62話 運命の強さ
神様サバイバル10日目
【人類残り42%】
10日目の夜。
古民家。
夢見の正体発覚からしばらく経ったが、未だに不知火達はどこか落ち着かなかった。
理由は単純だった。
目の前でタバコを吸っていた女が。
数秒後には。
「タバコ嫌いですぅ」
と言い出したからである。
「……慣れねぇな」
盗丸が呟く。
夢見は首を傾げた。
「何がですかぁ?」
「全部だよ」
即答だった。
廃人は腕を組んで唸っていた。
「魂レベルか……」
「なんなんだよ、それ」
的場が隣で焼きおにぎりを食べている。
「おれも気になる」
「なんかレベルアップすると強くなるらしいぞ」
廃人は頭を抱えた。
「神様通話使えば聞けるんだろうけど」
「気軽に使えねぇんだよなぁ……」
そこで。
夢見が反応した。
「魂がどうかしたんですかぁ?」
廃人は説明する。
防衛キーワード。
能力。
魂レベル。
的場の“ 不屈”。
そして。
刑務所で起きた出来事。
夢見は静かに聞いていた。
やがて。
「あぁ」
小さく頷く。
「それなら分かるかもしれませんねぇ」
廃人が顔を上げた。
「え?」
夢見は少し考える。
「昔、おばあちゃんが言ってたんですぅ」
窓の外を見る。
どこか懐かしそうに。
「運命っていうのはね、魂の強さで変わるの」
「だから運命の強い人は魂が強いのよ」
静かに続けた。
「占いでは運命の強さを見るんですぅ」
「だからぁ……」
「数字に置き換えれば近いものは分かるかもしれませんねぇ」
廃人の目が輝く。
「マジ?」
夢見は頷いた。
「的場さんを基準にしましょうかぁ」
「的場さんが魂レベル30くらいだと仮定してぇ」
みんなの顔を見る。
そして。
一人ずつ答えていく。
「楓ちゃんは15」
楓。
「低っ」
「普通ですよぉ」
夢見は笑った。
「医楽さんは20」
医楽が鼻を鳴らす。
「ほぉ」
「盗丸さんも20」
盗丸。
「おれじいさんと同じか」
「的場さんは30」
的場が胸を張る。
「やっぱ高ぇな」
「基準ですからぁ」
夢見は続ける。
「ピエロさんも30ですねぇ」
ピエロは無言で親指を立てた。
そして。
夢見の視線が不知火へ向く。
少しだけ目を細める。
「不知火さんは……」
「120」
全員。
「は?」
空気が止まった。
楓が二度見する。
盗丸も振り返る。
的場が吹き出した。
「120!?」
「やばっ!」
「チートじゃねぇか!」
不知火本人も驚いていた。
「そんなにあるのか?」
夢見は肩を竦める。
「あくまで占いですよぉ」
「運命の強さを数字にしただけですぅ」
それでも。
120は異常だった。
廃人が身を乗り出す。
「おれは?」
夢見の表情が曇る。
「ん〜……」
「言いづらいんですがぁ」
廃人。
「うん」
夢見。
「廃人さんは」
一拍。
「ゼロですねぇ」
沈黙。
廃人。
「は?」
夢見。
「ゼロですぅ」
廃人。
「ゼロ!?」
夢見。
「はぃ〜」
廃人。
「死んでるじゃん!!」
的場が爆笑する。
楓も笑う。
盗丸まで肩を震わせていた。
夢見は慌てる。
「べ、別に希望がないとかじゃないですからぁ!」
「本当に何も見えないんですぅ!」
廃人だけ納得がいかなかった。
「なんだよそれぇぇ!!」
やがて。
時計の針が重なる。
0時。
全員の個人モニターが光った。
「来たか」
廃人が顔を上げる。
次の瞬間。
見慣れた姿が現れた。
神だった。
『やぁ』
『神だよ』
いつもの軽い口調。
神は笑う。
『みんなさぁ』
『自分の子は可愛い』
『自分の子は賢い』
『自分の子は特別だって思うじゃん?』
誰も答えない。
神は続ける。
『じゃあ聞くけどさ』
『自分の子ってなに?』
沈黙。
ピエロだけが無言で神を見つめていた。
神は嬉しそうに笑った。
『よし』
『決めた』
両手を広げる。
『神様サバイバル11日目』
『消滅するのは』
一拍。
『“ 血の繋がり”』
全員が固まる。
神は構わず続けた。
『他人が他人を産んで』
『他人が他人を育てる』
『ん〜!』
『優しい世界だね!!』
誰も笑わない。
神だけが楽しそうだった。
そして。
消える直前。
思い出したように振り返る。
『あっそうだ』
『14日目』
『また特典用意してるから』
『頑張ってね』
神は消えた。
消滅ワード
1日目 “法律 ”
2日目 “ 電気”
3日目 “ 罪悪感”
4日目 “ 鍵”
5日目 “ 痛覚”
6日目 “ 肉”
7日目 “ 地図”
8日目 “ 鏡”
9日目 “ 約束”
10日目 “ アルコール”
11日目 “ 血の繋がり”




