第29話 森の異変
〔ソウ!大変なの!〕
小さな光が俺の前で止まる。
「リュネア!?そんなに慌ててどうしたの?」
周囲を見ると、皆が不思議そうな顔でこちらを見ている。リュネアの声は聞こえておらず姿も見えていないらしい。
〔森がおかしいの!祠から解放されてすぐには気付かなかったんだけど、小さな違和感があったの…。〕
〔調べてみたら、魔物同士が協力していたり、大きな気配がしたと思ったら消えたり…。〕
リュネアは必死になって伝えてくる。
〔気配の正体はまだ分からないけど、森の奥に魔物がたくさん集まってきているの!魔物同士が争わない分、食糧が足りてないみたいなの…このままじゃソウの住んでる村が危ないの!〕
「村が危ない!?」
俺は驚きの声をあげる。
「村が危ないって…ソウ坊、どうしたんだ?」
ガレスさんが不思議そうに聞いてくる。
(リュネアを認識できていないのか。)
俺は今聞いた話を皆に伝える。
そして、
「リュネア、姿を現すことってできない?」
〔うーん…精霊は人間には見えないの。そういう存在なの…だから姿を現すことは出来ないの。でも、スキルを使ってここに居るって証明ならできるの。〕
そう言うと、
〔樹木操作。〕
周囲の枝や葉を操作して小さな人形を作り出し、自由に動かす。
「すごい!精霊はおとぎ話じゃなかったのね。」
ティアは感動している。
ガレスさんとカイルも人形に釘付けだ。
「精霊の…リュネアさん。教えてくれてありがとう。村に帰って対策を練るよ。」
ノアさんはいつも通り冷静に話をする。
〔それがいいの!〕
リュネアは、人形の首を縦に振り頷いている。
「俺たちは村に帰るよ。リュネア、お願いがあるんだけど、魔物が動き出したら教えて欲しい。」
〔任せるの!何かあればすぐに伝えにいくの!〕
人形は手を左右に振る。
別れの挨拶をして森を後にする。
帰りの道中、
ノアさんが話しかけてくる。
「それにしてもソウくんには驚かされてばかりだな。ブラックウルフとゴブリンを一人で倒してしまうし、精霊とも会話できるなんて。」
「たまたまですよ。そんなことよりも村が心配ですね。早く帰って何か対策を練りましょう。」
俺は話を逸らす。
「そうだね。まずは村長にこのことを伝えよう。」
第29話 終




