107話 元が一緒なモノって辛い。
影の精霊に乗せられるのは何だか釈然としないが、この状況を見てしまったからには、もう私はあの骸骨やら何やら達と戦うしかない。ルナさんはもうノリノリだ。
スマホを操作して、私はいまだに寝巻き姿だったのをいつも戦っている時に着ている服に変身した。ルナさんは、アパート?から出る時に既にバッチリ着替えていたし、武器も持ってきていた。…慌てすぎだよ、私。
「ん?…おい、影の精霊。何か私の棒に、良く分からないブレードが出てるんだけど。」
クルクルと、クセで棒を回していると…普段前に突き出す方の棒に、さながら鎌の様なブレードが出現していた。ブレードが出現しても重さがない事や、ブレードが僅かに光っている所を見ると…どうやらこのブレード、魔力で出来ているみたい。
今までと別に違った事はしていないし…そうなると、影の精霊がこの棒に何かしたしか考えられない。
「良かろ?こう、如何にもな死神っぽくて!!」
「やめろ…意識しないようにしてたのに。」
何だよコレ…と思っていたら、影の精霊の言葉に体が固まった。
骸骨の頭を粉砕した時は感情が昂っていて、あまり考えていなかったのだが…今向かってきている存在達は、明らかに『人間』の形をしている…まるで人を殺めてしまっているみたいな錯覚に陥ってしまって…とても気分が悪い。
「大丈夫やて〜。寧ろしっかり屠ってあげた方が、色んな意味でこの人達の為やと思うで。」
影の精霊の言葉に引っ掛かりを覚えて、影の精霊にその言葉の意味を聞こうとしたら…空気を読まないゾンビがこちらに襲いかかってきて、ルナさんがキレイにヘッドショットを決めた。
「もう、コトハ!!今はお喋りより、目の前に集中だよ!!」
「くっ、すみません…。」
ルナさんの喝に意識を切り替えて、取り敢えず手近に居たゾンビを何体かまとめて頭を横一線に切ってから、襲い掛かってくる新たなゾンビの頭を蹴り飛ばした。
「むーん…ここまでたくさん湧いちゃうと、僕でも魔法で燃やすのが難しいかなぁ…あ、コトハコトハ。小春ちゃんは連れてこなかったの?」
「こんな危険な所に小春を連れてくる訳、ないじゃないですか。…っと、危なっ。」
二つの剣を携えた骸骨が、怒涛の剣撃を私に浴びせて来た。どうにかステップで躱した後、回転による遠心力を掛けた鎌の一撃をお見舞いして、鎌の峰で頭を砕いた。
「わぁ…!!敵?ながら見事な連撃だったね。」
「ここまで双剣を扱える人が居たなんて…。」
一応結界を身に纏っているから、最悪の事態にはならないんだけど…その事を忘れてしまう程、先程の骸骨の攻撃は苛烈で、死して尚凄まじい気迫を感じる攻撃だった。
…さっきから薄々思っていたけど、この骸骨とゾンビの連合軍みたいなヤツ…やたらと武装してる人が多いな。…何、もしかしてこの連合軍は、戦死した存在に再び肉体を付与したモノなの?
「ううん、全く減った感じがしないねぇ。」
「一応、ウチがギルドに連絡を入れて、緊急の依頼を出してもらっとるんやけどなぁ。」
影の精霊の言葉に、相変わらず仕事が出来るヤツだな…と思いながらも、援軍が来る気配がないのはどう言う事だ!!と、少しイラッとした。半端な時間だから、冒険者の集まりが悪いのは分かっているけど…このまま二人だけだと、いつか取り零しが起きてしまうだろう。
つか、先程からアルベロ先生の姿が見当たらないんだけど。あの人、本当にこの場を私達に預けて帰ったんじゃないよね?
「先生さんは先生さんでちゃんと動いとるから、安心しお嬢さん。」
「…まぁ、あの人なら人が居れば最短距離で物事の収束させようとしますか…。」
「流石コトハ!!アルベロ先生の事良く分かってるね!!」
ルナさんの言葉に反応しようとしたら、また空気を読まないゾンビやら骸骨やらがこっちに襲いかかってきたので、鬱憤含めて縦真っ二つに切った。




