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2912話 何となく話す内容は察しているけど。


ギルド内にある、煌びやかな応接室……本来なら王族とかを対応するお部屋。


ヴァンさん一人なら……いや、単純にあの人が急に現れるし、本人もそこまで気にしないから、小会議室で対応するんだけど……まさかのこの部屋で対応で、少々胃に違和感が出てきた。あー、何か食べた訳でもないのに、お腹いっぱいって感じになってる。


応接室のソファーに座っているのは、ノースリーブのシャツワンピースにジャケットを肩掛けにした、キチンとしつつ、爽やかさを感じられる雰囲気のヴァンさん。何故かとても良い笑顔。


その隣に……軽やか素材のリボンブラウス?タイブラウス?にスラックス姿の……オフィスカジュアル感がある服装の、女性。緩く巻いてある髪をハーフアップにしていて、華やかな雰囲気。……ヴァンさんとは対照的に、若干顔色がよろしくない様に見える。


影の精霊から色々と聞いているから……何があったのかは聞かないでおこう。


二人?の前には、シンプルながら品の良い湯飲み?お茶碗?に……その下に受け皿?があって……ほんのりと緑茶の香りが漂っていた。お茶請けは……多分ミルクっぽい香りがするであろう、白あんのお饅頭。ちゃんとお皿の上に懐紙が敷かれていて、楊枝が添えられてる。


……ただ、二人ともお茶にもお菓子にも手はつけてない。気まずいね。


「えっと……ヴァンさん。今回は、どの様なご要件でしょうか。」


「んー、夜風さんは既に察していそうではあるけれど……この間の、ちょっと問題を起こしそうになってた片方を連れてきたの。」


一応知ってはいるけど……形として要件を聞いてみる。予想通りの返答が返ってきた。


んー、『ちょっと』の範囲に収めて良いのかどうかは人によるかもしれないけど……まぁ、そこは一旦突っ込まないでおこう。人によったらヤバそうですけど……総合的な平均を取ったら、多分『ちょっと』の範囲に収めるはず。うん。


……ほぼ関わってない外野の私が言えた口出はないのは重々承知しております。ええ。


「この度は……その、海の人?が近くに来た程度でキレて喧嘩をしようとしてしまって……すみませんでした。」


わぁ、あんまり反省してる感じがしない。社会人的な雰囲気だけど……何か子供っぽい感じがする。


「あの子が陸……と言うか人里に近づくと、それはそれで問題で、それを諌めようとしてくれるのはありがたいのだけどね。やり方っていうのがあるわよねぇ。アルベロ君と夜風さんが止めてくれなかったら、どうなっていたか。」


ヴァンさんの言葉に、ハーフアップの方がキュッと縮こまった。やっぱり少し……幼い感じがしますね。


つか、このハーフアップの方はヴァンさんのお知り合いなのね。そんで……ヴァンさんの方がパワーバランスは上なのね。少なくとも物理的なパワーでは、ヴァンさん上に居るだろう。


「私は、本当にただそこに居ただけですよ。アルベロ先生の方は、色々していたと思いますけど。」


「アルベロ君だけだと、下手したら衝突していたからね。夜風さんが居てくれたから、ああやって丸く収まったのよ。そんな謙遜しないで?」


……アルベロ先生レベルが私の魔力を扱ったら……って危機感で、双方を引っ込めたって事ね。凄く納得した。


いや、ただでさえヤバいアルベロ先生に、影の精霊の助けありだと……やろうと思えば魔王として降臨できるとまで言われてる私が合わさるとさ。どうなるかなんて……想像したくないよね。


「お嬢さんと先生さんやったら、ちょっとした神殺しも夢やないと思うで!!やらんとは思うけど。」


物騒な単語を出すんじゃない。神様の御前で、なんて不遜で不敬な事を言い始めるんだお前。


って、そう言えば影の精霊もどこかの神様の御使い……天使だったね。ん?本物(オリジナル)がそうで、今の影の精霊はコピーで、でも力としては変わらなくて……。


頭が混乱してきた。影の精霊は天使であるって認識で間違いではないって事にしておこう。


「ふふ。ただまぁ、ご迷惑を掛けてしまったのは確かだからね。一度関係各所に、謝罪に回ってるの。アルベロ君は気にしないって言われると思ったから、夜風さんの方にまとめて……ね。あ、例の街の方は、最初に謝りに行ったわよ。影の精霊さんの助けも借りて、ちょっと派手かも?ってくらい。」


おおっと?ちょっと聞くのが怖い言葉が聞こえてきましたよ?


影の精霊の助けを借りるまでは……まだ良いとは思うんだ。……派手って何。お二人、何をしたと言うの。まだその話、こちらに流れてきていないのですけど。


もしかして……こっちには人の姿で現れていますけど、あちらの方では……本来のお姿で?だっ……大丈夫だったのか。周り。



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