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第43話:王宮審問会

いつも最高の応援をありがとうございます!

お待たせいたしました、第43話をお届けします。


ついに開かれる王宮審問会。

「魔法至上主義」を掲げ、平民の台頭を忌み嫌う五家連合の老害貴族たちが、アレンを合法的に処刑せんと手ぐすね引いて待ち構えています。


四大貴族からの容赦ない侮蔑の言葉と、身に覚えのない売国奴の罪状。

しかし、浅葱色の羽織をまとい、円卓の中央にただ一人立つアレンの眉はピクリとも動きません。


「用件はそんだけで終わりか」


前世の幕末で、都合の良い時だけ新選組を弾除けにし、泥水をすすらせようとした腰抜けどもを飽きるほど見てきた男。

牙を剥いた鬼の副長による、机の上の平和しか知らない貴族どもへの圧倒的な「論破劇」が、今幕を開けます――!

王宮の深部にある「白銀の円卓議事堂」。 かつて王国を救った勇者一行や、国を支える最高峰の五大名家が集うその場所は、今日、一人の「魔力なき平民」を吊るし上げるための処刑場と化していた。

円卓の周囲に鎮座するのは、王国屈指の権力を誇る五家連合の当主たちである。

北方領土の絶対防衛を担う「フロストハイム家」当主、アルベール・ド・フロストハイム公爵。冷徹なライトブルーの瞳でアレンを睨みつけている。 効率と優雅さを重んじる「ウインザード家」当主、ギルバート・ヴァン・ウインザード侯爵。仕立ての良い緑の外套をまとい、退屈そうに指先を弄んでいた。 陰湿な精神魔法を操る「オルタニア家」当主、バルトロ・ヴァン・オルタニア伯爵。顔半分を黒い仮面で覆い、不気味な気配を漂わせている。 そして、伝説の魔法師の家系「ボルテール家」当主、グスタフ・ヴァン・ボルテール侯爵。かつて息子レナードがアレンに惨敗し、プライドを粉砕されたことを激しく根に持っており、その顔はアレンへの憎悪で歪んでいた。

そして最後の一席――。 現ド・グランヴェル家当主であり、ルシアンとセレナの父親、ガラルド・ド・グランヴェル公爵。彼はただ一人、腕を組んで深く椅子に腰掛け、底の知れない目で場を見つめていた。

議事堂の最上段には、第一王子ラインハルトが冷徹な裁定者として座している。

その全ての視線が集中する円卓の中央に、アレンはただ一人、浅葱色の羽織を肩に引っかけた姿で立っていた。腰には和泉守兼定。周囲を囲む近衛騎士たちが気圧されるほどの、圧倒的な静寂を身にまとっている。

「――以上が、特務隊局長アレン。貴様にかけられた罪状だ」

ボルテール家当主、グスタフが机を激しく叩き、議事堂に怒号を響かせた。

「魔力も持たぬスラムのドブネズミ風情が、ド・グランヴェル家の威光を笠に着て『特務隊』などという私兵を組織し、あろうことか帝国の商人(黒鉄衆)を虐殺した! これは帝国への明白な挑発行為であり、王国を戦争の危機に晒す大罪である! ラインハルト殿下、即刻この者を死罪にし、特務隊を解体すべきです!」

グスタフの言葉に、フロストハイム公爵アルベールが冷酷に同調する。

「同感だ。魔力なき平民が国の治安に関わるなど、王国の『魔法至上主義』という法秩序に対する冒涜に他ならん。触れる価値もない泥が、分を弁えずに動き回るからこうなるのだ」

「全く、泥臭くて美しくない国難だね。早々に片付けるべきだ」

ウインザード侯爵ギルバートが歌うように吐き捨てる。 オルタニア伯爵バルトロも「ククク……精神から徹底的に叩き壊して処刑すべきだ」とねっとりとした笑みを漏らした。

身に覚えのない大罪、浴びせられる容赦ない侮蔑の言葉。 だが、アレンの眉はピクリとも動かなかった。ただ、その黒い瞳の奥に、恐ろしいほどに冷ややかな光が宿る。

(前世でも、お上の腰抜けどもは同じようなツラをして喚いていたな)

長州や薩摩の脅威に怯え、新選組をトカゲの尻尾切りにしようとした幕閣どもの醜態が、目の前の偉そうな貴族たちに完全に重なる。

オルタニア伯爵バルトロは、仮面の奥の赤目を細めた。アレンの精神波を探ろうとした瞬間、底の知れない血と硝煙の匂いが逆流し、バルトロの背筋に冷や汗が伝う。

(……何だこのガキは。魔力ゼロの身でありながら、内面に『本物の戦場』を飼っていやがる……!)

