第51話 悪童
朧響と共に、長老を自宅に送り届けた後。
俺は祠であったことを説明する。
酒天黒、神鬼族、アルカビーゴス。
すると、長老と朧響が何やら話し始めた。
俺はその隙をみて、
「酒天黒から託された固有スキル[悪童]。それにしても[悪童]って、すごい名前のスキルだな。」
「強くなればなるほど、恩恵が無くなるって言ってたけど、どんな能力なんだ?」
俺は[悪童]を確認する。
「なになに……自分よりレベルの高い敵対対象とのレベル差×10%、自身の全能力値が上昇する!?レベル差×10%!?これめちゃくちゃチートスキルじゃん!まさに格上殺し……半端じゃないな。レベル差だから強敵のレベルに近づけば近づくほど恩恵が無くなる……酒天黒が言っていたのはこういうことか。」
俺は酒天黒が残した言葉に一人納得する。
「このスキル……少し試してみたいな。酒天黒が言い忘れてたスキル効果も気になる。」
長老との会話を終えた朧響に視線を向け、声を掛ける。
「ロ〜ウちゃん。新しく覚えたスキル、一緒に試して欲しいなぁ。」
俺は子供っぽくおねだりしてみる。
「ほう……我を実験台にしたいと?」
朧響は俺の言葉遣いを訝しんでいる。
「実験台なんて大袈裟だな。」
おねだり攻撃は失敗か。そう思っていると。
「仕方ない……まぁ良いだろう。」
(いいのかよ!)
おねだりが成功していたのか……。この鬼、意外とあまい。
俺は自分のレベルを確認し、朧響に識想を発動する。
ソウ
Lv28
朧響
Lv75
「俺はオーク達を倒したときにレベルが上がって28。朧響はレベル75か……やっぱりレベル高いな。レベル差47か。[悪童]を発動すると470%、全能力値上昇。想力+160%もあるから……。」
「ちょっと待て。今、上昇値470%って聞こえたが何をするつもりだ!?」
朧響は少し焦ったように俺の言葉を遮ってくる。
「この前、朧響が俺に襲いかかってきた時があっただろ?あの時を100%として、そこに470%上昇をプラスするから570%……約6倍の[火球]が出るのか試そうと思って。」
俺は笑顔でそう答える。
「あの時の6倍……6倍は少し試す範疇を越えているのではないか?あの時でもそれなりの威力だったからな。」
やめた方がいいだろうと、朧響は一人頷いている。
「いくら朧響でも、気軽に試せるスキルじゃないか。そうか、朧響じゃ無理かぁ。残念だなぁ。」
俺は様子を伺うと、朧響は頷くのをやめる。
「……誰も無理とは言っておらんが?」
「いやいや、そこはやめとこうよ。ちょっと煽ったのは謝るよ。威力を考えたら、俺もそんな[火球]を放ちたくないから!」
我なら余裕だと強がる鬼をなんとか宥める。
スキル[悪童]……酒天黒は、スキル発動前に敗れた。俺は同じ失敗をしない。スキルを試すことはできなかったが、アルカビーゴス、こいつを見つけたら最初から全力でスキルを叩き込む。
俺はそう決意した。
第51話 終




