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第66話:魔獣狩りの裏側で、魔力ゼロの執事が「害虫駆除」を始めました〜高身長メイドは脳内パニック中〜

いつも最高の応援と熱い評価をいただき、本当にありがとうございます!

第66話をお届けします。


学園伝統の公式行事『魔獣狩り合同演習』が開幕!

表の舞台では、天才的な戦術指揮を執るルシアン様が、リナやセレナお嬢様と共に襲い来る魔獣や邪魔な貴族どもを華麗に一掃。これぞ神童という圧倒的な無双を見せつけます。


しかし、その光の裏側──鬱蒼とした霧のエリアでは、アレンを狙うレナードの刺客たちが静かに牙を剥いていました。

それを完璧に見抜いていたアレンは、監視兼同行者のフェリスを引き連れ、冷徹な『害虫駆除』を開始します!


【金剛丹】の圧倒的筋力で魔法障壁ごと手首を粉砕し、マナの経絡をブチ抜いて再起不能にするアレン。

そのあまりの強さと「なぜか自分の暗殺術と完璧に呼吸が合う」という事実に、ツンデレメイド・フェリスの脳内パニックはついに臨界点を突破!?


表の光と裏の闇、二つの無双が交錯する演習編、どうぞお楽しみください!

学園管轄の広大な演習場『原始の森』。

強力な結界に囲まれたこの領域で、本日、学園伝統の公式行事『魔獣狩り合同演習』の幕が上がっていた。


「さあ、みんな。僕の指示通りに陣形を組んで。リナは前衛の警戒、セレナは後方から魔力補給の準備をお願い」


ルシアン・ド・グランヴェルの視界には、鬱蒼と生い茂る木々と、その間を獰猛に駆け抜ける魔獣の姿があった。

ルシアンは天才的な戦術指揮のもと、仲間たちの能力を最大限に引き出し、極めて効率的に魔獣を討伐していた。リナの鋭い一撃が魔獣を怯ませ、セレナの支援魔法がそれを補強する。


だが、そんな彼らの前に、遮るように立ち塞がる一団があった。


「おやおや、グランヴェル家の神童様は、随分とセコセコした狩りをなさる。先祖の栄光に泥を塗るような弱腰だな」


下卑た笑みを浮かべて現れたのは、入院中のレナードと日頃からつるんでいた、傲慢な取り巻き貴族の生徒たちだった。彼らはレナードの仇討ち、ひいてはグランヴェル家を出し抜くため、演習のどさくさに紛れてルシアンたちの進路を塞ぎ、魔獣を横取りしようと妨害魔法を展開してきたのだ。


しかし、ルシアンは一切動じることなく、冷徹なライトブルーの瞳を彼らに向けた。


(やれやれ。僕の邪魔をしたいなら、もう少し魔法の構築を練ってからにしてほしいな……。妨害魔法の魔力循環がガタガタだ。これなら──)


ルシアンはすっと杖を掲げると、一瞬で敵の魔法の軌道を計算し、あえてその術を『誘導』した。貴族たちが放った不完全な火球魔法は、ルシアンの魔力に絡め取られ、進路を大きく曲げて背後の茂みに潜んでいた巨大な魔獣へと直撃する。


「なっ、何が起きた!?」


「あ、呆気ないね。リナ、セレナ、今だよ!」


ルシアンの指示一閃、不意を突かれて怯んだ魔獣と動転する貴族たちを、リナたちの鮮烈な魔法がまとめて一掃した。


「これに懲りたら、二度と僕たちの邪魔をしないでね」


光り輝く魔法の残光の中で、ルシアンは爽やかに微笑む。表の舞台において、神童ルシアンの無双は揺るぎないものだった。



一方。ルシアンたちの本隊から少し離れた、鬱蒼と生い茂る深い霧のエリア。

ルシアンたちが放つ華やかな「光の魔法」の爆発音が、霧の向こうからかすかに響いてくる。


アレンはその光を背に浴びながら、燕尾服のボタンを一つ外し、音もなく木々の間を歩いていた。その真後ろ、頭半分ほど高い位置から、一歩も離れずにぴったりと付いてくる影がある。


