第6話 授かりし職業
神父が水晶を見て固まっている。
光で目を細めていた村人達も
「どうした?」
「水晶に何が見えたんだ?」
とざわめく。
レオンとエレナは心配そうにこちらを見ている。
………………
神父が震えながら言葉を発する。
「この者の職業は……」
『想士』
「聞いた事ない職業だ、お前聞いた事あるか?」
どうやら村人達は誰も知らないらしい。
神父も困惑している。
「昔は王都の教会に在籍していたのだが、このような職業は初めてだ。」
(……!?眩しさに驚いて思考が止まりかけていた。…今なんて言った?)
(王都の教会にいた神父ですら知らない職業…!?)
(…ゲームでも聞いたことのない職業だ。)
(…未知の職業だろうがなんだろうが、妄想好きの俺にはむしろご褒美だ。)
(勇者でも賢者でもない。)
(誰も知らない職業。)
(そんなの最高じゃないか。)
(自分のステータスを見るにはお決まりだよな。ステータス!)
と頭で念じた。
ソウ
Lv 1
職業 想士
スキル 想
------
(スキル項目がある!想?なんだこれは?)
「古い文献など調べれば何か分かるかも知れぬが…現段階では何もわからぬ。」
神父が首を横に振った。
「すげー!やっぱりソウは普通じゃねぇな!」
カイルは興奮している。
「神父様も聞いたことのない職業…」
レインも興味津々だ。
「聞いた事のない職業…さすがソウだ!」
レオンはいつもの様に褒めてくれる。
「珍しい職業だからと言って気負わずソウらしく育てば良いのよ。」
エレナは優しい言葉をかけてくれた。
おそらく両親は俺に職業がなくても優しくしてくれるだろう。
俺はティアの方を見る。
ティアはまだ落ち込んでいる。
職業!しかも珍しい!…しかし落ち込んでいるティアの前では素直に喜びを表せない。
ティア
Lv 1
職業 ------
……
すると一瞬だけ
ティア
Lv 1
職業 ------
…… 魔法使い
…えっ?
ティア
Lv 1
職業 ------
……
それから何度ティアを見ても元の表示のまま…
その後は何人かの子供達が職業を授かった。
神父の声も、村人達の歓声も、
俺にはほとんど耳に入らなかった。
頭の中にはティアの表示だけが焼き付いている。
職業の儀は終わり、教会を後にする。
家に着くなり、自分の部屋に飛び込む。
俺は初めての職業、スキルに興奮しつつステータスを再度確認した。
職業、スキルの説明はどこにもない。
「スキルがあるなら、試すのがお約束だよな!」
「スキル!想!」
片腕を伸ばし掌を前へ。
…しかし何も起こらなかった。
「発動条件があるのか?」
「何か想像しながらとか?」
「なら…お腹も空いたし…パン!肉!ケーキ!想!」
…しかし何も起こらなかった。
「想って結局なんだ?」
「妄想?」
「想像?」
「幻想?」
本当に何だろう?…
そして職業の儀の出来事…ティアの事を考える。
あれは絶対に見間違いじゃない。
ティアには何かある。
答えの出ない考えが頭の中を巡る。
その時ーー
ステータスの文字が淡く輝いた。
スキルの想だけが光っている。
頭の中で声が聞こえた。
『条件を満たしました。』
『固有スキル【想】を解放します。』
『派生スキル【識想】を取得しました。』
『識想 Lv1』
第6話 終




