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2915話 今は、いつもよりは衝撃耐性ありますから。


何はともあれ、胃を痛める案件も片付いた。それだけで、とても気分が楽になる。仕事をやる手も早くなるってモノである。


そう思いながら、せっせと仕事をして……少し飲み物が欲しくなったので、給湯スペースで適当に……ティーバッグのほうじ茶とか淹れて、自分の席に戻る。


すると、そこに、見覚えのないヌイグルミが置いてあった。


パッと見た時は、短毛系の白いヌイグルミかと思ったのだけど……白と言い切るには、色がほんのり付いている感じなんだよなぁ。


白をベースに、黄色っぽくも、水色っぽくも、ピンクっぽさも感じる。


と言うか、じっと見ていると……万華鏡のみたいに、緩やかに色が変化している?あ、万華鏡よりシャボン玉的な感じか。


ヌイグルミそのモノの形は……何だろう。クラゲのデフォルメみたいな。色が違ったら、タコにも見えるかも?でも、デフォルメのタコ特有の……『3』みたいな口がないからなぁ。でも、シルエットと色でタコって分かる節もあるし……って、そこじゃなく。


何だよ、このシャボン玉クラゲのヌイグルミ。誰が何の目的で置いたんだよ。


「お嬢さん、冷静やなぁ。思考停止したりとか、ちょっと期待したんやけどなぁ。」


影の精霊のお陰で、分析する癖が付いてしまったんだと思いますよ。多分ですけど。


んで、問題はこのシャボン玉クラゲですよ。


クラゲって、海のなかでプカプカして……気配なく近づいてきて、その触手?触腕?の毒で……ね。


私は……『私』の頃含め、幸いにしてクラゲの毒を食らった事はないんだけど……『私』の頃含め、お話はとんでもない数聞いてきてますから。


この世界でもクラゲは凄いんだよなぁ。普通の生物としてもそうだけど……コッチの世界はほら。魔物がね。まぁ、クラゲの魔物の出現はかなり沖合になるし、ほぼ出会う確率のない……それこそ神話みたいなお話なのですけど。


ええ、満月の凪の海に出会うとか、出会ったら正気を失うとか言われてる方が居るんですよ。


どうして、私がそんなドマイナーな魔物の事を知っているかって……その、学生の頃にね。精神年齢がどうのこうの言っていてもさ。いくつになっても心にあの……思春期と言うか、大体十四歳ぐらいに患うアレの影響でね。それで調べて、覚えてたんですよ。


とは言え、こんな切っ掛けがなければ、思い出しもしなかっただろう。


……何だろう。今この手の話をすると……さっきお帰りになった、あのお二方の存在がチラつく。そして……あの件で関わった、もうお一方の存在が強く主張してくる。


「おー。お嬢さん今日は良く思考を回るな!!その通り……と言いたいんやけど、流石にご本人はな。依代を使ったとしても、ちょっと周りへの影響がデカくてなぁ。やから、お友達を依代経由て召喚して、関係各所にごめんなさいを言いに来た、って事や。」


し、シャボン玉クラゲさん……完全にとばっちりでは?自分無関係の事なのに、呼び出されてごめんなさいしてるとか……妹の結婚式に出席したいから、了承もなく勝手に友人を人質にした、某文学作品がチラつく。


根本的な話の流れは違うけど、こう……友人の尻拭い的なことを強制させられてる感じがさ。


「あ、この方はこの方で、人の世界に来れる事を楽しみにしとったから……結果的ウィンウィンみたいやけどな。」


……まぁ、利害が一致しているのなら良いですよ。


『あの……今回は、友人がご迷惑をかけたみたいで。理由は深くは聞いてませんけど、空の方が動いたって相当な事なので……本当すみません。』


わぁ……シャボン玉クラゲさん、謝り慣れてるぅ。絶対謝ったの、一回や二回じゃないじゃん。


とんでもなくナチュラルに、頭の中に直接、男性だか女性だか、低くも高くもある声が聞こえてきている事に関しては……突っ込みません。


「超関係ないんやけど……クラゲもタコも、何ならイカも、口ってこのまん丸な所なんよな。で、タコやイカは、クチバシとかで千切ってエサを食べるけど……クラゲはプランクトン食べてるか……エサを丸呑みして、消化液で徐々に……って感じの食べ方なんよね。いや、何となく思い出したってだけなんやけど。」


……本当に凄く関係ない上に、今この手のお話をするのは悪意しかないと思うんですけど。



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