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徳川家康 第九話「兆し」
第九話「兆し」
変化は、小さく始まる。
だが、確実だった。
人が戻る。
離れかけた心が、戻ってくる。
完全ではない。
だが、確かに変わっている。
「殿は動かれる」
その言葉が広がる。
遅い。
だが、止まらない。
その評価が、形になり始めていた。
家康は変わらない。
だが、変わっている。
待つだけではない。
動く。
だが崩さない。
その両立が、少しずつ理解されていく。
「……見える」
誰かが呟く。
未来ではない。
方向だ。
どこへ進むのか。
それが見え始めている。
家康は何も言わない。
だが、進んでいる。
確実に。




