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灰の星の神子  作者: Tatsumaru


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第十章 禁忌

 リナが初めて魔力球をきれいに浮かせられたのは、入学して三日目だった。


 高さは、机から指一本ぶん。


 時間は、十秒ほど。


 それでも球は天井へ飛ばず、窓も割れず、机も壊れなかった。


「……できてる」


 リナは両手を構えたまま、目だけを大きくした。


「喋るな。集中が切れる」


 教師が言う。


「でも先生、できてる!」


「分かっています。だから集中を――」


「カイル、見て!」


「俺に振るな!」


 魔力球がぐらりと揺れた。


「あ」


「リナ!」


 教師の声に、リナは慌てて力を抜く。


 球は机の上へ、ころん、と落ちた。


 壊れていない。


 教室が静まった。


 リナは球を持ち上げ、裏側まで確認した。


「……壊れてない」


「ええ」


「天井も?」


「無事です」


「窓は?」


「無事です」


「机」


「全部無事です!」


 教師がとうとう声を張った。


 リナの顔がぱっと明るくなる。


「やった!」


 今度は何も爆発しなかった。


 教室から拍手が起きた。


 最初はカイル。


 それにつられて、何人か。


 最後には教師まで、小さく手を叩いていた。


「昨日よりずっと良くなっています」


「ほんと?」


「はい。ただし、喜んだからといって魔力を緩めすぎないこと。制御は成功した時ほど――」


「先生」


「何です?」


「もう一回やっていい?」


 教師は少し笑った。


「もちろん」


 リナはニカッと笑い、もう一度球を机へ置いた。


 その頃。


 星々を隔てた共和国では、一人の男を殺すための命令書に、最後の署名が入った。


     *


「反対します」


 アナスタシアは、笑っていなかった。


 共和国国家安全保障会議。


 前回と同じ地下会議室。


 ただし今日は、机の上に置かれた資料の表紙が違う。


 作戦承認。


 対象。


 エルネスト・バルト。


 帝国第一特級《破軍》。


「反対理由は記録済みだ」


 大統領が言った。


「ならもう一回記録してください」


「アナスタシア」


「特級同士の殺し合いを共和国から始めるんですよ?」


 誰も口を挟まない。


「一人減らせば三対二になる。数字は戻る。理屈は分かります」


「……」


「その後は?」


 アナスタシアの視線が、軍人たちを一人ずつ通り過ぎる。


「帝国が『そうか、一人殺されたか。じゃあ仲良く三対二でやりましょう』って言ってくれる?」


 誰も答えない。


「白冠は?」


「……」


「天壁は?」


「……」


「《虚空》は?」


 最後の名前だけ、少しだけ声が弱くなった。


「十歳の子に、共和国が最初に教えることが『敵は先に殺すものです』でいいの?」


「リューベックが何をして、どうなったか見たでしょう。怖いから先に子供を奪う。それで国の主力艦隊を失った。私たちは、同じ道をもっと大きな規模でやるの?」


「感情論だ」


 軍人の一人が言った。


 アナスタシアの顔から。


 すっと。


 表情が消えた。


「ええ。感情よ」


 その声は、軽口を叩いていた時よりもずっと冷たかった。


「人を殺す話をしてるんだから、感情があるに決まってるでしょう」


「共和国の存亡がかかっている」


「知ってる」


「なら――」


「知ってるからここにいるのよ!」


 机が。


 わずかに震えた。


 魔力が漏れた。


 ほんの少し。


 それだけで。


 会議室の全員が黙った。


 アナスタシアは目を閉じる。


「……ごめんなさい」


 魔力が引く。


「続けて」


 大統領が言った。


「何をです」


「言いたいことを」


 アナスタシアはしばらく黙った。


「怖いんです」


 今度は静かだった。


「四対二が怖い。帝国が怖い。《虚空》が怖い。あの子が悪い子じゃなくても、将来何が起こるか分からない」


 アナスタシアは資料へ目を落とす。


「育ての親を殺された直後、リューベックの主力艦隊を一瞬で消した。本人はやり方すら分かってない。怖いに決まってる」


「……」


「でも、だから先に一人殺す。その理屈は、分かる」


 唇を噛む。


「でも同じ理屈を帝国が使ったら、次は私たちよ」


 その言葉に誰も反論できなかった。


「《破軍》を殺せば」


 アナスタシアは言う。


「今度は帝国が三対二を不安に思うんじゃない。『共和国は特級戦を始める国だ』って思うのよ」


「だからこそ」


 大統領が口を開いた。


「一撃で終わらせる必要がある」


「……」


「全面戦争にはしない。《破軍》一人を排除する。それ以上には広げない」


「それを決めるのは私たちだけじゃない」


「ああ」


 大統領は否定しなかった。


