132話 現地に行くと凄く揺れる。
ロアイトさんがあの男性に何をするのか…上手く想像は出来なかったが、逆に上手く想像できなかったからこそ恐ろしい。
これは、帰ったら小春をモフモフせねば!!と思った時、そう言えば今日は実家に泊まりだった…と落ち込んだ。いや、実家に帰らなかったのは私の意思だけど…ああ、癒されない。
頼み込んで日辻さんを抱き締める?…いや、日辻さんのモフモフも大変良いモフモフだけど、そうじゃない。ルナさんを抱き締めるのは…いやいや、照れくさすぎて無理と言うかルナさんはそんな枠じゃない。つか、日辻さんはルナさんに付いていっただろうから、つまり私の実家に向かわないといけないって訳で…それなら本物の小春モッフモッフするわ。
近場で取り敢えずとなると…柚季さんに頼み込んで白雪さんを抱き締めるとか?…いや、白雪さん経由で今回の話が広まりそうだから難しいか。あの歩くテディベアみたいな…確か私が脳内でくーさんとベアさんって呼んでた小熊達は…今、元気にやってるのかなぁ。あの二匹はおいそれと会えないしなぁ…後白熊のくーさんは絶対この時期動きが悪そう。
「シレッとお嬢ちゃんをヌイグルミ扱いしとる辺りがお嬢さんよな。しかも羊さんの次に出しとる辺り、お嬢さんの中で違和感ない事なんやなぁって。」
「さっきも言いましたが、ルナさんと日辻さんはセットですから。それに、ルナさんは元々マスコットみたいな雰囲気ありますし…ルナさんに着ぐるみ着せたらワンチャンあるかなぁって。」
と言っても、それは最後の手段だけど。何と言うか…友達を抱き締めるって…超恥ずかしい。手を繋ぐぐらいならまだ何とかなるんだけど、抱き締めるって…しかもルナさん、今私の実家に居るんだよ?捻れ捩れて父様や母様やメイドのユリナさんや執事のリベルタさんや料理長に変な誤解をされてしまったら…。
「あら〜。」
「影の精霊、その顔止めようか。…っと。」
何とも言えないにこやかな笑顔を貼り付けた影の精霊にイラッとした時に目に入った店に、私は何故か足を進めていた。
「今日のお嬢さんは頑張ったからなぁ。それくらいのご褒美があってもええんやない?」
「お前本当何様だよ…。」
ただ実家に帰ってきただけなのに何やら久し振りに感じる。その事に苦笑いを浮かべながら、私はドアベルを鳴らした。
一応自分の家でもあると言うのに他人行儀だが、これでドアに鍵が掛かっていたら内から開けてもらわないといけないし、私合鍵持ってないし、何より親しき仲にも礼儀ありだし。…限りなくない可能性だと思うけど、下手に入って空気が悪くなるのは避けたい。
「あらあら、琴波。こっちに来るなんて珍しいわねぇ。」
ドアベルを鳴らして暫くして、カチカチと内から鍵を開ける音がしてから、ガチャリとドアが開いた。恐らくモニターか何かで確認したのだろう、母様は何の抵抗もなくドアを開けた。もしくは影の精霊の密告だろうが…この詳細はどうでも良いな。
「あはは…時間が時間なので、少ししたら帰るんですけどね。あ、コレ良かったら。」
「気にしなくても良いのに…でも、ありがとう。」
「街で見掛けたドーナツ屋さんが、何とも美味しそうで…一人で食べるのは悲しいので、お裾分けです。」
…改めて口にして、悲しくなってきた。今日は、部屋に戻っても一人…ヤバイ、どうせ転移魔法で実家に帰ってる訳だし…今日は実家に泊まろうかな?とか思いだした。
「う〜…?はっ、琴姉〜!!琴姉だぁっ!!」
帰るか泊まるかグラグラ揺れていると、奥から寝ぼけ眼を擦っていたのに、私を視認した瞬間トテテと小走りにこちらに寄って来た小春に、私は何かに撃ち抜かれた気持ちになった。
「ふふふ。どうする〜、琴波ぁ。」
「思いっきり揺れてるんで止めてください母様。」
うわぁあ、どうしようかなぁ。今日は泊まる?帰る?どうするんだよ私!!




