅はその場に蹲った。
その痛みと共に弘毅の脳裏に一つの記憶が甦ってきた。
瀕死の重傷な姿で怪しい黒ずくめの男らが押す担架の上で
弘毅(駿一)は天井を見詰めていた。
その横を同じように彩香もいる。
『どうして、俺はここにいるのだ?』
弘毅(駿一)は運ばれる担架の上でそんな事を考えていた。
隣の女性(彩香)と何かの事故に巻き込まれたのはわかるのだ。
それがなんなのか、まるで思い出せない。
弘毅(駿一)の横で同じように運ばれている彩香は担架の上で
弘毅(駿一)の方を見ると
「……」
何も言わず、ニコッと微笑んだ。
弘毅(駿一)と彩香はそれぞれ、別の部屋に運び込まれた。
そこは手術着を着た、怪しげな男らがいる
手術室のような部屋だった。