そんな貴族たちの内情など知る由もなく、アレンはふっと鼻を鳴らし、静かに口を開いた。

「用件はそんだけで終わりか」

「な、何だと……!?」

「帝国への挑発、治安の乱し。よくもまあ、机の上の書類しか見てねえ奴が、そんな大層な大嘘を並べ立てられたもんだ。グスタフ侯爵、あんたの言う『帝国の商人』ってのは、スラムの地下で子供を人身売買し、王国の防衛情報を流していた『帝国の密偵・黒鉄衆』のことだ。それを『商人』と言い張るってことは……ボルテール家は、帝国のスパイを保護する売国奴ってことでいいんだな?」

「貴様ッ……! 何を根拠にそのような無礼を!」

グスタフが顔を真っ赤にして立ち上がる。 アレンは懐から、ルシアンと共に完璧に処理し、裏を固めたバルトス子爵領の物流データと、黒鉄衆から押収した密書の写しを机に叩きつけた。

「根拠ならここにある。バルトス子爵の横領、指定物資の横流し、包装貨物の不正、そして黒鉄衆との繋がり。これを洗ったのは俺たち特務隊だ。あんたらの大好きな『魔法至上主義』とやらは、身内の売国奴一人見つけられねえほど節穴なのか?」

アレンはさらに不敵に口角を上げ、グスタフを冷たく見下ろした。

「それとも何だ、ボルテール家ってのは、上がスパイを匿えば、下は平民相手に禁呪を暴発させて腰を抜かすような、そんな情けねえ家系に成り下がっちまったのか?」

「貴様ァアアッ!! よくもレナードを、我が家を侮辱したな!」

息子が負けた過去を正確に抉られ、グスタフが激昂する。しかしアレンはそれを一瞥すらしない。

「平民だから何だ。魔力がないから何だ。あんたらの言う高貴な魔法師様が、保身のために帝国の犬に尻尾を振っている間、その泥水をすすって国境の防衛線を守ったのは、俺たち特務隊だ」

アレンの凛とした、だ・である調の言い切りが、議事堂の空気を完全に支配する。 言葉の刃で切り裂かれた四大貴族たちが絶句する中、それまで沈黙を守っていたガラルド・ド・グランヴェルが、低く笑い声を上げた。

「くははは! 言いおる。さすがは我がグランヴェル家の秘書、そして私がスラムの全警備権を一任した男だ。グスタフ殿、我が秘書を『私兵』呼びした無礼、聞き捨てならんな。アレンの行動はすべて、我がグランヴェル家、延いては王国法に則った正当な防衛任務である」

「ガ、ガラルド……! 貴様、この平民をかばう気か!」

「かばう? 違うな。私はただ、事実を述べているだけだ。実力ある者が実績を上げ、無能な売国奴が淘汰された。それだけの話だろう」

ガラルドの凄みのある眼光が、四大貴族を圧する。 アレンの実力を誰よりも正当に評価し、その組織に『特務隊』の名を許した男の言葉には、圧倒的な重みがあった。

窮地に陥ったグスタフは、すがるように最上段の王子を見上げた。

「ラ、ラインハルト殿下! 騙されてはなりません! この平民は危険です! 即刻、処断を――」

「見苦しいぞ、グスタフ侯爵」

ラインハルトが冷淡な一言でそれを遮った。 聡明な第一王子は、保守派貴族の狙いが特務隊潰しであることを見抜いていた。そして、アレンの堂々とした態度と、完璧な論理のキレ味に、内心で強い衝撃を受けていた。

(魔力なき少年と聞いていたが……この尋常ならざる度胸と風格は何だ。まるで、数多の戦場を潜り抜けてきた老将のような凄みがある)

ラインハルトが裁定を下そうと口を開きかけた、その時だった。

「お待ちなさい!!!」

議事堂の重厚な扉が、勢いよく開け放たれた。 現れたのは、絢爛豪華なドレスを翻した、王国の至宝――クリスティア王女であった。

「ク、クリスティア様!? なぜこのような場所に……!?」

驚愕する貴族たちを無視し、クリスティアはお忍びの護衛を従え、まっすぐに円卓の中央へと歩み寄る。

その護衛のフードの隙間から、見覚えのある金髪――セレナがアレンに向けて、いたずらっぽくウインクをした。アレンを救うため、彼女が裏で王女を動かし、手引きしていたのだ。

