第10話:王都への道
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バルトス子爵を捕縛した功績により、アレンとルシアンはついに中央政界――王都へと召喚されます。
華やかな王都の空気、そして不遜な中央の権力者たち。かつて京都や激動の幕末を駆け抜けたアレン(土方)の目に、この「平和な都」はどう映るのか。新章・王都編の開幕です!
バルトス子爵捕縛の報は、魔導通信の翼に乗って瞬く間に王都へと達した。
数日後、ド・グランヴェル家の屋敷に現れたのは、豪奢な装飾を施した馬車と、鼻持ちならない選民思想を全身に纏った王都からの勅使であった。
勅使はルシアンに対し、恭しく、しかしどこか辺境を見下すような傲慢な口調で告げた。
「バルトス子爵の不祥事、およびそれを未然に防いだルシアン殿の功績……陛下も深く関心を寄せられております。つきましては王都エテュルナへ召喚し、直接拝謁を賜るとの仰せである」
その傍ら、完璧に仕立てられた執事の礼装に身を包んだアレン――土方歳三は、無表情に勅使を見据えていた。
端正な少年の皮を被りながらも、その切れ長の瞳の奥にある光は、どこまでも冷ややかだ。
かつて京の街で嫌というほど目にした、不遜な公家共と同じ特権意識という名の腐臭が鼻をつく。
(……錦の御旗に逆らった果てが、雪に埋もれた北の地だった。今度はその旗を掲げる側につけというのか。神仏の類がいるとすれば、なかなかに悪趣味な采配だ)
土方は、胸の内で静かに独り言を噛み締めた。
*
王都への長い旅路。
揺れる馬車の中で、ルシアンは初めての王への謁見を前に、緊張の面持ちを隠せずにいた。
土方はそんな主の乱れた襟元を、無造作ながらも洗練された手付きで直すと、低く、重みのある声で告げた。
「礼儀作法などは単なる飾りだ。肝心なのは、相手の喉笛をいつでも掻き切れるという気概を腹に持っておくことだ。それさえあれば、どんな相手にも気後れはせん」
あまりに物騒すぎる執事の助言。
ルシアンは一瞬呆気にとられたが、やがて鈴を転がすような、貴族らしい清らかな笑い声を上げた。
「ふふっ……アレン、君は時々、本当に怖いことを言うね。相手は王国の重鎮ばかりだよ?」
その笑みは、緊張という名の恐怖を綺麗に払い落とすような光を帯びていた。
土方はふんと鼻を鳴らし、窓の外の景色に視線を移した。
馬車が王都「エテュルナ」の巨大な城門をくぐる。
そこには、辺境の領地では決して見ることのできない、魔法灯が極彩色に煌めく圧倒的な賑わいがあった。
「……ずいぶんと賑わっているな。戦いとは無縁の世界だ」
土方の冷めた言葉に、ルシアンは穏やかに首を振った。
「それはもう数千年も前の話ですよ、アレン。平和がこの街の誇りです。……もっとも、各地では今も紛糾が絶えず起こっていますが」
王都の喧騒は、土方には「嵐の前の静けさ」のように感じられた。
平和に慣れきって茹で蛙になっている大衆と、その裏でどす黒い糸を引く権力者たち。かつて幕末の動乱期、江戸や京で嫌というほど見てきた滅びの前の光景だ。
かつて「誠」の一文字を背負い、反逆者の烙印を押されてなお最後まで戦い抜いた男は、今、異世界の王が住まう城門へと足を踏み入れる。
その歩みに迷いはなく、衣服の内に隠した鉄の重みだけが、彼が何者であるかを静かに証明していた。
ついに王都へ到着した二人!
アレンの物騒すぎる執事のアドバイス、新選組副長らしさが全開で最高ですね(笑)。ルシアンもアレンが隣にいることで、随分と救われているようです。
しかし、華やかな王都の裏には、やはりきな臭い気配が漂っています。
次回の王宮謁見編、アレンが中央の化け物たちをどう圧倒していくのか気になる!という方は、ぜひブックマークや、広告下の【☆☆☆☆☆】(カクヨムなら★)で応援をお願いします!皆さんの評価が次のネーム(執筆)の力になります!




