i = 14; try $SELF //カラダ…本当のぼく
「開けてみて」
扉、扉の前に立ってドアノブをじっと見つめるぼくに、ベインが言った。
クラウドは心配そうに静かに独り言を言いながら、いつものように軽く手を動かして後ろに下がった。
扉の前に立っているぼくを見て、ベインはぼくの目の前に手をかざしながら言った。
「手を使うんだよ」
ベインは手を丸くまとめてゆっくり回しながら言った。
「手をこうやって動かすと思ってみて」
「こうやって」
ベインがぼくに見せようとしてとてもゆっくり自分の手を動かすと、クラウドは後ろでベインに続いて、おかしそうに手を自分の顔に持っていっていた。
「こうやって」
「できない」
「うん、考えるだけじゃなくて、自分自身を動かさないと」
ベインは何かわかったとでもいうように言った。
「君のカラダを動かさないといけないんだ」
「ぼくのカラダ?」
「そう、君を形作っている部分のひとつだよ」
クラウドが何かわかったとでもいうように指を立てて、ベインの後ろから言った。
「カラダが君のすべてだって言う人もいるよ!」
「カラダ」
「ぼく」という存在を認識して、初めてぼくはもうひとつの「ぼく」の存在を感じるようだった。
「そう、君のカラダは君の考えでコントロールするものなんだ」
ベインはぼくの頭の中に直接話しかけるように、手でぼくの頭を軽くトンと触れながら言った。
クラウドが指で歩く仕草を作りながら言った。
「たまにカラダが自分の思い通りに動かないこともあるけど……」
ベインはクラウドを横目で見て、我慢できないとでもいうように冷たく言った。
「クラウド、余計なこと言うのはやめて!」
クラウドは驚いて自分の口を塞ぎながら後ろに下がった。
ベインは再びぼくを見て言った。
「君のカラダが君のすべてだとは思わないほうがいい。たとえ君のカラダが、君がここにいるという一番大きな証拠だとしても」
ベインはぼくの胸のあたりを手で指さして、まるでクラウドに別の言葉を言わせまいとするように、小さな耳打ちで囁いた。
「本当の君は、どこかに存在するよ」
クラウドは怒ったようにベインに何を言ったんだと文句を言った。けれど
ベインは気にもせず腕を組んでぼくを見て言った。
「いいよ、この扉はぼくが開けよう。また今度挑戦してみようよ、トッド」
ベインがぼくの前にある扉のノブを掴んで回した。
ぼくは「本当のぼく」という言葉が気になった。
「本当のぼく……」




