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本の世界の鍛冶士 柊シズクの物語  作者: 川崎タイチ
超未来都市 NIISSA<ニーサ> カグツチ編
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第88話 ロケット部④ 闇夜の閃光一派

 落としたカメラをスッと持ち上げ故障箇所が無いか確認をするミラ。


「……いや、まだ慌てる……再度確認するが……『文芸部の?』」


 いやしつこいでしょ。文芸部であることは特に引っかかるようなことか?とは想ったけど、とりあえず歩調を合わして――。


「ん?『柊……』」


 ――ドーン!!!!


 総額70万円のカメラが再び寺の床とゴッツンこ!した!!


 驚くほどの堅牢性を魅せつけるβ9ⅱ!


 ――寺の床が盛大にへこんだ!


「って!シズクちゃん!!!」


 なんと、ミラは文芸部の柊シズクの事を存じ上げておられた!


 再びミラはβ9ⅱを持ち上げ、大切そうに抱える。そして、かなりの動揺を見せたが、深く深呼吸をして語り始める……?


「還れ!今すぐにだ!……あと!この事はミカ様にも内密にし、無かったこととせよ!!」


 ……ジト目をキメる!


 当然だ!何ら説明もせず、いきなり還れ!とは。しかもだ、あろうことか先程まで『カグツチ様』と言っていたではないか?その御先(みさき)である私に還れ!とな。こっちはカチコミをキメられたのだぞ!であるのに、帰れではなく還れである。要約すると死ねと言っておられる。


「いやいやいや!いきなり死ねとは!チョットは説明が欲しいよ!……あと、何で?ミカさん所へ行っちゃダメなんよ?」


 仮に巻き込むな!と言われても、私はカグツチからの(めい)でミカさんへ拝謁することになっているのだ。控えめに捉えたとしても、ウチのカグツチより下位にあたるミラに命の上書きをされることなど、我々の神側では御法度とされている。


 ――何故そうなっているかと?


 神の世界であるならば、それぞれの神の疑義によりぶつかり合いが大いにあり得ることだが、その神同士の干渉が私たちのセカイでは御法度なのだ。


 神が我々のセカイでお姿を見せておられているときは、休養中であるためだ。そういう厄介事は当然持ち込みは禁忌になる。その一例として私に対しての命の上書きは御法度となる。


 当然、私はカグツチからの命を受け行動している。神への従属に価するからだ。その行動を『否』とするのであれば、当然ルールに反することになる。


「判ってると想うけど、カグツチと敵対する気?……とはいえ、アンタとぶつかれば同時にミカさんを相手にする事と同義だけど……」


 厄介なのはこのミラは天照大神である『天野ミカ』の『近代神器』でもある。


 それはそれは恐ろしい沼の神である!


 一例として……。

 その沼に堕ちし人は……。


 1,マップルカメラでカメラを買う。

 2,家に即時配送される。

 3,マップルカメラでレンズを買う。

 4,家に即時配送される。

 5,お金が尽きた!……がマップルカメラ。

 6,マップルカメラで無金利ローン!

 7,素晴らしき沼へ……。


 と、神なのにローンの輪廻転生を繰り返す事となる悲惨な未来しか待っていない。


 三種の沼……近代三種の神器であるカメラの神である。沼はあと2つあるぞ!


 ――素晴らしき信仰心である!


 ミラの集金力はまさに地獄の沼レベルではあるが、光の神であるというよく判らない設定が仕上がってしまった神様だ。


 さらにややっこしいことに彼女の持っているβ9ⅱはミラーレスカメラだ!


 ――おい!鏡は何処へ行った!!!

 それで良いのか?


 あと、厄介のことにCamon製カメラは宗派の関係で持てないらしい――。どうやら観音様属性が身を焼くらしい……とかではなく、単純に敬愛するメーカーがβ9ⅱを出しているからである。


 神でありながら、信者でもあるというミラ自身もややっこしい事になっている。


 っということで、宗教を持ち込んでは大変なことになるため、やはり神同士の干渉は避けるべきだ。


「いや、単純な事よ。ミカ様とシズクちゃんは友達……ではないな。あれはミカ様の方が弱みを握られてる感じだ!」


 ――まさかのこっち側のセカイでの問題だった!


「我々、ミカ様の一派はシズクちゃんには丁重に対応するようにと!くれぐれもだ!とSNSのグループ『闇夜の閃光』で拡散してだな……」


 時代は、神もSNSで情報交換するらしいぞ!あと、何だ?闇なのか光なのか?そもそも御前らの一派は『太陽・光・鏡』とかミラーボールを廻すパリピー側の神では無いのか?


 ウチのカグツチの方が光輝いてるぞ!


 なんと!『闇夜の閃光一派』

 天野(あまの)ミカは『闇』

 花神(かしん)ミラは『沼』である!


「……あんたらの厨二病一派の問題か!」

 何処のセカイに神が人に弱み捕まれてんだ!

 しかも神が厨二病とはかなり病んでおられるぞ!


 ……なるほど……。


 『闇』『沼』『病』……。


 ……近代三種の神器か……。


 おい!『病』が出てくるぞ!

 この一派とは関わらない方が良い!


 っと想ったが、もしかしなくても『闇夜の閃光一派』はミラとミカの2人の神しか居ないグループである可能性も出てきた。

 ――2人とも厨二病だからである。



 ――これは大人しく帰った方がイイのでは?


「とりあえずさ?私のカメラに加護を付与して貰いたいのだけど?そしたら今日の所は大人しく帰ることにしておくから」


 スッと、β6600を出した――!


 ミラはカメラを受け取……らず……。

「……おい……まさかと想うがね……このカメラで……『シ・ズ・クちゃん』を撮らないよね!!」


 ――勿論撮影致したい所存で御座います!

 もしかしなくても日本語がオカシイであろうが、念のため協力が貰えなかったときの保険としてワンショットするつもりだ!


「このカメラはウチの寺で預かりとする!」

「今すぐ還れ!」


 ――β6600は回収されました!

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