第26話 精霊
スライム地獄から一年。
六歳になった俺たちはガレスさんとノアさんも加わり、村の外で訓練を続けていた。
スライム以外の魔物、ホワイトラビットやホーンラビットとも戦えるようになった。
そして、七歳になった頃。
『識想Lv3になりました。』
『新たな機能を解放します。』
訓練が終わり、祠の前を通ると、
〔……。〕
声が聞こえる。
「…ん?」
周囲を見るが誰もいない。
しかし、
〔…森に……帰りたいの…〕
「誰!?」
祠の方から声が聞こえるが誰もいない。
俺は祠に識想を使ってみる。
???
Lv ---
種族 精霊
職業 ---
適性 森の守護者
スキル
???
「種族!?精霊!?」
(今まで聞こえなかった声や種族表記…識想のレベルアップ効果なのか…?)
『はい。』
イデアさんが肯定してくれる。
精霊にも職業があるのは驚いたが、とりあえず対話を試みる。
「森に帰りたいなら、どうして帰らないの?」
〔私の声が聞こえるの!?〕
〔…それができないの…実は数十年前、この祠で休んでいたらいつの間にか祀られて、そのまま離れられなくなってしまったの。〕
〔私を祀っても何も恩恵はないの。森の様子が心配なの…だからお願いなの。村での様子はここから見ていたの。ソウには特別な力があるんでしょ?何とかして欲しいの。〕
(えっ!?見てたの!?それに名前まで…でも俺のスキルまでは理解していないようだな…。)
「分かったよ。一緒に帰れる方法を探そう。」
(探すというより、一番可能性があるのは共想なんだよな…森の守護者になれたら祠から解放されるのかな…?)
確証はないが試してみる価値はありそうだ。
〔ありがとなの!私リュネアって言うの。よろしくなの。〕
「よろしくリュネア。なら…さっそくだけど…森の守護者になりたいと思わない?」
(数十年も縛りつけられているのは可哀想だ…。)
俺は単刀直入に聞いてみる。
〔…えっ!?どういうことなの?〕
リュネアは困惑している。
「俺の力は、他の人の職業を適性のあるものへ変えることができるんだ。リュネアには森の守護者になれる可能性があって、もしかしたら祠から解放できるかなと思って聞いたんだけど…どう?」
〔そういうことだったの!だったら是非なりたいの!私、森が心配なの。森の守護者になれるのならそれがいいの。〕
「森が心配という気持ちは伝わった。森を守りたいというリュネアの願いを叶えたい。」
俺はスキルを発動する。
(共想。)
リュネアの必死な思いが胸を熱くする。
『共想中…。』
『完了。』
リュネア
Lv ---
種族 精霊
職業 森の守護者
適性 森の守護者
スキル
樹命Lv2
樹木操作Lv2
森羅感知Lv2
森の加護Lv2
あっさり共想が成立した。
それほどまでにリュネアの「森に帰りたい」「森を守りたい」と言う思いが強かったのだろう。
声だけだったリュネアは光を纏いながら、両手に収まりそうな小さい姿を現す。
しかし、光が強過ぎてどのような見た目なのかは確認できない。
〔……信じられないの…ありがとなのソウ!これで自由になったの!私は早速森に戻るの!いつかお礼をするの!またねなの!〕
光は一目散に森の方へ消えていった。
『世界の理の一部を覆しました。』
『共想対象4。』
『共有スキルを獲得。』
(また不穏なことを…他種族に職業を与えたのが理を覆したことになったのか?)
そもそも世界のルールすら分からないので考えても無駄である。
俺は[想力+40%]と新たに樹命Lv1と樹木操作Lv1を獲得したのだった。
そして獲得した共有スキルを活用しつつ一年が過ぎ、俺たちは八歳になった。
第26話 終




