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ようこそ、心清堂へ  作者: みい
第二章/第一幕「夢を捨てし者と夢を追いかけし者」
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新たな物語







あの出来事からの初めての休み明け

伊野部は、会社に向かうために電車に乗っていると後ろから肩を叩かれ、誰かが俺を呼ぶ声が聞こえた。

呼ぶ声のした方を見てみれば、そこには見覚えのある人物が……


「先輩久し振りですね」


「あーせやな、しばらく休んどったから」


「良かったです。先輩が元気になって」

なんかあったんですか?しばらく休んでた間に……不思議そうに問い掛けてきた。


「んーまぁあったっちゃあったって言うんかな……」

曖昧に答えるとなんか曖昧な答えですねと案の定言ってきた。


「もう気にしたらあかんわ!伊川お前あんまうるさいとシバくぞ」

わざと軽く頭を叩いてそう告げるとちょうど降りる駅を告げるアナウンスを合図に駅に止まり、人の流れに乗って電車から降りた。


「ちょっ痛いやないですか!って待って下さいよ!先輩」

叩かれた伊川は、頭を押さえながら先に降りた伊野部を追いかけるように電車を降りた。


「頭叩く事ないやないですか!」


「お前がしつこいからやろ」

駆け足で隣に並んで歩いて問い掛ける伊川に伊野部が呆れた様子を出しながら答える


「……ほんまいつもの先輩ですね」

伊川が不意に悲しそうな笑みを浮かべて呟いた。


「なんやねんいきなり」


「えっ?いや、独り言ですよ。独り言」

伊川は無意識に呟いていた言葉を伊野部に聞こえていたのが分かり、驚いて少し焦りながら答える


そんな伊川の様子を見て何とも言えない胸騒ぎを覚えた。


「俺が休んでる間にお前なんかあったか?」


「な、なんでですか?」


「いや、ちょっと気になって、な……」


「何もなかったですよ?変わらずいつも通り過ごしてましたけど」


「……ならええんやけど……」


まだ胸騒ぎを覚えながらもこれ以上聞いても何も答えてくれないと悟った伊野部は、それ以上聞こうとせずに歩みを進める。

そんな事を思いながら右手首の傷跡に触れていた。


「そういえば先輩の付けてるネックレス見た事ないですけど……」

首元を指差し、訊ねてきてあーこれなぁと首のネックレスを手に取る


「ちょっと休んでる間に見つけてん、で気に入っておもわず買ってもうたわ」


「へぇー……先輩がねぇ」


意外だな、納得したように頷いている伊川を横目で見ながら、ネックレスに付いている赤い石に触れた。


本当は、あの後、またあの店の前まで行くと梶に遭遇してその時に藤崎にと言われて貰った赤い石と伊野部が貰った青い石を無理に頼んで、ネックレスに加工して貰ったのを何も知らない伊川に言えるはずもなく、気付かれないようにため息を漏らしてすぐネックレスを服の中に戻した。


「……せんぱーい?どうしたんですか?」

急に立ち止まって考え込んだりして……顔を覗き込み問い掛けてきた

伊川になんでもないわ。一言だけ答え、伊川の元へ急いで歩み寄ると不思議そうに首を傾げていた。


しばらくして会社に辿り着いた。


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