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134話 コレがなければ、なぁ…。


影の精霊から伝えられたメンバーをどう集めるか…家でアレコレ考えても仕方ながないと思いながら、しかし結構なインパクトがあったので、結局ずっとウンウン悩んでいた。特にくーさんとベアさんをどう呼ぶかで。


他のメンバーと違って、あの二匹は野生動物だ。稀少動物達を密猟して、裏の市場に売り飛ばそうとしている輩が使っていた倉庫の近く…いや徒歩だとかなり遠かったけど、まぁその辺に私がたまたま居合わせて…。


「何回か会いに来てくれましたが…もう大分前の事ですから、私の事なんて忘れていますよね。」


バスに揺られながら初対面の時の記憶を思い出して、少し寂しい気持ちになる。…私は、確かにあの場に居た動物達の救世主だったかもしれない。でも、私はそれだけだ。


「お嬢さん暗いなぁ。これから仕事やで?テンション上げていかな!!」


「いや、元よりあまり朝はテンション上がらないのですが…。」


寧ろ、ハイテンションで仕事に向かう方が可笑しくないか?いや、人によったらハイテンションになるんだろうけど、少なくとも私は、仕事がある朝はあまりテンションが上がらない。休日なら可能性はあっただろう。


「お嬢さん…。」


「いや、一般論じゃないか?」


「ウチは雑用押し付けられて、かつ冷たい目とかされたら…もうめっちゃテンションあがるんやけど…。」


アーハイハイ安定の影の精霊ですねアーハイハイ。


「ハァハァ、たまらんでその扱い…あ、そや。あの熊さん達、普通にお嬢さんの事今でも覚えとるで。ボチボチ山の木の実持参で会いに来る予定みたいや。あ、白い方は暑くても頑張る的な事を言ってたで。」


影の精霊が居ると、本当話が早くて助かるわ…と一瞬思った後、あの動くテディベアみたいな二匹が、私の事を忘れていなかった…それがなんだか、凄く嬉しい。


「ギルド経由で、ちゃんとあの二匹と連絡取らないといけませんかね?」


「さぁ?」


影の精霊が物凄く腹の立つ顔で、大袈裟なジェスチャーと共に言った『さぁ?』に、私は分かりやすいくらいイラッとした。


くーさんとベアさんの問題がそれなりに解決した矢先にコレだから、もう途中からバスの中で影の精霊を踏みつけるかどうかで悩んだ。その悩んでいる間にバスはギルド近くの停留所に到着していたのだが。


溜め息を吐きながら、ナチュラルに影の精霊を床に叩き落として踏みつけながら降車して、んんっと背伸びをした。気持ちとしてはそれなりに複雑だけど…それでも少しは私の気持ちが晴れたから良しとしよう。


ちょっと物足りないんだけど、これ以上すると影の精霊が本当鬱陶しくなる予感がしたので、私はチラッチラと私の様子を窺う影の精霊をスルーしてギルドへ足早に向かった。


そうしない内にギルドに到着して、今日は事務部かなぁ…と思いながら今日の私の仕事を確認すると…今日はカルマートさんから依頼が来ていた。…と言う事は、今日は珍しく総合部として働くって事か。


うわぁ…何だろう。何だか良く分からないけど、何かとても嬉しい。いつもどこかのサポートばかりで、総合部らしい事は何一つしてなかったから…何だか凄く嬉しい。ありがとうカルマートさん!!


「昨日はお見事だったね、夜風さん。」


久しぶりに総合部の仕事だわぁぁいっ!!と、内心で物凄く喜んでいたら、背後からトロバドールさんに声を掛けられて物凄くビックリした。…おいおい、今日の私は感情のセーブが緩くなってやしないか?落ち着け私。いや、顔には出てないんですけど。多分。


「…トロバドールさんですか。あの程度でしたら、武闘部の方なら…そしてベテランの冒険者の方なら、普通に出来ると思いますよ。」


実際、私が早く動いたってだけで、動こうとしていた方々は少なからず居たし。それくらいは見えてるわ、私だって。


「おや、謙遜かな?」


「さぁ、どうでしょう?」


ううん…この人、本当に腹の中が見えないな。




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