第4話 村人の職業
あれから三年半
俺は五歳になっていた。
今日も村の子供達と外で走り回る。
転んで、泣いて、笑い合い、また走る。
「よし、今日は砂でお城を作ろう。」
「面白そうだな。ソウはいつも色々な遊びを考えるよな!」
何にでものってくれる元気な子がカイル。
「砂で服を汚したらまたママに怒られるよー。」
真面目で後の事を考えるのがレイン。
「いつも駆け回って汚してるんだから一緒よ、私が1番すごいお城を作るわ。」
明るく負けん気な子がティア。
「皆で大きなお城を作ろうと思ったけど個人戦なのか。」
俺はクスッと笑う。
あの日以来、村を歩けば自然と視線は人へ向く。
カン、カン、カン!
赤く燃える炉の前で剣を叩く鍛治士。
お客さんが来たので手を止めて相手をしている。
あの人は鍛治士より騎士だな。
背筋は真っ直ぐで礼儀正しい。立ち姿まで騎士そのものだ。
キィキィキィ…
野菜を載せた荷車を引く農民。
遠くの小屋を見つめ、淡々と歩いていく。
農民よりも弓使いだ。
あの鋭い目つき、絶対弓構えた方が似合う。
そんな妄想をしつつ友達と遊ぶ。
しかし、約半数の人のステータスに違和感を覚える。
例えばダリオさんの妻のエマさん。
エマ
Lv 5
------
……
職業だけが------になっている。
遊びと妄想に夢中になり、いつの間にか日が暮れ始めていた。
「それじゃまた明日ね。」
皆と別れて家へと帰る。
「ただいまー!」
「ソウちゃんおかえりー。今日もいっぱい遊んできたのね。服が砂まみれよ。パパとお風呂に入ってきてね。」
「はーい!パパお風呂に入ろー」
「おかえりソウ!一緒にお風呂に行こうか。パパも汗でベタベタだぞー!」
そう言って頬を擦り付けてくる。
「くすぐったいよパパー」
俺は無邪気に笑う。
二人で騒ぎつつお風呂場へ向かう。
身体を洗い湯船に浸かる。
「ねぇ、パパ。職業って皆違うの?」
「ソウももう五歳だもんな。職業が気になるか。」
レオンは笑いながら頭を撫でた。
「そういえば話してなかったな。人は五歳になると神様から職業を授かる儀を行うんだ。」
(五歳かぁ…ってもう五歳じゃん!話してなかったな。じゃないよ!超重要じゃん!)
声に出すのを我慢する。
「職業の儀を受けると自分だけが見られるステータスが現れる。」
(おっ、やっぱりステータスがあるんだ。)
「そこにはレベルと職業、それからスキルが表示される。」
「自分だけ?」
「そうだ、他人のステータスは本人が許可しない限り見ることはできない。職業の儀などに用いられる鑑定の水晶があれば別だけどね。」
(えっ、普通に他の人の職業見えてるけど!?)
「農民も薬師も、この村には欠かせない職業だ。戦士や魔法使いも村を襲う魔物から皆を守る役割がある。」
「そしてレベルを上げ、努力を重ねれば新しいスキルを覚えることもあるんだぞ。」
「スキルを?」
「ああ。同じ職業でも覚えるスキルは人それぞれだ。鍛え続ければ、できることも増えていく。」
「じゃあ職業も変わる?」
レオンは首を横に振る。
「いや、職業は神様から授かった一生の力だ。一度授かった職業は決して変わらない。だからこそ、自分の職業を信じて努力するんだ。」
「じゃあ、どうして職業がない人もいるの?」
職業表記がない人達…気になっていたことだ。
「そのことについては職業の儀で神父様から説明がある…パパはどんな結果になってもソウの事が大好きだからな!」
頭をわしわし撫でられる。
結局はぐらかされてしまったが職業の儀で判明するだろう。
ーーーーーーーーーーー
(そして今日はいよいよ職業の儀だ。)
今日は周辺の村々からも、五歳の子供達が集まっていた。
この辺りで唯一教会がある村だからだ。
教会は小さな石造りの建物。
教会へ向かう途中、いつも遊ぶ三人と出会う。
「俺は戦士になれるかな!?」
興奮気味のカイル。
「私は職業を授かって冒険者になりたい!」
ティアは希望を胸に元気よく歩く。
レインは緊張しているのか、教会を静かに見回している。
俺はと言うと…
(やっと職業につける!職業無しからジョブチェンジだ!)
ワクワクで胸がいっぱいになっていた。
中へ入ると木の長椅子が並び、奥には女神像が静かに立っていて、その前には職業鑑定用の水晶が置かれている。
(女神様がラスボスって落ちとかないよな?)
俺は不謹慎な妄想をしてニヤリとする。
大事な場面なのに悪い癖が出てしまった。
色鮮やかなステンドグラスから差し込む光で床を照らし、外とは違う静けさで子供達は緊張した面持ちだ。
しかし俺だけは
(何の職業になるんだ?)
興奮で口元が緩む。
神父が静かに口を開く。
「それでは職業の儀を始める。」
俺は期待を胸に水晶を見つめる。
第4話 終