「分かっている」


「……それでも?」


「それでもだ」


 アナスタシアは椅子へ深く座った。


「嫌い」


「何が」


「その答え」


「私もだ」


 大統領は疲れた顔で言った。


「だが、もっと嫌いな未来がある」


 共和国が帝国へ何も言えなくなる未来。


 戦わなくても。


 属国ではなくても。


 あらゆる外交交渉の最後に四人の特級が立っている未来。


「……カール」


 アナスタシアが隣に座る男を見る。


 カールはずっと黙っていた。


「本当にやるの?」


「ああ」


「断ってもいいのよ」


「国家命令だ」


「特級を処刑できる人間なんて共和国にいないでしょ」


「そういう問題ではない」


「私は断る」


「お前ならな」


「カール」


「俺は受ける」


 声に迷いはなかった。


 アナスタシアが一番聞きたくなかった声だった。


「……なんで」


「共和国を守るためだ」


「それだけ?」


「ああ」


「嘘」


 カールの眉がわずかに動く。


「何が」


「あんた、自分が行かなかったら私に行かせると思ってるでしょ」


 沈黙。


「やっぱり」


「……」


「そういうとこ嫌い」


「知っている」


「私がやればいいじゃない」


「駄目だ」


「ほら!」


「相性の問題だ」


「今考えたでしょ」


「空間切断は《破軍》の大出力と正面から競わず致命点を狙える」


「……」


 理屈としては通っていた。


 だから。


 余計に腹が立つ。


「帰ってきて」


 アナスタシアが言った。


「努力する」


「努力じゃなくて」


「保証はできん」


「……馬鹿」


「そうかもしれん」


「馬鹿」


「二度言うな」


「帰ってきたら三回言う」


「分かった」


「約束ね」


「善処する」


「そこは約束って言いなさいよ!」


 カールの口元が。


 ほんの少し。


 動いた。


     *


 作戦は宣戦布告なしに始まる。そこが共和国にとって最大の汚点であり、最大の利点でもあった。


 エルネストは、共和国側の特級が近づけば、当然、気づく。特級同士は互いの存在を、そう簡単には隠せない。


 だから共和国は隠さなかった。カールは堂々とレオニス回廊へ向かった。


 国境近傍。


 両国艦隊が睨み合う。


 有人惑星が複数存在する交通回廊。


 エルネストが抑止配置されている場所。


 《断界》接近。


 帝国軍にもすぐに警報が流れた。


「元帥!」


 旗艦司令室へ報告が飛び込む。


「共和国特級を確認! 《断界》です!」


 エルネストは茶を飲んでいた。


「距離は」


「急速接近中!」


「星喰は」


「共和国首都圏から移動なし!」


「ふむ」


 エルネストはカップを置いた。


「艦隊を後退させろ」


「戦闘準備を?」


「するな」


 幕僚たちが同時に老人を見る。


「しかし」


「特級戦はやらん」


「ですが《断界》が」


「向こうも分かっとる」


 エルネストは立ち上がる。


「近づいて睨みを利かせるだけじゃ。こっちが慌てて艦隊を出せば、向こうも引けなくなる」


「……」


「砲門を閉じろ。上級部隊も出すな」


「元帥」


「何じゃ」


「万一の場合は」


「儂が止める」


 それで誰も何も言えなくなった。


 《破軍》が言う。


 なら。


 それ以上の安全保証など帝国軍には存在しない。


 エルネストは旗艦を出た。


 宇宙服はない。


 必要ない。


 人の身ひとつで星の海へ立つ。


 遠く。


 何もない空間から灰色の髪の男が現れる。


「久しぶりじゃな、カール」


 声は魔法を介して届く。


「エルネスト」


「ずいぶん近くまで来たな」


「ああ」


「何の用じゃ」


「配置命令だ」


「儂もじゃ」


 老人は笑った。


「まったく。若い奴らが一人増えただけで、大人が右往左往しおる」


「……第四特級か」


「まだ十歳じゃぞ」


「年齢は関係ない」


「軍人らしい答えじゃな」


「お前も軍人だろう」


「そうじゃった」


 エルネストはカールの姿を見る。


 構えなし。


 魔力の流れは静か。


 少なくとも、すぐ戦闘を始める様子には見えない。


「どうじゃ」


 エルネストが言う。


「ここで少し話して帰らんか」


「話す?」


「お互い艦隊を後ろへ下げる。儂らも帰る。それで今日は終わり」


「……」


「共和国が怖がっとるのは分かる」


 カールの目がわずかに細くなる。


「分かる?」


「ああ」


「四人持っている側が?」


「それは儂のせいじゃない」


「……」


「リナのせいでもない」


 名前を、エルネストは二つ名ではなく呼んだ。


「だから、あの子を理由に戦争始めるのはやめようや」


 カールは黙っている。


「お前さんの国も守りたい。儂も帝国を守りたい。それでええじゃろ」


「それでは足りない」


 初めて、カールの声が変わった。


