最終話 最後の1人
いつも読んでいただきありがとうございます。
海上で、2つの爆発が起こった。
ドォォン!
ドォォン!
スーツ男
(私です。最後の1人が決まりました)
(はい、分かりました)
ヘリはそのまま本土へ向かう。
やがて港に到着し、スーツ男は船を待った。
しばらくすると、1隻の船が港へ着岸する。
船の中には――1人の男が気を失っていた。
ヘリのパイロットが男を船から引き上げ、車へ乗せる。
そして、そのまま車は走り去っていった。
---
人事の男
(そろそろ起きてもらえませんか?)
???
(う、うーん……?)
(ここは……?)
人事の男
(役員就職、おめでとうございます)
(正樹さん)
正樹
(役員……?)
正樹の意識が、一気に覚醒する。
正樹
(ッ!)
(佳輝は?!)
人事の男
(正樹さんが最後の1人になりましたので、役員となります)
正樹
(……最後の1人……)
(佳輝は……死んだのか……?)
人事の男
(最終選考はこれで終了となります)
(いつから就業可能でしょうか?)
正樹
(……断る!)
人事の男
(えっ?)
(なんて言ったんですか?)
正樹
(就職はしない!)
(帰らせてもらう!)
人事の男
(えっと……何がお気に召しませんか?)
(給料ですか?)
(休暇ですか?)
正樹
(関係ない!)
(こんな会社、就職できるか!)
人事の男
(……そうですか)
(分かりました)
(お帰りは、あちらになります)
正樹は何も言わず、部屋を出て行く。
正樹の姿が見えなくなると――
人事の男は電話を手に取った。
人事の男
(私だ)
(断られた)
---
正樹は廊下を少し歩く。
すると、エレベーターを見つけた。
正樹は下のボタンを押し、エレベーターを待つ。
正樹
(……佳輝……)
(帰ろう)
(こんな会社に入らず、違う会社を探そう!)
やがてエレベーターが到着する。
正樹が乗り込み、1階のボタンを押す。
扉が閉まった。
エレベーターが下へ向かう。
――だが。
少しすると、エレベーターが15階で止まった。
扉が開く。
そこに立っていたのは――
先ほどのスーツ男だった。
スーツ男がエレベーターに乗り込む。
正樹
(お前か!)
スーツ男
(先ほどはどうも)
(お断りになったんですね)
正樹
(お前に話す必要はない!)
スーツ男
(そうですね)
(失礼しました)
エレベーターの扉が閉まる。
2人は、無言だった。
---
やがて正樹は会社の正面から出た。
そして家へ向かって、歩き始める。
その途中――
居酒屋から漂ってくる匂いに、正樹の足が止まりそうになる。
だが、正樹は何も持っていない。
島へ行く時、何も持たされなかったからだ。
正樹
(……腹減ったな)
(そういえば、金も持ってきてないからな……)
正樹が居酒屋を通り過ぎようとした、その時――
???
(正樹さん!!)
正樹が振り返る。
そこには――
佳輝が笑顔で手を振っていた。
正樹
(ッ!)
(えっ……?)
(……佳輝?)
(佳輝だよな?)
佳輝
(何言ってるんですか、正樹さん)
(俺は俺ですよ)
正樹
(佳輝……)
(死んだのかと思った……)
(佳輝!)
正樹は佳輝に抱き付く。
佳輝
(正樹さん……)
(さぁ!飲みましょ!)
(約束でしょ?)
正樹
(そうだな!飲もう!)
(あっ!)
(でも金持ってない)
佳輝
(俺が奢りますよ)
正樹
(歳下に奢られるわけには……)
佳輝
(次は正樹さんが奢ってください)
正樹
(……分かった)
(次は俺が必ず奢るからな!)
佳輝
(はい!お願いします!)
2人は笑いながら、居酒屋へ入っていく。
そして、佳輝が座っていたテーブルに着く。
佳輝
(ビールですか?)
正樹
(おう!生中!)
佳輝
(生中2つ!)
正樹
(約束、守れたな?)
佳輝
(はい!)
(約束でしたからね)
店員
(生中、お待ち!)
2人がジョッキを持つ。
正樹・佳輝
(カンパーイ!)
カチン!
2人は一気に飲み干す。
正樹
(アーーッ!)
佳輝
(クーーッ!)
(効きますね!)
正樹
(そう言えば、佳輝)
(飲んでいいのか?)
佳輝
(今日くらいいいじゃないですか)
正樹
(そうだよな)
(生中2つ!)
(あと、焼き鳥盛り合わせと刺身盛り合わせ!)
佳輝
(正樹さん、いきますね)
(あと、唐揚げとポテトも!)
正樹
(このお子様が)
佳輝
(好きなんです)
2人は笑いながら、飲み食いを続ける。
佳輝
(安平さんも、残ってれば良かったのに)
正樹
(居たのか?)
佳輝
(用があるって、先に帰ってしまって……)
正樹
(そうか……)
(まぁいいじゃないか)
(俺は佳輝と飲めれば満足だよ)
佳輝
(正樹さん!)
(潰れるまで飲みましょう!)
(生中2つ!)
店員
(生中2つ!)
佳輝
(正樹さん!)
(カンパーイ!)
正樹
(か……ん……)
(……ぱ……)
---
スーツ男
(私だ)
(15階に清掃班をお願いします)
(何も残さないように)
エレベーターの中。
正樹は倒れていた。
首から大量の血を流している。
スーツ男
(就職すれば、死なずに済んだのに……)
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人事の男
(今回は、なかなか面白かったな)
(社長も喜んでいるだろう)
(次回は女性も入れてみるか)
(パート募集すれば、主婦も応募してくるな……)
人事の男は、楽しそうに笑う。
人事の男
(面白くなりそうだ)
(私だ)
(求人募集を掛けろ)
――End
最後まで読んでいただきありがとうございました。
楽しんで貰えてたら嬉しいです。