「どこへ行く気ですか、禁忌の男。逃がしませんよ。貴方が何か不審な動きをすれば、このロベルト家の刃が──」


宵闇色のツインテールを揺らし、冷徹な琥珀色の瞳でアレンの挙動をじっと監視し続ける戦闘メイド──フェリスである。


アレンは歩みを止めないまま、心の中で冷ややかに笑う。

(じっと後ろに張り付いて見張りとは、いい身分じゃねえか。男の部屋に忍び込むだけでも屯所なら軍規違反だ。おまけにそのふざけた二つ結びの髪型から、即座に竹刀で叩き直してやるんだがな)


だが、アレンが足を止めたのは、フェリスの小言のためではなかった。

アレンはふと、自らの長い前髪を無造作に掻き上げると、三白眼の鋭い視線を霧の奥へと滑らせた。


「おい、サボりメイド。お喋りはそこまでだ。若旦那ルシアンが派手にやってる間に、こっちの『害虫』は俺たちが間引くぞ」


「……え?」


フェリスが瞳を見開いた瞬間だった。


(ふん、やはり来やがったか。──演習の前日、学園の廊下でレナードの取り巻きどもとすれ違った。奴らの視線の動かし方、服の裏に武器を隠す特有の肩の傾き、にじみ出る血気。それは前世の京都の路地裏で、幾度となく俺の命を狙ってきた不逞浪士どもの『刺客の目』と全く同じだった。面子を潰された貴族が、教官の目の届かない演習場で事故に見せかけてルシアン様を消しにくるなど、戦術的に予測の範疇だ。だからこそ、俺は最初からこの霧のエリアで待ち伏せていた)


「ルシアン様に余計な心配をかけたくない。お前も公爵家の影なら、裏で片付けるのを手伝え」


アレンの言葉は、いつもの完璧な執事のものではなかった。

泥塗れの戦場を潜り抜けてきた、冷酷無比な『新選組副長』のそれ。その尋常なる気魄の圧力に、フェリスの背筋にゾクゾクとした戦慄が走る。


「……言われなくとも。ルシアン様に近づく害虫は、私が駆除します」


フェリスが短刀を構えると同時に、アレンはすでに無言で地を蹴っていた。


──シュル、と空間が微かに歪んだ。


霧の奥に潜んでいた刺客の一人が、声を上げる暇すらなかった。

地面の草木すら揺らさず、予備動作ゼロで空間を跳ぶアレンの『瞬歩』。


アレンが敵の細腕を掴んだ瞬間、燕尾服の奥の筋肉が、鋼鉄のように一瞬で引き締まる。魔力による半透明の防御壁を、物理的な『純粋な握力』だけで、まるで薄氷のようにパキィィィンと粉砕した。


グシャ……ベキバキバキッ!!!


「あ、が……ッ!?」


声にならない絶叫。アレンは一切の感情を排した目で、【金剛丹】によって人外の領域へと至った強靭な指先を使い、刺客の手首の骨と、魔法を練るためのマナの経絡を物理的にブチブチと引き千切った。二度と魔法が使えない体にする、完璧な『再起不能むりょくか』。


「一人」


ゴミのように刺客を放り出すアレンと同時に、フェリスの身体もまた影のように地を飛んだ。慌てて迎撃しようとする二人目の刺客に向け、彼女が影から魔力を練り上げる。


「【紫煙の傀儡毒パペット・ヴェノム】──!」


彼女の影から湧き上がった紫色の妖しい魔力の煙が、鋭い幾条もの針へと変化。刺客たちの防壁の隙間を縫うようにして、首筋の点穴へ正確に突き刺さった。

瞬間、刺客の魔力循環が強制停止し、神経が麻痺して詠唱も身体の自由も完全に奪われ、糸の切れた人形のように崩れ落ちた。


「二人、三人……ふん、無駄のない足運びじゃねえか、サボりメイド」


アレンの漆黒の鞘が、さらに別の刺客の顎を強烈に突き上げ、脳震盪で昏倒させる。


「貴方に褒められても嬉しくありません……っ! というか、貴方の動き、私の暗殺術と呼吸が合いすぎているのですが……!」


(心の中のフェリス:な、なんなのですかこの男はー!? 私の神速の暗殺術に完全に思考が追いついているどころか、魔力ゼロのはずなのに、魔法使いの防壁を筋肉だけでぶち破るなんて……! 悔しい、悔しいのに、なんて戦いやすいの……ッ!?)