 エルネストが少しだけ眉を寄せる。


「何がじゃ」


「三対二なら、まだ耐えられた」


「……」


「四対二は違う」


「カール」


「共和国にはもう、帝国の自制を信じ続ける余裕がない」


 エルネストの顔から笑いが消えた。


「それは」


 言いかけた。


 瞬間。


 空間が。


 裂けた。


     *


 エルネストの右肩から。


 血が噴き出した。


「――っ!」


 身体を捻る。


 遅い。


 二本目の空間断裂が。


 首へ走る。


 反射的に。


 魔力を叩きつけた。


 何もない宇宙空間が。


 白く染まる。


 カールの身体が吹き飛ぶ。


 だが。


 追撃は。


 しなかった。


「貴様……!」


 エルネストの声に怒気が混じる。


「何の真似じゃ!」


 切断された肩。


 肉が再生を始める。


 骨がつながる。


 特級なら、この程度では死なない。


 問題は傷そのものではなかった。


 最初から。


 首を狙った。


 カールは。


 今。


 殺しに来た。


「命令だ」


 遠くで。


 《断界》が体勢を立て直す。


 エルネストの攻撃を空間を折ることで受け流していた。


「共和国国家命令」


「正気か!」


「ああ」


「特級戦になるぞ!」


「そのために来た」


 エルネストが。


 息を呑む。


 そこだった。


 致命的な。


 最初の差。


 エルネストは。


 今まで。


 まだ。


 戦争を止めるつもりだった。


 カールは。


 最初から。


 エルネストを殺すために来た。


 二人の間に何手もの差が、すでに生まれていた。


「全艦退避!」


 エルネストが叫ぶ。


 帝国艦隊へ。


「レオニス居住圏へ緊急避難命令! 民間航路を止めろ! 全上級は防御・避難誘導に回れ!」


『元帥!?』


「特級戦じゃ!」


 その言葉だけで、帝国軍の空気が凍りついた。


『敵は――』


「断界!」


 一瞬の沈黙。


「儂が引き受ける! 誰も近づくな!」


 エルネストは。


 魔力を広げる。


 まず。


 自分の後ろ。


 帝国艦隊。


 そのさらに後方にある。


 居住惑星群。


 民間航路。


 全部を。


 自分の攻撃の射線から外す。


「……やっぱり」


 カールが小さく呟いた。


「何じゃ」


「お前はそうする」


 空間が。


 また。


 裂ける。


 エルネストは今度は避けた。


「守る方を先に考える」


「当たり前じゃ!」


「だから」


 カールの姿が消える。


「俺が先を取れる」


 背後。


 エルネストは。


 振り向かなかった。


 魔力を。


 爆発させた。


 音はない。


 真空だから。


 しかし。


 光が。


 星々を塗り潰した。


     *


 共和国軍司令部。


 アナスタシアは立っていた。座っていられなかった。


「交戦開始を確認!」


「帝国側、破軍が艦隊を後退!」


「断界、健在!」


「周辺魔力観測、上限突破!」


 報告が飛び交う。


 アナスタシアは唇を噛む。


「馬鹿」


「星喰閣下」


「カールの馬鹿」


「……」


「エルネストの馬鹿」


「閣下」


「共和国も馬鹿」


 誰も止めなかった。


「私も馬鹿」


 握った拳が震えている。


「戦域拡大!」


「レオニス第五惑星外縁で異常重力!」


「民間船団が!」


「共和国艦隊も下げて!」


 アナスタシアが叫ぶ。


「今すぐ!」


「しかし作戦支援が」


「カールに近づいたら邪魔になるだけよ!」


「星喰閣下」


「特級二人が本気で戦ってるところに艦隊並べて何するの! 応援!?」


 誰も答えない。


「避難させて。敵も味方も関係ない。巻き込まれる民間船を全部外へ!」


「共和国民だけでなく?」


 アナスタシアが振り返った。


「今それ聞く?」


「……実行します!」


 彼女は再び観測画面を見る。


 光。


 断裂。


 魔力嵐。


 まだ。


 戦闘開始からほとんど時間は経っていない。


 なのに。


 周辺宙域は、すでに平時の地図では表せなくなり始めていた。


「帰ってきなさいよ……」


 アナスタシアの声は誰にも聞こえなかった。


     *


 帝国中央魔法学院。


 午後の授業。


 リナは二度目の魔力球を浮かせていた。


「そのまま」


 教師が言う。


「はい」


「一定に」


「はい」


「昨日より安定しています」


 リナは集中する。


 一センチ。


 二センチ。


 そこで。


 手が止まった。


「……?」


「リナさん?」


 胸が。


 ざわつく。


 遠い。


 とても遠い。


 なのに。


 何か。


 大きなものが。


 ぶつかったような。


「先生」


「どうしました」


「何か……」


 言葉を探す。


 分からない。


 場所も。


