第8話 隠された適性
木の陰から出てティアに話しかける。
「ティア。」
ティアは無理に笑顔を作りながら
「私、職業なかったね。」
俺はそんなティアを励まそうとするが、うまく言葉が出ない。
(違うティア、魔法使いの適性はあるんだ!何か手があるはずなんだ!)
適性があっても職業ではない…未知のスキル、識想については話せない。
「…また一緒に遊ぼう!」
こんな言葉しか掛けれない自分に腹が立つ。
ティアは笑うが、その笑顔は少し寂しい。
帰り道。
歩きながら頭の中を整理する。
(識想では適性が見える。)
(ティアには魔法使いの適性がある。)
(適性はあるが職業は無い…。)
(ここでいつも引っかかる。)
すれ違う若い村人を見る。
(識想)
???
Lv15
職業 農民
適性 商人
僧侶
……
「………えっ!」
思わず声を上げる。
村人が不思議そうにこちらを見るが笑顔で会釈をして足早に去る。
(…適性のある職業が選ばれる訳ではないのか。)
「おかえりなさい、ソウくん。」
夕焼けに染まる村を歩いていると、家の近くでエマさんと出会った。
「ただいま、エマさん!」
エマさんはよく俺のことを気にかけてくれる。
(識想)
エマ
Lv5
職業 ------
適性 裁縫師
……
あの頃は見えなかったが今は見える。
(エマさんも適性はあるのに…)
「エレナさんによろしくね。」
とエマさん。
「はーい!」
と手を振りつつ別れる。
「ただいまー!ママ、帰る途中エマさんに会ったよ!ママによろしくだって!」
「おかえりなさい。あらあら、今度お裁縫を習う約束をしたのよ。私の方がよろしくなのだけれどね。」
エレナはクスッと笑う。
家の中へ入る。
「ただいまパパ!」
「おかえりソウ。」
笑顔でそう答えたレオンは椅子に腰をかけている。
俺はレオンの向かいに座り、
「職業なしの人って、一生そのままなの?」
レオンは少し困った顔で
「優しいなソウは、ティアのことを気にかけているんだね……そのままだと言われている。だから皆、神の決定を受け入れて生きるんだ。」
「どうにもならないの?」
「パパは今まで、途中から職業を授かったなんて話は聞いたことないなぁ。」
エレナも料理を持ってきつつ会話に加わり
「ママもそんな話は聞かないわねぇ。」
そんな会話をしつつ晩御飯を食べた。
部屋に戻り
(でもティアやエマさんには適性があるし、職業と適性が違う人もいる。)
(神様が間違えるなんてあるのか?)
(それとも、この世界には誰も知らない秘密が隠されているのか?)
といつもの妄想をしてしまう。
(ステータス)
ソウ
Lv 1
職業 想士
スキル 想
派生スキル 識想 Lv1
「識るだけじゃ意味がない。」
「俺はティアを救いたいんだ。」
ステータスの【想】だけが一瞬淡く光った。
「今のは…?」
第8話 終




