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本の世界の鍛冶士 柊シズクの物語  作者: 川崎タイチ
風の移動要塞・カーハツヴァイ エルチェの物語編
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第71話 花梨の過去と本の事

「……私は……七海ななみを……七海ななみの意志を尊重したはずだった」


 花梨カリン七海ななみの犠牲によって救われたセカイを受けていたつもりだった。

 だが、七海ななみへの想いを断ち切れず、結果、11月を繰り返す事になった。


 ――災悪の時から1年後12月10日を迎える前のこの時を。


 花梨カリンは輪廻側の人間だった。

 一周忌を迎える重みに耐えられず崩壊寸前の精神状態に陥っていた。

 彼女の想いは世界の時間すらねじ曲げる程のに――。


 シズクが介入したことで、本の1ページ程花梨カリンの世界がズレてしまった結果――。


七海ななみさんへの想いが『星空の間』の力を借りて具現化しちゃったのですね」

「私のシューティングスターダイアリーで花梨カリンの日記を読ませて貰いました」

「……大体の経緯は把握できました……」


 花梨カリンは探偵業を行っている関係でダイアリー帳は所持している。

 ……しかし。

「……むむ?私は……日記なんて面倒くさい行為はしてないぞ!」

「むしろ過去など気にしないタイプだ!これは、探偵として格好付ける為に持っているだけだが?」


 ――間違いなく、過去の悲劇で現状ハチャメチャになって現在進行形だ――!


「いえ……あの、ごめんなさい……ココロの日記帳……なので花梨カリンさんの想いを覗いちゃったみたいなのです」


 ――読心術<日記形式>だ!

「それでなのですが、シズクさん。多分……なのですが、花梨カリンが言っていること、経験した事は真実だと想うのです」

「具体的に説明しますが……」


 ナキはシューティングスターダイアリーに記載されている内容をシズクに要約して説明する。


 1,花梨カリンが持つ『幸村』は確かにシズクとエルチェが創った。

 花梨カリンが高校2年の時に巻き込まれた事件の時。<2年前>


 2,シズクと花梨カリンが初めて会ったのは……1年前のごまさんスカイタワーだった。

 七海ななみが免許を取って初めてごまさんまで来たときに『援の助の交だ!』っと花梨カリンから失礼な事を言われたのでシズクはよく覚えていた。


 3,シズクが鍛冶士として『幸村』と『龍殺剣』の二本を創ったセカイが存在してる。



「うーん……花梨カリンさんに会ったことあるのは……ごまさんが初めてなんだけど……?」

花梨カリンさんの事は、七海ななみちゃんからよく聞いてるし、水槽楽部の皆さんと交流があったから無関係って事はないけど」


「……私……エルチェいないと武器創れないので……」


 ――シズクが創った武器は、『高性能過ぎたフライパン』、『ミッキーの金剛鎚アイアンロッド』、『シルフィードソード』と『デザートイーグル・異世界ハイパーロマン砲版』の4つだ!


 フライパン以外、アローナの前任の鍛冶士から教わって得た技術でエルチェが創った武器だ。

 あとはナキの公共事業で街灯設置時に街中に街灯に『精神の付与』して回ったのが一番大きい仕事だ。

 街灯自体もエルチェがセッセと創った物だ。


「優秀な相棒を持つと人は成長しないものね……」

 シズクは改めて『看板』だけの鍛冶士だと自覚する。


「んで、多分なのですが……シズクさん……」

「私達側って、時間ってあんまり意味ないじゃないですか?」

「……何て説明したらいいのかな?あやふやというか『人の過ち』を正しく導くのも私達の運命と言いますか……?」


「なんで、シズクさんと私は花梨カリンの崩壊した未来を修正出来ると想うのです」

「……この時は11月で崩壊しちゃってます」

花梨カリンさんが12月10日に進むなら、まずシズクさんが『幸村』を創る事だと想うのです」

「でないと、セカイが……うーん、何て言ったらいいのかな?」

花梨カリンさんが持つ『幸村』が矛盾だらけで、本来の力が出せてないからセカイが変になったんじゃないですか?」


 ……シズクは少し想いふける……。


 ……『本』能的に……私は……目を閉じ……この時を書かれたページを開いた……。

 ページを開いて読むとその時に停止した。

 ブックマークを挟んで閉じた事で止まったセカイ……。

 ――多分、止めた事によるリスクは支払っているだろうけど、今はこの際後回しにした。


 シズクはファバーダ・ストーリーのブックマーク部を開いて再度読んでみた。

  ――『シズクは……の……日花梨ヒカリの……刃……』――


「この先のページには何が書かれているのかな……」


 ……。


 私は『読み飛ばし』が出来なかった……。

 

 『本』能的に……本を愛するからか?


 きっと、未来が書かれている。


 ……なら……。


 でも……。


 開いたページは最初の1ページから……たったの数ページだ!

 私がこの本と出会ってからの物語分の……本の数ページ……。


 でも……私は読まずに……最後のページを開いて転移する……した?


 ――私は再び本を閉じた。


「ねえ……ナキちゃん……」

「本って、一番最初のページ……表紙を開いたら1ページじゃない」

「私は転移するときに、ペラペラっと1ページから最後のページを開いて転移するの」

「そして開いた瞬間、私は常に未来のファバーダへと辿り着いた」


「本ってね……同じように開いて、ペラペラっとめくって……」


 ――私はファバーダ・ストーリーを上下逆さにひっくり返した!


 そして……。

 私は本を左手に持って、右手でギュッとナキの右手を握った!

 きっと、この先の展開でナキちゃんの『シューティングスターダイアリー』が助けになると想ったから。


花梨カリンさん……あなたの想い……そして幸村を必ずちゃんと完成させてるから!」


 私は……花梨カリンを……七海ななみを……。


 ハッピーエンドにしてあげたい!

 中途半端な私が……きっとハッピーエンドな物語を書いてあげられなかった過去があるから!


 逆さに持った本のタイトルには……。



 ――アテレード・シャッフル――



 ……私は……異世界へ……飛ぶ!

 

 この本の『最後の1ページ』から『最初の1ページ』へと!

 

 花梨カリンの運命、エルチェの過去と向き合うために!


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