第18話 冒険者ガレス
遠くの家から朝ごはんの良い匂いが風に乗る。
今日は朝から開けた場所で、獲得した共有スキルを試す。
「魔力操作と糸加工…イメージしてる通りなら組み合わせたら面白いことができそうだ。」
(これ、とんでもないスキルなんじゃない?)
そんな予感に胸が躍る。
まずは右手を覆うイメージで魔力操作を発動してみる。
「右手が半透明の靄のようなものに覆われている!…これが魔力なのか…?」
正直訳が分からないがテンションがあがる。
「とりあえず魔力と仮定して…。」
俺は一本の細い糸をイメージする。
半透明の靄が少しずつ細く伸びて一本の糸へ変化する。
「おぉ!」
続けて糸加工を発動する。
半透明だった魔力の糸が白い銀色へと変わる。
指で弾いてみても、びくともしない。
「これ凄くないか!?」
思わず一人で興奮する。
木の枝に引っ掛けて、ぶら下がってみる。
…切れない。
俺の体重くらいなら十分支えられるようだ。
「これはかなり応用力がありそうだな。」
「ただ…魔力を使ったせいか結構疲れるな。」
(木の枝に魔力糸を伸ばして引っ掛け、縮めながら移動しても良いな。糸を周囲に伸ばして敵感知に利用するのもありか。)
できるか分からないが妄想するのは大事だ。
そんなことを考えながら村を歩いていると、
エマさんとこの前の冒険者が話をしている。
「こんにちは。エマさん、冒険者さん。」
「あら、こんにちはソウくん。」
「ようソウ坊!そう言えば自己紹介がまだだったな。俺はガレス。冒険者をやっている。職業は戦士だ。数年前からレオンさんに世話になってるんだ。」
手を差し出してくる。
(ソウ坊って…レオンの知り合いなら俺のことも知ってるか。)
「ガレスさん、よろしくお願いします。」
俺も手を差し出すと、ものすごい勢いで手を上下に振られる!
(いやいやいや、子供には強すぎるって!)
(識想)
ガレス
Lv 31
職業 戦士
適性 騎士
スキル ???
(いててて、…?ガレスさん、適性は騎士なのか。)
(それにスキル表示は「???」…。共想を使った相手だけスキルが見えるのか?それとも、一度見たスキルだけ情報が補完されるとか…?ゲームじゃないんだ。そんな都合の良い仕様な訳ないか。)
一旦、スキル情報については考えるのをやめる。
「あらあら、ガレスさん。ソウくんの腕が痛そうだわ。」
笑いながらとめてくれる。
「それじゃエマさん、この服を頼むよ!」
「承ったわ!魔物と戦う度に破いて帰ってくるけど大丈夫なの?」
「あぁ、ついつい皆の前に出ちまうんだ…。」
(もしかして騎士適性だから、無意識に皆を守ろうとしてしまうのか…?)
「でもエマさんに頼んでから新品みたいに返ってくるから嬉しくてね。すぐ頼んじまう。村でも評判になってるぜ!」
エマさんは嬉しそうに照れている。
「それじゃ、俺は相棒のお見舞いに行くからよろしく!ソウ坊もまたな!レオンさんによろしく!」
笑顔で手を振るガレスさん。
しかしその笑顔はどこか無理をしているようにも見えた。
第18話 終




