33話 合流
神様サバイバル7日目
【人類残り70%】
夕方。
古民家の玄関が勢いよく開いた。
「ただいまー!」
楓の声。
その後ろから盗丸。
両手いっぱいの袋をぶら下げている。
「大量だぜ〜!」
ドサドサッ。
床に並ぶ。
木の実。
山菜。
そして。
「見てこれ!」
楓が誇らしげに掲げる。
「松茸!!」
廃人が目を見開く。
「マジか」
盗丸が胸を張る。
「山の穴場なめんなよ」
「今日は鍋にしましょう!」
楓がテンション高く言う。
「豪勢じゃねぇか」
医楽が酒瓶片手に笑う。
そのとき。
「で」
楓が振り返る。
「さ、おばあちゃん、早く早く!」
「……え?」
廃人が固まる。
玄関の外。
ゆっくり姿を見せたのは、
夢見羽衣。
占い館の老婆だった。
「どうも」
ぺこり。
「……誰?」
廃人が聞く。
「占い師のおばあちゃん!」
楓が即答する。
「死相が見えるって言われたのよ!」
「え?」
空気が止まる。
「いやいや待て」
廃人がツッコむ。
「怖すぎるだろ」
楓は気にしていない。
「でも回避方法もあるんだって!」
夢見が少し咳払いした。
「まぁ……絶対とは言えませんけど」
───
一時間前。
「おばあちゃん、一人暮らしなんでしょ?」
「寂しいじゃない」
「うち来なさいよ」
夢見は内心、少し迷っていた。
(……悪い人たちではなさそう)
そう思う。
でも。
(集団生活は危険)
一人で隠れていた方が、
目立たない。
生き残る確率は高い。
「いえいえ」
「お気持ちだけで十分ですよ」
柔らかく断る。
楓が露骨にしょんぼりした。
「え〜」
「せっかくいっぱい松茸取ってきたのに」
盗丸が肩をすくめる。
「まぁ、ばあさんも一人の方が気楽なんだろ」
「無理強いすんな」
「そっか」
夢見も頷く。
「じゃあ——」
二人が背を向ける。
数秒後。
「……あれ?」
楓が振り返る。
夢見がいた。
でかいバッグを片手に。
完全に出発準備済み。
「行きましょうか」
盗丸が吹き出す。
「ノリノリじゃねぇか!!」
夢見が咳払いする。
「……松茸、好きなんですよ」
⸻
古民家。
「というわけで!」
楓が手を広げる。
「新メンバー!」
「夢見羽衣さん!」
夢見がぺこりと頭を下げる。
「占い師です」
廃人がじっと見る。
「……ほんとに占い師?」
「失礼ですねぇ」
夢見が微笑む。
医楽が酒を飲みながら言う。
「へぇ」
「医者もいて、泥棒もいて、占い師も来る」
「妙な家になったもんじゃ」
「泥棒言うな」
盗丸が即ツッコむ。
楓はもうキッチンに向かっていた。
「よーし!」
「山菜洗う!」
盗丸は外へ。
「火の準備すっか」
夢見は座る。
古民家の空気を見回す。
(……案外、悪くないかも)
そう思った、そのとき。
玄関が勢いよく開いた。
バンッ!!
全員が振り向く。
不知火。
的場。
二人とも息が荒い。
そして。
その間にいた。
白塗り。
派手な服。
ピエロ。
「……は?」
廃人が固まる。
「ピエロだ」
楓が素で引いた。
「ちょっと待って」
「なんでそのテロリストみたいなの連れてきたのよ!?」
「説明する」
不知火が言う。
「黒闇の車を追って——」
言いかけた、その瞬間。
ドサッ。
玄関先で、
ピエロが倒れた。
「おい!」
的場が支える。
呼吸が荒い。
限界だった。
夢見の表情が変わる。
「……え」
医楽が立ち上がる。
「運べ!」
全員が一気に動く。
ピエロは薄く目を開ける。
声は出さない。
ただ。
震える指で。
何かを伝えようとするみたいに、
空を掴いた。
不知火陣営
・不知火焔
・水無月楓
・音棘廃人
・的場射檻
・医楽世捨
・盗丸頼斗
・夢見羽衣
・ピエロ?




