第16話 エマの夢
新たなスキルを獲得して数日が経った。
共有スキルには無限の可能性がある…。
(スキル増やしたい!)
かつてのゲーマーの血が騒ぐのを抑えられない。
獲得条件が他者に職業を与えるだった場合、レオン達に秘密にしてもらっている手前、おいそれと実行することはできないというジレンマ。
(うわーー!この葛藤どうすればいいんだ!)
そんなことを考えながら歩いていると、
「こんにちは。何か考えごと?」
ふいに声をかけられた。
「エマさん、こんにちは。うん…ちょっと考え事をしてて…。」
庭にテーブルを広げて、古い服を繕っているのを目にする。
「お外で服を繕っているの?」
「そうよー。今日は気分転換に、古い服を繕ったり新しい服を仕立てたりしているのよ。昔から服を作ったり、縫い物をするのが大好きなの。職業がない私には、仕事にするのは難しいけどね。」
ニコニコと話してくれる。
縫い物が本当に好きなのが伝わってくる。
(識想)
エマ
Lv5
職業 ------
適性 裁縫師
……
「エマさん、本当は服を作る仕事がしたいの?」
エマさんは少し笑い、
「村の人たちに丈夫な服を作ってあげられたら素敵よね。」
と、どこか寂しそうに手を動かす。
「…あら…糸がなくなったみたいね。」
「僕、糸を取ってくる!」
「そう?ならお言葉に甘えようかしら。」
エマさんは優しく笑って頷いた。
俺は糸を取りに家へ走り出す。
(裁縫師……。)
(エマさんにも職業を与えられたら…もっと好きなことができるのかな…。)
第16話 終




