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灰の星の神子  作者: Tatsumaru


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第八章 学校へ行こう

 第四特級《虚空》リナリエッタ・レーヴェンが正式に誕生した翌朝。


 共和国では国家安全保障会議が継続され。


 帝国では軍務省と皇室府が新たな配置計画を作り始め。


 複数の国が外交方針を見直し。


 星間市場では帝国関連銘柄が動き。


 いくつもの艦隊司令部が警戒水準を変更した。


 そして。


 その中心にいる本人は。


「父ちゃん! 靴下片っぽない!」


 侯爵邸の廊下を走り回っていた。


「なぜ私に聞く!」


「昨日ここに置いた!」


「お前の部屋だろう!」


「ないんだって!」


「侍女に聞け!」


「自分で探しなさい!」


 別方向からクラウディアの声が飛んできた。


「はい!」


 リナは踵を返す。


 直後。


「廊下を走らない!」


「はい!」


 速度だけ少し落とした。


「返事だけはいいな」


 食堂でその声を聞いていたユリウスが呟く。


 アルベルトは朝から頭を押さえていた。


「特級認定翌日くらい、もう少し静かにできんのか」


「父上」


「何だ」


「昨日まで『普通の子供として暮らさせたい』とおっしゃっていましたよね」


「言った」


「かなり普通ですよ」


「普通すぎる!」


 やがて、リナが戻ってきた。靴下は両方履いている。


「見つかった!」


「どこにあった」


 ユリウスが聞く。


「ベッドの下」


「なぜ入った」


「分かんない」


「お前の物だろ」


「靴下に聞いて」


「靴下は喋らない」


「魔道具なら喋るかも」


「お前の靴下を魔道具にするな」


 リナは椅子へ座った。


 今日の服は昨日の認定式のようなものではない。


 濃紺の制服。


 白い襟。


 初等部を示す細い徽章。


 髪もクラウディアが最低限だけ整えた。


「これなら走れる」


 リナは満足そうだった。


「走るなと言っているでしょう」


「クラウディアさん、学校でも?」


「当然です」


「学校って自由なとこじゃないの?」


「誰から聞いたのです」


「前の世界の記憶?」


「信用ならない情報源ですね」


「私の頭だよ!」


 ユリウスが笑う。


「少なくとも学院は、好き勝手していい場所じゃないぞ」


「兄ちゃんも怒られた?」


「ある」


「何したの?」


「……」


 ユリウスが視線を逸らす。


「兄ちゃん?」


「時間だ」


「何したの?」


「遅れるぞ」


「教えてよ!」


「行くぞ!」


     *


 帝国中央魔法学院。


 その正門を見た瞬間、リナは立ち止まった。


「……大きい」


「お前の基準だと大抵の建物は大きいだろ」


 横に立つユリウスが言った。


「侯爵邸より大きい」


「学校だからな」


「何人いるの?」


「かなり」


「かなりって?」


「初等部、中等部、高等部を全部合わせれば――」


「数字はいい」


「聞いたのはお前だろ!」


 リナは門の向こうを見る。


 制服姿の子供たち。


 小さい子。


 自分くらい。


 大きな子。


 そして。


 そのほとんどがこちらを見ていた。


「……兄ちゃん」


「何だ」


「みんな見てる」


「ああ」


「私、服変?」


「違う」


「髪?」


「違う」


「顔になんかついてる?」


「ついてない」


「じゃあ何?」


 ユリウスは少しだけ迷った。


「昨日のことは、もう帝国中が知ってる」


「昨日?」


「特級認定」


「ああ」


 リナは自分の鞄を見る。


「でも今日、学校でしょ?」


「ああ」


「じゃあ関係なくない?」


 ユリウスは妹を見る。


「……お前はそう思うんだな」


「うん」


「それでいい」


「兄ちゃんは?」


「僕?」


「みんな見てるよ」


「お前の兄だからな」


「大変だね」


「他人事みたいに言うな!」


 リナがニカッと笑う。


「じゃ、行こ!」


 門をくぐった。


 視線は消えなかった。


     *


 初等部五年の教室。


 リナが入った瞬間、話し声が止まった。


「……」


 リナも止まった。


 教師が少し困った顔をする。


「皆さん。今日から新しい友達が加わります」


 知っている。


 全員の顔にそう書いてあった。


「リナリエッタ・レーヴェンさんです」


 リナは一歩前へ出る。


「リナでいいよー」


 ニカッ。


 一番後ろの席から誰かが吹き出した。


 教師がほんの少し安心した顔になった。


「では、リナさん。簡単に自己紹介を」


「自己紹介」


「名前と、好きなものなどで構いません」


「好きなもの……」


 リナは考えた。


「ご飯」


 教室が静まる。


