第11話 足りないもの
翌朝、俺は昨日の言葉を思い出す。
(『願いだけでは届かない。』…か。)
何が足りないのか考えながら村を歩く。
無意識にティアの家へと向かう。
今日も家の前で木の枝を握りしめたまま俯いている。
(ティアの笑顔が見たい。)
そう思い近くの花で冠を作る。
「おはよう、ティア!花の冠を作ったんだ!」
「おはよう、ソウ。」
ティアは花の冠に目を奪われている。
そっと冠を頭にかぶせると、ティアは少し照れくさそうに笑った。
俺は聞く。
「ティアは魔法使いになりたいの?」
ティアは少し黙っていたが、
「うん。どうしてわかったの…?」
俺はここ数日、ティアのことが気になり、枝を振っているところを見たと正直に話す。
「見られちゃってたか…実はママが病気なの。だから冒険者になってお金を貰い、ママを助けたいって思ってた。でも…職業を授からなかった。」
…ティアの母が病気だったとは気が付かなかった。
「ティア…ママを助けたいって思えるティアは、本当に優しい。」
俺はティアの手をとる。
「でも思うだけじゃダメなの。」
ティアは困ったように笑う。
「理由は説明できない。でも信じて欲しい。ティアには魔法使いになれる可能性がある。」
(まだ確信はない…でも、方法はきっとある。)
ティアは驚いたように俺を見つめる。
「…本当に?」
その瞬間
【想】が光る。
頭の中で声が響く。
『条件を確認』
第11話 終




