第34話 奇襲
隠密を維持したまま魔物の群れを観察する。
(まずは数を減らす。オークは後回しだ。)
群れの側面に移動する。
「樹木操作!」
魔物たちの背後にある草や蔦を操り、ブラックウルフやゴブリン数匹を拘束する。
「火球!」
ドォン!
拘束した魔物、さらに周囲の魔物や樹木も吹き飛ばす。
想力+150%の火球Lv3
(……使っといてなんだけど引くわぁ。)
俺は顔をひきつらせる。
魔物たちは突然の攻撃に戸惑っている。
その隙に大きめの枝を拾う。
(急いで来たから武器を忘れてた…これを使うしかない。)
「樹命!」
[命ある対象の生命力を活性化させる。]
枝の生命力を活性化させて、するどく尖った槍のように成長させる。
(まだ気付かれてないな。)
『大丈夫です。』
イデアさんもいると思うと心強い。
今度はビッグベアとその周辺にいる魔物たちに、
(まだ取得したばかりだけどこのスキル名なら。)
「氷壁!」
取り囲むように氷の壁を作る。
「魔力操作!」
魔力を糸状に細く伸ばす。
「糸加工!」
魔力の糸が一本の丈夫な魔力糸へ変化する。斜め上に伸びている木の枝へ魔力糸を引っ掛けて、一気に縮める。
俺の身体が宙へ引っ張られ、枝の上へ移動する。
氷壁に囚われている魔物たちの頭上へ、
「氷弾!」
無数の小さな氷の礫が勢いよく発射され、魔物たちを消滅させる。
(氷弾は一発じゃなくて複数飛んでいくのか。)
魔力糸を引っ掛けて飛び降りる。
グルルルル……。
ブラックウルフがこちらに突っ込んでくる。
(さすがにバレたか!)
槍を構えて迎え撃つ。
飛びかかってくるタイミングに合わせて、
「乱れ突き!」
ブラックウルフ二体を同時に貫き倒す。
背後から気配を感じて咄嗟に前へ飛び退く。
ズガン!!
大きな棍棒が地面を穿ち土煙を上げる。
「おいおい、これ直撃したら即ゲームオーバーだろ。」
目前の脅威から目が離せなくなる。
オークが村の方へ指を向ける。
すると、その動きに反応するように十数匹の魔物が村の方へ駆け出した。
(……数は減らせたはずだ。後は村の皆を信じよう。)
オークは棍棒を構え、ゆっくり片足を上げる。
次の瞬間ーー
地面を蹴ったオークが、凄まじい勢いで眼前へと迫ってきた。
「!? 氷壁!」
オークとの間に壁を作り、横へ飛び直線上から離脱し草むらへ飛び込む。
ズガーーン!!
オークは突進の勢いをそのままに棍棒を振り抜き、氷の壁を軽々と撃ち砕いた。
(パワータイプに機動力持たせたらダメだろ!スキルなかったら一瞬で終わってたぞ!)
俺は息を整える。
(識想)
オーク
Lv35
種族 オーク種
スキル
指揮Lv3
瞬蹴Lv3
(指揮はさっき指示を出してたスキルか。なら気をつけるのは、この瞬蹴のみだな。やっかいなのは機動力、だったらその瞬間を狙うまでだ!)
オークの背後に飛び出して、
「挑発!」
オークは振り向き、先ほどと同じようにゆっくりと片足を上げる。
「狙い通り!それを待ってたんだよ!樹木操作!」
片足が地面を蹴るその瞬間に無数の蔦をその足に絡み付かせる。
ズドン!
もの凄い勢いで巨体は前へと倒れた。
「よし!氷壁!」
倒れたオークの周囲と頭上を氷壁で囲む。ただし、俺との直線上だけは開けておく。
(氷壁で動きを封じて、至近距離から叩き込む!)
「これでもくらえ!火球!」
ドォーーーン!
氷壁で囲まれた空間で火球が炸裂する。
轟音とともに、氷壁ごとオークの巨体が吹き飛んだ。
「……なんとかなったけど、スキル持ちの魔物は厄介だな。予想外の攻撃が来る…。」
俺は村の方へ体を向け、
「早く村へ帰らないと!」
移動しようとした時。
『後方………危険です。』
(待て待て待て…大きな気配は倒した強敵じゃなかったって言うゲーム展開か?……いざその展開を体験すると、かなり堪えるぞ!)
俺は溜息を吐きながら振り返る。
そこにいたのは………。
第34話 終