「あと、パン。お肉。果物。甘いやつ」


 後ろの方でさっき笑った子が肩を震わせている。


「それから畑も好き。木登りもまあまあ。勉強は……」


 少し考える。


「これから頑張る」


 教師が咳払いした。


「とても正直ですね」


「うん」


「『はい』」


「はい」


 教室の空気が少しだけ緩んだ。


 それでも。


 リナを見る目にはまだ何かある。


 好奇心。


 恐怖。


 尊敬。


 警戒。


 十歳の子供たち自身も、どう見ればいいのか分からない。


 一人の少女。


 侯爵令嬢。


 そして。


 一人で惑星を壊せると国家が認めた存在。


「席はあそこです」


 教師が示した。


 窓際。


 後ろから二番目。


 リナが歩く。席へ着く。


 すると。


 隣の男子がちらちらこちらを見る。


 リナも見る。


 目が合う。


 男子が慌てて逸らす。


「ねえ」


「な、何」


「私になんかついてる?」


「ついてない!」


「じゃあなんで見てたの?」


「……」


「?」


 男子は。


 少し悩んだ末。


「本当に特級なの?」


 聞いた。


「うん」


「惑星壊せる?」


「たぶん」


「たぶん!?」


「試験では壊してないから」


「じゃ、じゃあ……」


 男子の顔が少し青ざめる。


「怒ったら教室とか吹っ飛ぶ?」


 リナは少し考えた。


 笑って済ませることはできなかった。


「吹っ飛ばさないよ」


 そう言ってから。


「……たぶん」


 と付け足した。


「たぶん!?」


「前に怒った時、私、自分でも分かんないまま船いっぱい消したから」


 カイルの顔から血の気が引く。


 ニュースで聞いていた。


 リューベック連星国の艦隊消失。


 その中心にいた少女が。


 今。


 隣の席にいる。


「……怖くないの?」


「何が?」


「自分が」


 リナは黙った。


「怖いよ」


 今度は迷わなかった。


「だから学校来た」


「学校に?」


「ちゃんと覚えたいから」


 男子はリナを見る。


「……ふーん」


「名前は?」


「カイル」


「カイル」


「呼び捨てかよ」


「ダメ?」


「別に」


「じゃあカイル」


「二回言うな」


 リナは笑った。


「よろしく」


「……よろしく」


 教師が教壇から二人を見る。


「そろそろ授業を始めても?」


「はい!」


 リナの返事だけ妙に大きかった。


     *


 一時間目。


 帝国語。


 リナは開始十分で己の敵を理解した。


「……読めない」


「声が出てるぞ」


 カイルが小声で言った。


「この字、似てるの多すぎない?」


「普通だろ」


「普通じゃないよ。こっちとこっち、ほぼ同じじゃん」


「全然違う」


「どこが?」


「ここ」


「ちっちゃ!」


「そこが違うんだよ」


「こんなの分かる!?」


「先生に聞こえるぞ」


 聞こえていた。


「リナさん」


「はい!」


「分からないところは質問してください」


「全部分かんないです」


「……では、一つずつやりましょう」


 笑いは起きなかった。


 教師は本当に一つずつ教えた。リナも本当に一つずつ覚えた。


 前世の記憶がある。算数に近いものは得意。考えることも嫌いではない。


 だが。


 文字も。


 帝国の歴史も。


 貴族の常識も。


 学ばなければ知らない。


 それは。


 恥ではない。


 単に。


 今まで学ぶ場所がなかっただけだ。


 二時間目。


 算術。


「え、これでいいの?」


「……正解」


 カイルが言った。


「簡単だね」


「嫌味か?」


「なんで?」


「帝国語で死んでた奴が急に元気になるな!」


「私、数字好き」


「偏りすぎだろ」


 三時間目。


 魔法基礎。


 教室の空気が少し変わった。


 教師が机の上へ小さな訓練球を置いた。


「今日は魔力を一定量だけ流し、球を浮かせます」


 リナが嫌な顔をした。


「壊しちゃダメ?」


「絶対に」


「……休んでもいい?」


「駄目です」


「先生、厳しい」


「天壁閣下から、あなたを特別扱いするなと言われています」


「サイラス先生!」


「閣下は学院教師ではありません」


「みんなそれ言う」


 隣でカイルが吹き出した。


「お前、天壁と知り合いなの?」


「昨日会った」


「昨日!?」


「先生っぽいよ」


「そこじゃない!」


 訓練が始まる。


 他の子供たちの球が。


 ふわり。


 ふわり。


 浮かんでいく。


 リナも手をかざす。


「ちょっとだけ……」


 魔力を。


 本当に。


 少しだけ。


 流す。


 球が。


 びくりと震えた。


「よし」


 浮く。


 一センチ。


 二センチ。


 三センチ。


 リナの顔が明るくなる。


「できた!」


 その瞬間。


 球が。


