↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
天国白書:2Re:Light  作者: 凛1129
記憶
PR
56/56

19章 天国白書 (3) 愛

挿絵(By みてみん)

 モニカは、白嶺の胸へ頬を寄せた。

 湖から吹く風が、二人の髪を静かに揺らす。

 遠くでは、鴨たちが何事もなかったように水面を漂い、小鳥のさえずりだけが穏やかな時間を刻んでいた。

 

「先生……」

 モニカは小さく笑う。

 

「今日は、誰にも邪魔されませんね♪」


 白嶺は何も言わない。

 ただ、穏やかな表情のまま、そっとモニカの手を握り返した。

 

 その温もりに安心したように、モニカは目を細める。

 

「今日は……私だけを見ていてください」


 白嶺は静かに頷く。


 二人はゆっくりと立ち上がる。


 障子が静かに閉じられた。


 縁側には、誰もいない。


 湖を渡る風だけが、古い風鈴を優しく鳴らしていた。


   ◇


 白嶺は、静かに右手を上げた。


 目の前に広がっていた湖。

 古民家。

 そして、笑うモニカ。


 その世界は、一枚の映像となって宙へ浮かび上がる。


 白嶺は、その映像をそっと閉じた。


 周囲には、管理中の映像が幾重にも並んでいる。

 どれも、誰かが望んだ"天国"だった。


『ボワンッ』


 一件の緊急速報が浮かび上がる。


「この国の闇を……」

「そして果たされなかった国民の想いを……」


「私は、この裁判で証明するため、戦い続ける!」


 神代朔(じきょくちょう)の声。

 白嶺は、それを見ることなく映像を閉じる。


 白嶺は右手を滑らせる。

 三十ほどの映像が、静かに浮かびあがる。

 白嶺は映像を左側へ整列させる。

 

 その一つへ視線を向ける。

 ピピッ。

『監察案件 受付』

「開いてください」

 映像が展開される。

『中枢化希望者 一名』

『家族間同意率 一〇〇%』

『監察承認 待機』

 

 白嶺は静かに内容を確認した。

『承認』

 

 映像が閉じる。

 間を置くことなく、次の通知が浮かぶ。

 

『相談窓口 応答待機 三件』


 新たな映像が静かに開く。

 そして、少しだけ微笑んだ。


「順番に繋いでください」



――終

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。