表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
161/194

第162話 レナタ・再来 ⑤

「姫路さん、耐えろ!」


 首の群れを見上げた純一は、近くのビル屋上を蹴って空へ飛び出した。

 姫路の弱点を狙って迫る首へと一気に肉薄し、剣を巧みに操って次々と斬り払う。

 斬撃の反動を利用して空中で体勢を変え、軌道を読み切った動きで、首の群れを確実に切り捨てていった。

 純一は冷静さを失うことなく、低く呟く。


「姫路さんの攻撃を止めに来るとは。さすが壊滅級だ。ジャイアントウォーリアが相手でも、そう簡単に倒せる存在じゃないか」


首を縛るワームを斬り取れた、痛みを耐え、

万璃愛は片目を開けて、不屈に声を叫ぶ。


「こんな痛み……!私、負けないんだから!

 ガニちゃん、ドリルミサイル発射!」


 宙に浮かぶガニメデ号のミサイルポッドが作動した。

 無数のドリルミサイルが放たれ、別々の角度からレナタを貫き、次々と爆発する。

 レナタの巨体を包む爆炎の閃光は、夜空に咲く花火のようだった。


 体が楽になった万璃愛はその気に受け身の動きでそこから離れ、再び立ち直り、次の攻撃を仕込むように構えを取る。


「先ず首の分身を取らないと、本体に寄らせないか……ならば、ジャイアント薙刀で一気に分身を切り取るわ。」


 ドリルアームを一旦外せ、腰アーマーの所に着ける。

 次に背中のバックパックから柄が射出し、天に昇るほど長い柄に展開し、先端にビームの刃を伸ばす。薙刀を両手に取る万璃愛は、足を踏ん張って、足腰の力を活かし、腕で器用に薙刀を回し、襲ってくる首を斬り落とす。


 体の重さが抜けたのを感じた万璃愛は、受け身を取ってその場を離れ、素早く体勢を立て直す。

 次の攻撃を見据え、静かに構えを取った。


「まずは首の分身を排除しないと、本体に近づけない……。

 なら、ジャイアント薙刀で一気に刈り取るわ」


 万璃愛はドリルアームを解除し、腰部アーマーへと収める。

 続いて背中のバックパックが展開し、一本の柄が射出された。


 柄は瞬時に伸長し、天を突くほどの長さへと変形する。

 その先端に高密度のビーム刃が形成され、白銀の光が揺らめいた。


 巨大な薙刀を両手に取った万璃愛は、大地を踏みしめる。

 足腰から生まれた力が、そのまま腕へ、刃へと流れ込んでいく。


 次の瞬間。


 横薙ぎに放たれた一閃が、広範囲を覆った。

 刃が通過した軌跡には、遅れて残光が弧を描き、

 まるで空間そのものを切り取ったかのように、光が空中に刻まれる。


 襲い来る首は、斬撃範囲に入った瞬間、まとめて断ち落とされた。

 切断面は一拍遅れて崩れ落ち、重たい音を立てて地面へと激突する。


 薙刀の残光はなお消えず、次の一撃を予告するかのように空中で揺れていた。


 万璃愛の武装換装を、地上の特務隊員たちは息を呑んで見上げていた。

 背中から射出された柄が異常な速度で伸び、光の刃が形成された瞬間、戦場の空気が一変する。


「……何だ、あの武器……」


「長さが……いや、斬撃範囲が、桁違いだ……」


 重錬が状況を見据え、根明るい声で説明する。


「お前らが知らないか?あれはマリアンヌちゃんの愛用武器、

 ジャイアント・ビームナギナタだ」


 万璃愛はそのまま薙刀を振るい、前へ出る。

 その動きは斬るというより、なぞるに近かった。


 だが次の瞬間、首の群れがまとめて、次々と崩れ落ちる。

ビームナギナタを持ったさらに攻撃ペースを上げ、乱舞しながら正確に首の群れを斬り払う。


「一瞬の攻撃で、あれだけの数を切り取れた」


「今までの攻撃が……全部、霞んで見える……」


 薙刀の軌跡に残る白銀の光が、戦場を照らす。

 隊員たちは思わず武器を下ろし、ただその光景を見守っていた。


「……俺たちが、必死で抑えてた首を……あんなふうに……」


 そばにいた女性隊員も、感嘆の声を漏らす。


「……これが……ジャイアントウォーリアですか。

 噂通り、強くて……頼れる味方ですね」


 一方、別部隊の特務隊員は、皮肉を滲ませて呟いた。


「……やはり来たか、マリアンヌ。大型シャドマイラと同格の災厄級だな」


 その中には、胸に嫉妬を宿す者もいる。

 彼は、他愛もない口調で唸った。


「俺たちの出番を奪って……人造の神様気取りか。

 所詮は人体兵器、化け物級なら……せいぜい俺らの代わりに戦ってくれよ」


 だが、次々と首が斬り落とされるたび、

 戦場に漂っていた絶望は、確実に押し返されていった。


 その巨大な背中を見上げながら、

 誰かが、かすかに呟く光景であった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