36話 もし死んだら
神様サバイバル8日目
【人類残り65%】
早朝。
ホームセンター。
黒闇の部下の悲鳴が響いた。
「ひっ……!!」
床。
女が震えていた。
服は乱れ、
涙で顔がぐしゃぐしゃだった。
その上に覆いかぶさろうとしていた男。
黒闇の部下。
「ち、違っ……!」
パンッ。
乾いた銃声。
男の頭が揺れる。
そのまま崩れ落ちた。
血が広がる。
沈黙。
女は呆然としていた。
部下たちも固まる。
黒闇が銃口を下ろす。
冷たい目。
「言ったはずだ」
低い声。
「こいつらは、お前たちの性の捌け口じゃない」
誰も動けない。
「次、勝手に手を出したやつは」
一拍。
「容赦なく殺す」
ゴクリ。
誰かが息を呑む。
部下たちは黙って頷くしかなかった。
ホームセンター奥。
簡易的に作られた大きな小屋。
いや。
避難所に近い。
布団。
机。
保存食。
水。
簡易トイレ。
雑だが、
生きるには十分だった。
中には。
女子供、合わせて30人。
怯えている者もいる。
眠っている子供もいる。
泣き疲れている母親もいる。
この小屋は、
奴隷として使っている男たちに作らせた。
鍵?
意味がない。
今の世界では、
ただの飾りだ。
だから。
24時間監視。
入口には常に武装した見張り。
誰も逃がさない。
⸻
同じ頃。
不知火たち。
ホームセンターへ向かう途中だった。
すると。
ピエロが立ち止まる。
紙を出す。
【家に寄りたい】
不知火が読む。
「家?」
ピエロが頷く。
盗丸が肩をすくめた。
「まだ、時間あるなら」
小さな一軒家。
表札。
【日枝】
不知火の目が止まる。
ピエロは迷わず奥へ入っていった。
不知火は玄関に残る。
ふと。
写真立て。
目が止まる。
家族写真だった。
遊園地だろうか。
不機嫌そうな父。
笑顔の母。
赤ん坊。
そして。
ピエロ。
「……」
不知火は何も言わなかった。
そのとき。
「なぁピエロー!」
的場。
勝手に家へ上がっていた。
「ダイナマイトの作り方教えてくれよ!」
「な?」
「な??」
ピエロは無視。
襖を開ける。
奥から。
袋。
そして。
ダイナマイト。
「うぉぉぉぉ!!!」
的場の目が輝く。
「すげぇ!!」
「欲しい!!!」
盗丸が呆れる。
「ガキかよ」
ピエロ手作り。
サイズは三種類。
大。
中。
小。
紙に説明を書く。
【大 一個でホームセンター半壊】
【中 一軒家破壊】
【小 物置小屋破壊】
沈黙。
不知火がゆっくり読む。
「……怖すぎるだろ」
的場だけテンションが上がる。
「大だけでいいじゃん!!」
ピエロ。
無言で首を横に振る。
却下。
ちなみに。
的場が身体検査で没収していたもの。
あれは中サイズだった。
「マジかよ!!」
的場が喜ぶ。
盗丸は手を振る。
「おれはいらねぇ」
「爆発系は趣味じゃねぇ」
─────
ホームセンター前、到着。
まだ早朝。
空気が冷たい。
見張りは少ない。
不知火が振り返る。
真剣な顔。
「確認する」
全員を見る。
「相手は本物の銃を持ってる」
「命の危険を感じたら、
迷わず逃げてくれて、構わない」
盗丸が笑う。
「そこは遠慮しねぇよ」
的場。
ゾクゾクしていた。
完全に聞いていない。
ピエロは紙を取り出す。
書く。
【もし、おれが死んだら】
そこで。
不知火が止めた。
「礼なら、生きて古民家で言え」
沈黙。
ピエロが少しだけ。
目が柔らかくなった気がした。
そのとき。
盗丸。
「ちょっお前なにやっ、あっ!」
不知火、ピエロが見る。
「おい、盗丸」
不知火が小声で怒る。
「敵に聞こえるだろ——」
ドカァァァァンッ!!!!
爆音。
衝撃。
入口の見張りごと吹き飛ぶ。
煙。
破片。
沈黙。
ピエロと不知火、
ゆっくり振り向く。
的場。
笑顔。
「ダイナマイトつえぇぇぇ!!!」
満面の笑み。
不知火、絶句。
盗丸、絶句。
ピエロ、絶句。
数秒後。
ホームセンター奥。
「て、敵襲ぅぅぅ!!!」
黒闇の部下の絶叫。
サイレント潜入作戦。
開始3秒で終了。
消滅ワード
1日目 “法律 ”
2日目 “ 電気”
3日目 “ 罪悪感”
4日目 “ 鍵”
5日目 “ 痛覚”
6日目 “ 肉”
7日目 “ 地図”
8日目 “ 鏡”




