第85話 カグツチの火の館<Side ロケット部①>
「我々東高校の宇宙ロケット部は火力バカしか居ないのか!!」
ロケット部部長である『水城 トモカ』が声を荒げ訴える!
ロケット研究を続けるトモカ率いる『ロケット部』は、小型衛星を打ち上げるプロフェッショナル集団である!……と言うのも……。
「ぶちょー!潮岬灯台からクジョー入ってっぞー!まーた芝焼きやがってコンチクショー!だってさー」
ペラペラA4の紙に8pt程の小さい文字がビッシリと印刷されて文書がロケット部に届いていた。
東高校 ロケット部 各位
いつもお世話になっております。こちらは和歌山県警および和歌山県消防署の……以下略。
要約すると深夜1時位にロケット打ち上げるな!このバカ!さらに芝まで燃やしやがって!
次ヤッたり全員ブタ箱に掘り込むぞ!
……っと記載されていた。
適当に要約した部員の一人『神崎 |結菜<ゆいな>』だ。このロケット部のエンジニアの一人だ。
「結!そんな定型文無視無視!どうせいつもの『慣例』でしょ?」
部長のトモカには前科があるようだ……!
トモカはスッとA4の紙一枚を結菜に手渡す。手渡された紙と届いた紙を重ね太陽に当ててみた。
「おー……スゴい……判子の角度までーぴったりだ!」
シュッと部室の重要書類受けに友香は書類を戻し、精密ドライバーを振り回しながら結菜に自慢する。
「そりゃそうでしょ!我々ロケット部の功績だからね!近所やルールというしがらみのせいで、通例業務として出してるだけでしょ」
「ここ1年で24本衛生ぶち上げてるんだから」
そう、このロケット部は超小型無人ロケット『カグツチ』を衛星軌道上までポンポンあげるテクノロジーを持つ集団だ!
――天才『水城 トモカ』が創り上げた最強のロケットである。
「ほんと……すっげーよ!ぶちょーなんでさこんな小さいロケットを宙まであげられるよ?」
――上がってしまったモノは仕方がない!
「ふふふ……企業秘密にキマっているではないか!助手よ!」
「ジョシュ!になった覚えねーぞこのやろー!」
結菜は助手という立場は気に入らないようだ!
しかし、どう考えても高校の部室に入る程度の大きさのロケットが『宇宙』まで上がるのは物理的にオカシイのも事実だ。
◇
「カグツチ!ただいま!」
カマヤマ神社の社に帰宅したトモカが『カグツチ』という人を呼ぶ。彼女、トモカはカマヤマ神社に住んでいる。正確には神社ではなく神社の近所に建つ別館に入ると……。
「ホントいつ来てもここは異世界みたいだね」
近未来的な自動ドアを一枚開ける。さらにもう一枚強靱に守られるセキュリティが3段<網膜・『精神』・音声>を超えた奥に研究室に辿り着く。
「ああ、おかえり!トモカ!」
「っと!大変だったんだから!」
研究室に入ると電子部品が焼け付いた臭いが充満していることに気づく。臭いの方向に目を遣ると……!
「え!嘘!ガーディアンバッキバキじゃん!」
社を防衛するガーディアンが『剣』の様なモノでぶち叩かれた跡が痛々しく付いていた。
――どうやら侵入者が現れたらしい!
「ってかさ?コイツぶっ倒されるって『今』の科学技術なら『核』使っても貫通出来ないよ?だってこのテクノロジーって私のロケットにも使ってるんだから」
トモカのロケットにも使っている『特殊合金』だ!
「まあね、他の神が乗り込んできたのさ……基本休養先にカチコミをかけるのは私たちのルールでは御法度なんだけどね……でも、禁忌を犯したわけではなさそう」
カチコミをキメた人間の監視映像をトモカと確認する。
「正直、普通の女子高生……って!東高校の学生!?」
監視映像をトモカが観て驚きを隠せなかった!
「って!うちの学校とエースじゃないこの子!」
天使の羽のような刺繍をした真っ白なパーカーを纏った肩までの髪をなびかせながら鮮やかに剣で舞う美少女が記録されていた。
「髪の色が銀髪……だけど、この子、『文芸部の柊シズク』よ!」
昨年、文学賞を受賞して留年した『柊シズク』である。
「ウチの学校じゃあある意味伝説だからね。ICUで文学賞取って学年トップの成績で留年したとか」
出席日数不足で留年したという意外とつまらないオチである。
「ふーん……じゃあトモカこいつ連れてきてよ?ぶっ殺すから!」
「てっきり、ファヴァーダの住人かと思ってたんだけど、まさかこっち側の人間……いや、神に属する者か?」
「厄介だな……ファヴァーダの住人ならあっち側の精霊にヤらせれば良いのだけど。街ごと焼いちゃえば良いんだし」
大人の落ち着いた雰囲気を出しながら物騒な事を淡々を言い続けるカグツチだった。
「……てさか、カグツチ。その格好何とかならない?30歳位に見えちゃうけど、実際は私と同じでしょ……」
18歳のトモカにはやはり理解出来なかった。わざわざ叔母様化するカグツチの心理に。神であるカグツチにも何か考えでもあるのだろう。
「まあ、私の容姿は保留で!……それより……」
カグツチは今回の騒動に落ち所を付けようと考えている。
一応ではあるが、カグツチは神だ!
神である彼女を冒涜した行為に対して罰を与えなければ、示しが付かなくなる。
――但し、上級神相手なら別である。
「カグツチ、念の為確認するけど『貴方より下』だよね?」
トモカはシズクの神威としての地位をちゃんと確認する。
「……。」
確信がない事は理解した!
「だって!いとも簡単に逃げたんよ?あのレベルで私より上だったらそれはそれで困るわ」
右腕の『イフリート・ファイター』一体でシズク達を追い払う事は出来たが、実質逃走を許したが正しい。
「……まあ、裏取りにする事にする……同じ失敗はしたくないし、師に一度拝謁お願いできる?トモカ?」
カグツチ自信が『師』に直接拝謁すればいいように想えるが?
『失敗』に起因するようだ……!
「師……ね。あのニートのミカ?さんだっけ?」
「何でカグツチ程の裁量を持ち合わせる神があんなニートに負けたのよ……」
「ちょっと!ミカ様は大いなる『天照大神』そのものよ!十束剣のレプリカとか持ってるかもよ!!」
トモカはカグツチの警戒心にジト目をキメた!
「……まあ、行ってくるわ……と言っても、転移出来ないよね?熊野本宮大社へのルート開けてないでしょ?」
「片道100キロ以上あるのよね……初心者マーカーには若干辛いけど。まあ行ってくるよ!」
カグツチはトモカにお遣いを頼むことになった。
彼女も神である、当然トモカに加護を与える……!
「エスロクで行くよね?」
カグツチは左腕を振り上げトモカの髪をスッと指で髪をとき……。
「|彼<か>の者に火の精神の加護を与えん……」
トモカのブラウン色の髪が焔色に輝いた!
――火の精神『焔色の過給機』が付与された!
※ターボチャージャーによるパワーアップ<25%>!
――火の精神『焔色の安らぎの揺らぎ』が付与された!
※新陳代謝向上による疲労軽減<25%>