わずか数十秒。レナードに金で雇われたはずの実戦派の上級生魔術師たちは、声を上げることも許されず、次々と「再起不能」の状態で物言わぬ肉塊に変えられていった。


──そして。


残るは刺客のリーダー格の男ただ一人。

男は仲間が全滅させられた恐怖に、ガタガタと腰を抜かしていた。


アレンは静かに歩み寄ると、恐怖に怯える男の胸ぐらを鷲掴みにし、冷徹な三白眼で射抜いた。


「おい。病院のベッドの上で、まだ懲りずに寝言を言ってるお前の主人レナードに伝えておけ。……次、ルシアン様に少しでも不穏な牙を向けたら、その時は首を貰い受ける、とな」


「ひっ、は、はいぃぃぃぃっ!」


アレンは男の手首の骨を軽く「へし折り」、恐怖を骨の髄まで刻み込んだ上で、あえてレナードへの警告役としてそのまま霧の奥へと逃がした。


「さて、残ったこのネズミどもですが……」


フェリスが転がる刺客たちを見下ろすと、アレンは冷たく言い放った。

「エレノア教授を通して、ヴァルター学園長にこのゴミの山を直接報告する。あとは学園長から対処してもらい、学園の法に基づいて厳重に処分してもらうさ」


「……そこまで計算して……っ。本当に恐ろしい男」


フェリスは戦慄しつつも、戦場でのアレンの冷徹な「鬼の戦術眼」と、圧倒的な「本物の強さ」を間近で突きつけられ、琥珀色の瞳の奥に恐怖ではない「強烈な熱」を孕んでらんらんと輝かせ始めていた。


「さあ、ルシアン様がお戻りになる前に、極上のハーブティーの準備を整えねばなりませんね」


アレンは何事もなかったかのように、一瞬で完璧な執事の微笑みに戻るのだった。



同時刻。聖アイビス国立魔法学園の付属大病院──特等病室。


「な、何だと……!? 全滅……!? 魔法が使えない体にされただと……っ!?」


ベッドの上で全身に包帯を巻かれたレナード・ヴァン・ボルテールは、手首を奇妙な方向に折られ、ガタガタと震えながら這い戻ってきたリーダーの報告を聞き、驚愕に顔を真っ青に染めていた。


「奴は……奴は平民などではありません! 魔力もないのに防壁を握り潰す化け物です! 『次、ルシアン様に牙を向けたら首を貰う』と……ひ、ひぃぃっ!」


「馬鹿な……あり得ん! あの魔力なき虫ケラがそこまでの力を……ひ、ヒィッ……!」


アレンの放った冷徹な警告が頭をよぎり、レナードはシーツを握りしめてガタガタと震え、病床の上で完全に腰を抜かした。

さらにそこへ、ボルテール家の私兵が青ざめた顔で病室に飛び込んできた。


「レ、レナード様! 大変です! 演習場に送り込んだ者たちが拘束され、エレノア教授の通報により、ヴァルター学園長が直々に動かれました! 襲撃の主犯として、レナード様に学園からの『停学処分』を科すべく、学園特務隊がこちらへ向かっています……!」


「な……停学、処分だと……!?」


がはっ……!!!