王女の可憐な瞳は、不審な貴族たちではなく、浅葱色の羽織をまとったアレンだけを激しく捉えていた。

「ラインハルト兄様、そして五家連合の皆様。私は、この審問会そのものが不当であると訴えに参りました! スラムに秩序をもたらし、帝国の魔の手から民を救った英雄を吊るし上げるなど、王国の恥です!」

クリスティアはアレンの前に立つと、頬をわずかに紅潮させ、きらきらとした目を向けた。

「あなたが……アレン局長ですね? 噂以上の、なんと気高く、恐れを知らぬお方……! 私、あなたのような殿方に、ずっとお会いしたかったのです!」

王女からの突然の熱烈な視線と賛辞に、アレンはわずかに眉を寄せた。

(おいおい、何だこのお転婆姫は……。王宮のドブネズミを拝みに来たら、とんでもない台風の目が飛び込んできやがったな)

近衛騎士や四大貴族たちが、王女のまさかの乱入と「平民への求愛」に近い態度に開いた口が塞がらない状態になる。

議事堂の隅で、その光景を眺めていたガラルドは、ニヤリと不敵な笑みをこぼした。

「(さて、ルシアン。お前の言った通りになったな。ラインハルト殿下だけでなく、クリスティア様まで動かした。審問会でアレンをハメたつもりのようだったが、逆にどんな目に遭うか……見ものだな)」

仕掛けられた罠は、アレンの圧倒的な器量と、彼を巡る王族の思惑、そしてグランヴェル家の鮮やかな連携によって完全に破綻した。 保守派貴族たちが恐怖と屈辱に顔を歪める中、アレン(土方歳三)は和泉守兼定の柄に手をかけ、冷たく微笑んだ。


第43話をご覧いただき、ありがとうございました!


ついに開かれた王宮審問会。保守派貴族の老害どもが雁首揃えてアレンを吊るし上げようとしましたが……完全に相手が格上すぎましたね。


前世の幕末で、朝廷や幕閣の腰抜けどもによる醜悪な政治劇を嫌というほど見て、かつ潜り抜けてきた土方歳三アレンにとって、机の上の書類しか見ていない貴族の小細工など、ただの児戯に過ぎませんでした。

密書の裏を完璧に固め、「ボルテール家は売国奴ってことでいいんだな?」とグスタフ侯爵を冷酷に見下ろして完全論破するアレンの姿、書いていて脳汁が溢れ出しました!精神魔法を操るオルタニア伯爵すら、アレンの内面の「本物の戦場」を覗き見て冷や汗を流すシーンはまさに「鬼の副長」の器量そのものです。


ガラルド公爵が「我がグランヴェル家の秘書だ」と凄みを見せる最高の後ろ盾っぷりにも痺れましたが、何よりラストのクリスティア王女の電撃乱入!!

裏でセレナがお忍びの護衛(ウインクが最高に可愛いですね。笑)として王女を手引きしていたというグランヴェル家の鮮やかな連携によって、審問会は一気にアレンの独壇場、どころか王女からの熱烈なアプローチの場へと変貌してしまいました。


「とんでもない台風の目が飛び込んできやがったな」と困惑するアレンですが、罠を仕掛けた貴族どもはもう開いた口が塞がりません。王宮全体を巻き込んだチェス盤のひっくり返し劇、ここからの特務隊とアレンのさらなる大躍進をどうぞお楽しみに!


【作者からのお願い】

「アレンの論破と冷徹な眼光が格好良すぎる!」「貴族たちが逆にドツボにハマっていく展開が最高にスカッとした!」「お転婆なクリスティア王女の乱入で次が気になりすぎる!」と思ってくださった方は、ぜひ作品への応援をお願いします!


皆様が投げてくださる評価とブックマークが、アレン(土方)が異世界の中心へと昇り詰めていく最大の原動力になります!


なろう読者様:下部にある【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】に染めて、鬼の副長へ熱いエールを!


カクヨム読者様:【★で称える】ボタンや【フォロー】のワンタップをぜひお願いいたします!

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