 天井へ突き刺さった。


 ドンッ。


「……」


 教室全員が天井を見る。


 丸い訓練球が半分めり込んでいる。


 リナはゆっくり手を下ろした。


「……壊してない」


 教師が深く息を吸った。


「確かに」


「セーフ?」


「天井は壊れました」


「あ」


 カイルが机へ突っ伏した。


「お前、面白すぎる……」


「笑い事じゃないよ」


「お前が言うな!」


     *


 その頃。


 共和国首都。


 地下深くの軍事施設。


「つまり」


 赤髪の女性は資料をぱらぱらめくりながら言った。


「十歳のお嬢ちゃんが一人増えたから、皆さん昨日から眠れてません、と」


「アナスタシア」


「違う?」


 共和国特級。


 《星喰》アナスタシア・ローデン。


 彼女は長机へ頬杖をついていた。


 その向かい。


 灰色の髪の男は資料を閉じる。


 《断界》カール・ノイマン。


「言い方が悪い」


「内容は合ってる?」


「合っている」


「じゃあいいじゃない」


「よくない」


「相変わらず真面目ねえ」


「お前が軽すぎる」


 会議室には二人だけではない。


 軍上層部。


 情報局。


 大統領府。


 だが。


 空気を支配しているのは、明らかに特級二人だった。


「それで?」


 アナスタシアが資料を机へ置く。


「私たちに何をさせたいの?」


 軍人の一人が答える。


「現時点では、配置変更はありません」


「なら呼ばなくてもよかったでしょ」


「認識を共有する必要があります」


「四対二」


「はい」


「昨日から百回聞いた」


「アナスタシア」


 カールが低く言う。


「茶化すな」


「茶化してないわよ」


 彼女の笑顔は消えなかった。


「怖いから喋ってるの」


 会議室が静まる。


 カールだけは驚かなかった。


「四対二は嫌ね」


 アナスタシアが言う。


「ものすごく嫌」


「……」


「今までだって三対二で楽じゃなかった。エルネスト爺さんが動けば、あんたが見る。白冠が動けば私が見る。天壁が消えたら、本土の警戒を上げる」


 指を一本ずつ立てる。


「面倒だけど、読めた」


 四本目。


「これが読めない」


 《虚空》。


「十歳だから?」


 大統領補佐官が尋ねる。


「逆」


「逆?」


「十歳だから何をするか分からないんじゃない」


 アナスタシアは資料の少女の写真を見る。


 青銀の髪。


 薄赤の瞳。


 認定式で少し困った顔をしている。


「十歳だから、十年後が分からないのよ」


 会議室に重い沈黙が落ちる。


「私もカールも、もう出来上がってる。性格も戦い方も癖も、大体知られてる。白冠も天壁も破軍も同じ」


「……」


「あの子だけ違う」


 写真を指で叩く。


「しかも、もう一度やってる」


 別の資料が出る。


 リューベック艦隊消失事件。


 アナスタシアの笑顔が少し薄くなった。


「育ての親を目の前で殺されて、感情が飛んだ。その直後、地上から主力艦隊だけを消した」


「帝国側護衛艦隊は生存」


 情報担当が補足する。


「惑星への大規模被害も確認されていません」


「つまり」


 アナスタシアが資料を閉じる。


「制御できないのに、選べた」


 誰も答えない。


「それ、可愛い十歳だから安心って話にはならないわね」


「今これだけ強いのに、まだ魔法の基礎も知らない」


 カールが静かに続けた。


「伸び代を推定できない」


「そういうこと」


 アナスタシアは笑った。


「怖いでしょ?」


 誰も否定しなかった。


「能力についてどう見る」


 軍人がカールへ聞く。


「情報が足りない」


「認定試験の一部は入手しています」


「見た」


「評価は」


「不明」


 軍人の眉が動く。


「あなたでも?」


「だから不明と言っている」


 カールの声は平坦だった。


「大出力なら対策の考え方がある。高速攻撃にもある。結界にも吸収にも空間切断にも、それぞれ理屈がある」


「《虚空》には?」


「現時点では、ない」


「戦えば」


 その一言で、アナスタシアの目が細くなった。


 カールも軍人を見る。


「今、何と言った?」


「仮定です」


「その仮定を誰が頼んだの」


「国家防衛上――」


「十歳の子供と戦う話を、ずいぶん早く始めるのね」


 軽い声。


 だが。


 笑っていなかった。


「アナスタシア」


 カールが止める。


「分かってる」


 彼女は背もたれへ身体を預けた。


「分かってるわよ。私たちだって国家の兵器扱いされる側だもの」


 その言葉に誰も反論できない。


「だから聞いてるの」


 アナスタシアは大統領を見る。


「リューベックも怖かったんでしょうね」


 何人かが目を伏せる。


「特級がない。二大国のどっちかが本気になったら終わる。だから十歳の子を盗んででも一人欲しかった」


「その結果、艦隊を失った」


「ええ。馬鹿なことしたわ」


