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ようこそ、心清堂へ  作者: みい
第二章/第三幕「悲しみを隠して、夢を隠して」
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心清堂の店主と店員





店に戻ってきた村井は、神妙な面持ちでカウンター席に腰掛ける

カウンターで待っており、村井のいつもと違う様子に不思議に思った糸田がどうしたんです?と尋ねるも頭を抱えたまま何も答えずに、どうしたものかと思っていると村井と一緒に戻ってきた後藤がおもむろに糸田の横にやって来て、糸田に静かに声を掛けた。


「原因の一人である友人が未だに分からないから悩んでるみたいやで」


「それって、何も浮かばないから?」


「んー、まぁそういうことになるやろな」


「珍しいですよね」

村井の姿を見つめて言うと、ほんまやなとだけ呟くとふと目を細めて、一点を見つめ始めた。

それに気づいた糸田が今度は後藤に話しかけるとすぐに糸田に視線を戻して、何でもない。と答えると、カウンターの奥に入っていった。

するとずっと黙り込んでいた村井が糸田に声を掛けた。


「ちょっとあの人達にも頼んで調べて欲しい事があるんだけど」


「友人の人を探してくるんですか?」


「おー珍しく察しが良いこと」

糸田の言葉に笑みを浮かべると、行ってきます。と言い残してカウンターの奥に走っていく姿を見ながら、村井は右目に痛みを感じて表情を僅かに歪ませて押さえた。


「また痛むんか?」


「梶さん……佐々木さんも」

珍しいですね。と右目を押さえたままカウンターの奥から出てきた二人に向かって笑みを浮かべると佐々木が懐から一枚の紙を出す


「これ……」


「前に頼まれたやつや、やっと証拠になりそうなの見つけたから早めに渡しといた方がええやろって梶も言うたしな。でも今は、タイミング悪かったみたいやな」


「最近頻度が増えてるな」

梶の言葉に佐々木からの紙を受け取りながら、そうですかね?と誤魔化しながら答えるも梶は、真剣な眼差しで村井と顔を合わせると無理したらどうなるのか分かってるやろ?と問いかける


「…………分かってます」


「ほんまか?」


「……だから先代も途中で僕に譲ったんですよね?」


「分かってるならお前も……」

それはまだ出来ません。梶の言葉を遮るように即答するとそうか、梶が小さく呟くと、笑みを浮かべてさっき糸田から頼まれたやつ調べて、糸田に伝えとくわ。と言い残すとカウンターの奥に消えていった。


「梶は、ほんまに心配してるみたいやで、先代のこともあるし」


「最近右目使いすぎてるみたいで」


「たまには後藤とか糸田に任せたらええやろ」


「それは分かってるんですけどね」


「気になったら自分で調べな気がすまんってか?」

佐々木の問いかけに多分そういうことなんだと思います。と苦笑いを浮かべると右目から手を離す

手が離れた右目は、充血しており真っ赤に染まっていた。


「でもこのまま使いすぎたらあかんからな」


「……このままいずれ右目が見えなくなった方が気が楽になるかもしれませんけど」

苦笑いを浮かべたままそんなことを告げると佐々木は、表情を僅かに歪ませて……気いつけや、俺らもおるんやからなと言い残して、カウンターの奥へ

一人になった店内で村井は、また右目を押さえるとその手を軽く握り締めた。


「この店やっていなかったら今頃こんな右目は自分で潰してる」

いつもと違う口調で小さく呟いた後、右目を押さえていた手をテーブルに強く叩き付け、バンッと大きな音が店内に響き渡った。



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