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奈津は周りに転がっている狭間らの死体を見て、
「きゃぁ…… な、何? これ?」
叫び声を上げ、パニックになった。
弘毅は持っていた拳銃を素早く、服の中に隠すと
「何も覚えていないの?……」
奈津に話しかけた。
奈津はボロボロと涙を流しながら、
「昨日、家に帰ったところまでは覚えているのだけど……
どうして? 私はここにいるの?」
と言った。
「落ち着いてぇ…… 僕の事、わかる?」
弘毅は奈津のことを落ち着かせながら、
自分のことを覚えているか、奈津に訊いた。
「うん……」
奈津は弘毅のことを見詰めながら、少し落ち着くと
小さく頷いた。
少し、ホッとした弘毅は
「さて! これからどうしようか?」
奈津の顔を見ながら、考え込んだ。
弘毅はとりあえず、死体を全部、狭間の
診療所の中に運び入れると
「ここで別れよう! 僕のことは早く、忘れるんだ!」
奈津の前から立ち去ろうとした。
だが、奈津は弘毅の手をギュッと握り締めると
「私を一人、置いていかないで……」
泣きそうな目で弘毅の事を見詰めた。
弘毅は辛そうに奈津の手を振り解きながら
「ダメだ! ここから先はとても危険すぎる……
ここで起こったことはすべて僕がやった事と言い、
警察に行くのだ!…… そうすれば、少なくとも
君は安全だから。 良いね?」
と言ったが
「いや…… 置いていかないで!」
奈津は泣いて、弘毅に縋った。
その途端、弘毅はまた、頭が激しく痛み出し、
その場に崩れるように座り込んだ。
次の瞬間、弘毅の頭の中に奈津とそっくりな女の子・
茉里が弘毅に縋りついて、泣き崩れている映像が
浮かんできた。
だが、弘毅の頭の痛みもすぐに治まり、
不思議な映像は消え去った。
奈津は心配そうに
「大丈夫?」
弘毅に声をかけた。
弘毅は奈津のことを見詰めながら
「ああぁ…… 大丈夫!…… じゃあ、一緒に行こう!」
立ち上がると奈津と共に狭間の診療所を後にした。
弘毅は奈津と共に狭間の愛車に飛び乗り、車を走らせた。
弘毅は車を走らせながら
「さて?これから何処に行こうか?」
奈津にそう言うと奈津は前に弘毅が見せてくれた
写真を弘毅に見せながら
「ここに行ってみましょう?」
と弘毅に言った。
「良いけど…… 場所はわかるの?」
弘毅が奈津に写真の場所の事を訊くと
「うん!……」
奈津はにっこりと微笑んだ。
奈津は弘毅が運転する車の助手席で
青ざめた顔をしていた。
弘毅は運転をしながら、
「大丈夫?…… 顔が青いけど……
少し車を止めようか?」
奈津のことを気づかった。
奈津は弘毅ににっこりと微笑みながら
「だ、大丈夫だから…… さっきのことを
少し思い出しただけだから……」
と弘毅に言った。
弘毅も奈津のその一言に狭間の診療所での
惨劇を思い出し、身体を強張らせた。
暫く、走った所で弘毅は近くの店にトイレ休憩に
立ち寄った。
弘毅は奈津がトイレに行っている間に店に並んでいる
新聞などで狭間の診療所での惨劇の記事がないか、
探したがどの新聞にも狭間の診療所での惨劇のことは
載っていなかった。
『どういうことだ?』
弘毅が訳がわからず、立ち尽くしていると
「お待たせ!……」
奈津が弘毅のもとに戻ってきた。