アレンの圧倒的な武力による恐怖と、学園長の手回しによる学園からの厳罰処分というダブルパンチを食らい、レナードは盛大に吐血して再びベッドの上で白目を剥いて昏倒するのだった。



その夜。男子寮のルシアンの自室にて。


演習を終えて戻ってきたルシアンは、ソファに深く腰掛け、アレンが淹れた温かいハーブティーを一口啜って、ふぅと息を吐き出した。その斜め後ろでは、フェリスがまだ何か言いたげに、しかし顔を真っ赤にして突っ立っている。


アレンは完璧な執事の姿勢を少しだけ崩すと、いつものぶっきらぼうな口調でルシアンに問いかけた。


「ルシアン、お疲れさん。で、本日の『魔獣狩り合同演習』の結果はどうだった」


ルシアンはカップをソーサーに戻すと、幼馴染としての全幅の信頼を込めた穏やかな笑顔をアレンに向けた。


「うん、上手くいったよ。途中でちょっと意地悪な貴族の生徒たちに絡まれちゃったけど、みんなで力を合わせて綺麗に解決できたんだ。本当に、演習場は何事もなく平和で良かったよ」


「そいつは重畳だ。お前の戦術眼がありゃ、どんな不測の事態も大した問題じゃねえからな」


アレンは不敵に口元を緩め、フッと笑った。

裏で本物の刺客が動き、それを自分が骨ごと粉砕して学園長に突き出したことなど、微塵も感じさせないいつもの相棒の顔。


(主君に余計な泥の味を教える必要はねえ。表のお前が光の中で綺麗に笑ってりゃ、それでいいんだよ)


アレンの心の中の冷徹な独白を知る由もないルシアンは、「アレンのお茶は今日も最高だね」と嬉しそうに微笑んでいる。


そしてその二人の背後で、フェリスだけが、昼間のアレンの『鬼の殺人剣』と、今の『主君とタメ口で話す底知れない男』のあまりの距離感に、一人でガタガタと脳内パニックを再加速させているのだった──。

第64話をご覧いただき、ありがとうございました!


アレンさん、裏仕事の時は完全に『鬼の副長』の顔になってて最高にシビれますね……!!


表でルシアン様が「みんなで力を合わせて解決できた、平和で良かったよ」と爽やかに微笑んでいるその裏で、金で雇われた実戦派の上級生たちを声を上げる暇すら与えず、物理肉体(金剛丹)だけで防壁ごとへし折り、マナの経絡を破壊して二度と魔法が使えない体に仕立て上げるアレン。この容赦のなさが新選組クオリティで堪りません。


そして、そんなアレンの超高速の身のこなしに、メイド兼暗殺者のフェリスちゃんが内心で「悔しい、でもめちゃくちゃ戦いやすい……っ!」と大悶絶しているのが最高にチョロ可愛いです。ストーカー並みに監視するつもりが、戦闘でもお茶でも完璧にマウントを取られ、らんらんと瞳に熱を宿し始めています。もう手遅れですね(笑)。


さらに哀れなのは病院のレナード。

アレンの恐怖の伝言に加え、エレノア教授経由で学園長が直々に動き「停学処分」のダブルパンチ。盛大に吐血して白目を剥く姿は、もはや様式美すら感じます。


ラストの、ルシアン様には決して裏の泥の味を教えず、「お前が光の中で綺麗に笑ってりゃ、それでいいんだよ」と不敵に笑うアレン……この主従、どこまで尊いのでしょうか。


ボルテール家の陰謀を裏から完全に叩き潰したアレン。しかし学園のパワーバランスが大きく揺らぐ中、次なる展開は――!?

67話もどうぞお楽しみに!


【作者からのお願い】

「アレンの物理障壁粉砕&再起不能の容赦なさにゾクゾクした!」「戦闘中に内心で戦いやすさに悶絶するフェリスが可愛すぎる!」「ルシアン様には裏の汚れ仕事を一切見せないアレンの男気に惚れた!」と思ってくださった方は、ぜひ作品への応援をお願いします!


皆様のブックマークと評価(★5)が、裏で害虫を完璧に間引き、表の主君をどこまでも光り輝かせるアレン(土方)の兼定に、さらなる冷徹な粛清のキレを与える最強のバフになります!


なろう読者様:下部にある【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】に染めて、裏の仕事を完璧にこなした副長へ勝利の喝采を!


カクヨム読者様:【★で称える】ボタンや【フォロー】のワンタップをぜひお願いいたします!

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