 アナスタシアの声は軽くなかった。


「でも、怖かった理由まで馬鹿だとは言えない」


 そして大統領を見る。


「帝国が四人になった。怖い。それは分かる」


「……」


「で、共和国は何をするつもり?」


 大統領はすぐには答えなかった。


「まだ決めていない」


「いい答え」


「だが、何もしないという選択も危険だ」


「それも分かる」


「時間が味方するとは限らない」


 アナスタシアの笑顔がわずかに消えた。


「むしろ敵かもしれない、って?」


「《虚空》が成長する」


「……」


「帝国が彼女の運用法を確立する」


「……」


「それまで待つことが、共和国の安全につながる保証はない」


 カールが目を閉じる。


 その理屈は。


 分かる。


 嫌というほど。


「カール」


 大統領が呼ぶ。


「はい」


「もしもの話だ」


「はい」


「帝国の特級を一人減らさなければ、共和国の存立が危ういと判断された場合」


 アナスタシアが椅子から身体を起こす。


「大統領」


「まだ命令ではない」


「その先を言う必要ある?」


「ある」


 大統領はカールを見る。


「遂行可能か」


 誰を。


 とは。


 言わなかった。


 だが。


 全員。


 分かっていた。


 もっとも高齢で。


 長年。


 帝国抑止の中心に立ってきた男。


 第一特級。


 《破軍》。


 エルネスト・バルト。


 カールはしばらく黙っていた。


「特級同士の直接戦闘は」


 ようやく言う。


「禁忌です」


「承知している」


「周辺被害を制御できる保証はない」


「承知している」


「勝てる保証も」


「それも承知している」


「では」


 カールは大統領をまっすぐ見る。


「なぜ聞くのです」


 答えはすぐに返ってきた。


「敗北した後では、聞く権利すら残っていないかもしれないからだ」


 アナスタシアが目を閉じた。


 誰も何も言わない。


 長い沈黙のあと、カールは静かに答えた。


「可能か不可能かで答えるなら」


 そして。


 一度だけ。


 息を吐いた。


「可能です」


     *


 昼休み。


 リナは校庭の木陰に座っていた。


 膝の上には昼食箱。


 白いパン。


 肉。


 果物。


「……すご」


 何度見ても幸せになる。


 カイルが隣へ座る。


「侯爵家の弁当ってそんななの?」


「普通らしいよ」


「普通じゃない」


「やっぱり?」


「俺のも見る?」


「見る!」


 カイルが箱を開ける。


 リナはじっと見る。


「交換しよ」


「何と何」


「その卵」


「そっちは?」


「お肉」


「いいの!?」


「うん」


「侯爵令嬢っていい奴だな」


「それ関係ある?」


「ないか」


「ないよ」


 二人で食べる。


 遠くでは他の子供たちが遊んでいる。


「なあ、リナ」


「ん?」


「昨日、皇帝に会ったんだろ」


「うん」


「緊張した?」


「した」


「特級の三人もいた?」


「いた」


「破軍も?」


「お爺ちゃん?」


 カイルが卵を落としかける。


「お前、破軍元帥をお爺ちゃんって呼んでんの!?」


「だってお爺ちゃんだったよ」


「そういう問題じゃない!」


「カイル、声大きい」


「お前が言うな!」


 リナが笑う。


「でも」


 カイルが少しだけ声を落とした。


「特級って、怖いな」


「……うん」


「お前じゃなくて」


「?」


「そういう人がいるってこと」


 リナはパンを持ったままカイルを見る。


「ニュースでやってた。共和国と帝国の力の差がどうとか」


「そうなんだ」


「知らないの?」


「昨日早く寝た」


「お前のことだぞ!?」


「私が起きてても変わんないし」


 カイルはしばらく言葉を失った。


「……まあ、それはそうか」


「うん」


 リナは空を見る。


 青い。


 故郷の空と少し色が違う気がする。


「私、戦争したくないよ」


「……」


「学校来たかったし」


「じゃあしなきゃいい」


 カイルが簡単に言った。


 リナが見る。


「いいの?」


「知らん」


「知らないんだ」


「俺、十歳だぞ」


「私も」


「じゃあ国のことなんか知らん!」


 リナは少し笑った。


「そっか」


「でも」


 カイルは卵を一口食べる。


「明日も学校来いよ」


「来るよ」


「明後日も」


「うん」


「急に戦争行くとか無しな」


 リナは。


 少し不思議そうにして。


「分かった」


 ニカッと笑った。


「約束」


 遠く。


 共和国では、大人たちがその少女を戦争へ出させないために、戦争を始めるかもしれない話をしていた。


 リナは。


 まだ。


 それを知らなかった。

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