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第128話 支援プロジェクトのミーティング ①

大原博士の研究室へ向かう途中、通路の両側に並ぶガラス窓から、さまざまな研究エリアの内部が見えた。


 右側のフロアには、三階分ほどの吹き抜けの空間に、恐竜の骨格と筋肉を思わせるフレームが並び、その上から鋼鉄の装甲と各種武装が組み上げられている。

 左側には、マネキンにフィットするボディスーツがずらりと並び、細かな鱗状の謎素材が光を鋭く反射していた。水さえあれば酸素を生成できるという潜水マスクと、それに対応したスーツ、さらにそれを応用した武器やアイテム、そうした装備が次々と製造されている。


 エスカレーターを乗り継ぎ、さらに進むと、

 別の研究室には、民間用大型マシン並みの巨大エンジンがテスト台に据え付けられていた。宇宙衛星のソーラーパネルほどの大きさを持つ鋼鉄色の翼、さらに胴体パーツとコクピットらしき構造物。どうやら何らかの巨大マシンを建造中のようだ。


 更に、別のエリアでは、円柱型の台座の上に、複数のコア石がふわりと浮遊していた。コア石とともに、高密度のエネルギーを帯びた隕石の欠片が管制された環境で保存され、自動機械がその表面を繊細に研磨している。


 普段の生活では絶対に目にすることのない“未知のもの”たちが次々と現れる光景に、陽太は目を丸くし、子どものような笑顔であちこちを見回しながら尋ねた。


「瑤妤お姉さん、あの隕石みたいなのは何ですか? すごく高いエネルギーを持っているみたいですけど」


「あれはね、十年前に地球に落ちてきた小惑星を撃破したあと、世界各地から回収された破片よ」


「えっ……あの【カパース8837】って、人造物だったんですか? ただの大きめの小惑星だと思ってました」


「あれはある異星人の難破船、隕石で偽装して地球に堕ちで来た。一般向けのメディアではそう報道したの。無用なパニックを避けるための情報操作は、よくあることよ」


「瑤妤お姉さん、よく知ってますね。その研究プロジェクトのメンバーなんですか?」


「いいえ、私はあのプロジェクトには参加していないから、詳しくは知らないわ。ただ解析中で結論を出せないものや、人類に使わせるにはまだ早いと判断されたものは、民間には公開しない。悪用されたら人災になる。だから、人類社会の日常を守るために、情報を適度にコントロールするのは、よくある手段なの」


「そうなんですか……。この研究所の中だけでも、見たことないものだらけですね。UCBD科援所って、今どれくらいの研究プロジェクトがあるんですか?」


「私たちは人類にとって未知なものを探究する組織。連邦政府から委託された人類の未来に関わる巨大プロジェクトから、異能者一人ひとりの悩みを解決する支援プランまで……。この赤城山研究所では、今進行中の研究項目は千件を超えているわ」


「千件……すごいですね。さっきの鯨の骨格みたいなフレームに乗るのはジェットプロペラエンジンですよね?潜水マシンっぽかったですけど、瑤妤お姉さんの担当ですか?」


「いえ。ここで見たのは、全部大原博士が直接指揮しているプロジェクト。彼の下には二十の研究チームがあるの」


「じゃあ、瑤妤お姉さんは、どんな研究を?」


「一部、新兵器開発の案件に関わっているけれど、私の本業は事件現場での戦闘支援と対策チームの指揮よ」


「つまり、退治が難航する案件の作戦を立てて実行する役割ですね。実行支援部……。どうりで、いつも現場でお姉さんに会うわけだ」


 陽太は純粋な好奇心のまま、ガラス越しに各研究室を見下ろし続けた。


 一方で瑤妤は、ふと視線を陽太からそらす。

 日野家の血筋の調査、

 陽太の暴走を抑えるため、同じ血筋の人に異能を覚えさせる計画。

 そうした裏側のプロジェクトを、素直に打ち明けることはできない。


 陽太は異形を扱うことを嫌う。

 ましてや、大人たちの事情、組織の一部が、彼の存在を戒めるべきリスクとして警戒しているなどという話は、この年齢の彼にはあまりにも重すぎる。瑤妤はそう判断していた。


 さらにエスカレーターを乗り継ぎ、ついに大原所長のチーフ研究室へとたどり着いた。


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