表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
絶滅俯瞰  作者: 遒�。�
第二章 絢爛王都ディアデム
40/42

第三十九話 共感

 初めて見る、活気溢れる王都。どこに目を向けても人がいるディアデムを、フォリンは生まれて初めて目の当たりにした。人々の営みがあるが故に、目の前に広がる景色は目まぐるしく変わっていく。幌から顔を出して外を見渡す少女の目は、初めて法術を目にした時の様に輝いていた。ずっと外を眺めていても飽きが来そうにはなかったが、「ちょっとの間、中に入っていてくれるかな?」というボルスの一言にフォリンは大人しく従い、馬車の中で腰を落ち着ける。


「初めて王都を見ると、感動するよね」


 声の主は、向かいに座っていた青年――リヒャルトだった。まだあどけなさの残る顔立ちをした彼は、つい先程閃銀騎士の中で最も若いと紹介されていた。彼は少し前のめりになりながら、フォリンへと話し掛ける。


「俺、田舎から出てきたんだ。だから、王都に来た時は今の君みたいにわくわくしてた」

「田舎というと……」

「ヘニンベルク。東部の田舎町だよ。人よりも家畜の方が多い、そんなトコロ」


 フォリンにとって、人間の街はとにかく馴染みがなかった。東部と聞いても、マルクやミリアといった"東の杜の民"のことばかりが頭に浮かぶ。自分が暮らしていたディアデムのような場所なのだろうか、とフォリンは田舎町を想像した。


「でもね。この話をしたら、団長が言うんだ。『俺はもっともーっとド田舎の生まれだ』って」

「ボルスさんが?」

「うん。ファロスっていう村の出身だそうだよ。たかーい山の上にあるんだって」


 そう語るリヒャルトは、どこか嬉しそうだった。自分と似た境遇にある人物がいることに、親近感を感じているらしい。その対象として自分も含まれていることを、フォリンは少し嬉しく感じていた。

 その時、一定の速度で進んでいた馬車が止まった。リヒャルトが前方を向き、「着いたみたいだね」と呟く。


「降りようか。ついてきて」


 自分の荷物を肩に担いだリヒャルトが、立ち上がりながらフォリンへ声をかけた。身軽な彼女はそのまま、彼の後に続く。薄暗かった幌から出たフォリンは外の明るさに少し目が眩んだが、その原因は明るさだけでは無かったらしい。

 目の前に聳える、荘厳な城。城壁を上回る圧倒的な豪華さと存在感。生きた王都を前にした彼女の心はずっと、揺さぶられ続けている。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