 誰かも。


 ただ。


 嫌な感じがする。


「リナ?」


 カイルが呼ぶ。


 その瞬間、学院中に低い警報音が鳴った。


 教師の顔から血の気が引く。


『帝国政府より緊急通知』


 教室の壁面端末が自動的に点灯する。


『レオニス方面において、特級同士の交戦を確認』


 誰も声を出さなかった。


 リナの手から。


 魔力球が。


 ころん。


 と。


 机へ落ちた。


『帝国第一特級《破軍》エルネスト・バルト元帥』


 リナの目が見開かれる。


『共和国特級《断界》カール・ノイマン』


「……お爺ちゃん?」


 昨日。


 菓子を渡した。


 学校へ行っとれ、と言われた。


 自分を怖がっていろ、と。


 笑っていた。


「リナ」


 教師がすぐに彼女の前へ来た。


「座って」


「でも」


「ここにいて」


「お爺ちゃんが」


「分かっています」


「私――」


 行けば。


 そんな考えが浮かぶより先に、教師がリナの肩へ手を置いた。


「今は、まだ何の要請も来ていません」


「……」


「あなたが飛び出す場面ではありません」


「でも!」


 声が大きくなる。


 同時に、窓がかすかに震えた。


 リナ自身が一番早く気づいた。


 息を止める。


 拳を握る。


 ゆっくり。


 開く。


「……ごめんなさい」


 窓の震えが止まった。


 教師は肩から手を離さなかった。


「謝る必要はありません。ただ、ここにいてください」


「……うん」


 リナは椅子へ座る。


 行けば。


 何ができる。


 分からない。


 数日前に、特級になった。


 でも。


 戦い方すら知らない。


 魔力球一つ。


 やっと浮かせられたばかり。


 それでも。


 自分なら。


 何かできるかもしれない。


 その考えだけが。


 胸の中で。


 何度も。


 何度も。


 大きくなった。


     *


 レオニス。


 カールの左腕が。


 消し飛んだ。


「ぐっ……!」


 魔力が肉体を再生する。


 遅い。


 エルネストの攻撃は。


 単純だった。


 ただ。


 速く。


 大きく。


 重い。


 空間ごと押し潰されるような。


 純粋な暴力。


「どうした!」


 エルネストが吼える。


「儂を殺しに来たんじゃろうが!」


 もう。


 老人は。


 笑っていなかった。


 最初の数手。


 守りに回った。


 説得しようとした。


 艦隊を逃がした。


 民間人を逃がした。


 その間に、深い傷を負った。


 右肩。


 腹部。


 左肺。


 再生はしている。


 しかし。


 空間切断は魔力そのものへ傷を残す。


「まだ足りんぞ!」


 光が。


 カールを呑む。


 空間を断ち。


 逃げる。


 さらに先にも。


 破軍の魔力がいる。


「化け物め……!」


「お互い様じゃ!」


 エルネストが。


 拳を握る。


 遥か後方。


 無人の小惑星が。


 魔力の圧力だけで。


 砕け散った。


 カールの顔から血の気が引く。


 直撃すれば。


 終わる。


 だが。


 気づく。


 エルネストの攻撃は。


 必ず。


 居住圏と反対へ向いている。


 共和国艦隊にも。


 直撃を避けている。


 まだ。


 守っている。


 この状況で。


 まだ。


「……それだ」


 カールが呟いた。


「何?」


「お前の弱点だ」


 エルネストが。


 初めて。


 ほんの一瞬。


 目を見開いた。


 遠く。


 退避中の民間船。


 戦闘の余波で。


 航路から押し出される。


 惑星重力圏へ。


 落ちる。


 エルネストの感知が。


 そちらへ向く。


 たった。


 一瞬。


 カールは。


 そのために。


 待っていた。


 空間を。


 切る。


 エルネストの正面ではない。


 防御の外でもない。


 身体の内側へ。


 直接つながる。


 極小の。


 断界。


「――っ」


 老人の身体が。


 大きく。


 揺れた。


 胸から。


 血が溢れる。


 エルネストがカールを見る。


「……なるほど」


 声が。


 低い。


 カールの背筋を。


 寒気が走った。


「そこまでやるか」


「……」


「分かった」


 エルネストは。


 血を吐きながら。


 笑った。


 怖い。


 カールは。


 初めて。


 心からそう思った。


「なら」


 《破軍》が。


 両手を広げる。


 周辺宙域の。


 魔力が。


 鳴いた。


「儂も、もう遠慮せん」


 その瞬間。


 カールは。


 自分が。


 共和国へ帰れない可能性を。


 初めて。


 本気で考えた。

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