第62話 風のレリクス『セレーナ・フィール』①
シズク達はカーハツヴァイにある風のレリクスに向かうことになる。
レリクス攻略メンバーは……
前衛:シズク≪魔法剣士≫・ミカ≪ニート剣士≫・花梨≪探偵系侍≫
後衛:龍≪モンク系僧侶≫
……の4名で攻略になった。
花梨の先導で風のレリクスのあるポイントを目指す。
「……ふむ、レリクスにアプローチする方法は2通りある」
「神が通るダンジョンと人が通るダンジョンがある」
「今回は……我々が『高野山・カーハツヴァイのシード≪スフィア≫』の調整に行くためのダンジョンから行くこととする」
「神側だと……空が飛べないと攻略が出来ないんでな……科学の力を使って……は正直難しい」
「途中、ゴーレム級ガーディアンの試練を幾度が乗り越えないといけない」
花梨の説明では『2つのルート』がある。
しかし、シズク達が向かうのは『人側』からだ。
「あ!……飛べるの私だけなのね!」
――ミカは空が飛べるらしい――。
「我が天帝の力をー!!持ってすればー!!……!」
「ミカさん……中二病……直した方が良いですよ……!」
シズクは時々出すミカの中二病に飽き飽きしていたが……。
シズク少しだけ……ふと考えると……『ミカは一応、太陽神』で、飛べそうだが……。
空を飛ばれるとかなりウザそうなので精神的ダメージをミカに与え、『飛ばせない設定』とした!
「俺は!!空飛ぶんだ!……とか言ってマントを装備してジャングルジムから飛ぶとか……小学生でもしませんよ?」
飛べる設定潰しをしたシズクだ!
「むむ!!ひどい!シズク!……仕方がないな……まあ、シズクがそう言うなら、そう言うことにしとくかな……」
ミカは飛べない設定を一応受け入れた。
「……ふむ、ミカ殿が仮に飛べたとしても我々は飛べない。だが、力なき人にもやり方がある」
「今回は試練的起因が大きいから『人の道』を通る事に意義あると推測する」
「シズクと……エルチェの試練と考えた方がいい」
「今、現ポイントにおいて『カーハツヴァイ』は安定運用されていると我々代表団≪三本の矢≫『宿坊会・カーハツヴァイ警備隊・黒龍会』の総意だ」
「……一人の犠牲によって……得た安定だがな……」
花梨は重い雰囲気をだした……。
今の安定は『誰かの犠牲』によって成り立っている。
シズクは『本』能的に察する。
――犠牲者は『川崎 七海』だと。
生とか死ではないようだが……。
龍と花梨は『七海は死んだ』とは一言も言っていないからだ。
「今は安定はしている……しかし、不安定要素になる可能性が出てきた。レリクス最深部に想いの欠片が堕ちている事はやはり看過できない。よって、エルチェの想い……と仮定するが、想いを紡ぎに行くとする!」
シズクは花梨達に申し訳なさそうに……。
「ほんと……ごめんなさい……うーん……ちょっとズルしちゃって嫉妬したことがこんな大事になっちゃうなんて……」
「へへへ……うっかり!うっかり!」
シズクは頭を掻きながら照れた表情をみせた。
「……ふむ……世の中うっかりミスで世界が崩壊とかよくあることだ……」
「以後気をつけるように……」
花梨は咎めない。
「まあ、神とてうっかり神器を落とすこともある。気にすることはない」
不動 龍は咎めない。
「ウッカリさんだね!これは誠意ある謝罪のために、メイドコスとか巫女服コスとかやって上目使いで謝罪をしないといけないな!!」
ミカは煩悩まみれのゲスな表情みせシズクを追い込む!!
どこからともなく、『超絶きわっきわのメイド衣装』を取り出した!
まさにミカが持つ神の力の無駄遣い……信仰心の悪用だ!
シズクはスッと食パン屋のショーケースの上に備え付けてある『アンティークな黒電話』の受話器を上げ熊野本宮大社へ電話する。
「あ、もしもし。先日依頼されていた『賽銭ドロボー』の件ですが、容疑者を捕まえまし……」
――電話線が切れた!
振り返ると『天之尾羽張』を振り下ろしたミカが息を切らして立っていた!
「し、し、シズク!自分の罪を棚上げにし酷いわね!」
天之尾羽張で電話線を切った様子を見た花梨が驚きの表情をみせている!!
「お!おおお!おおお!!!」
花梨は陳列棚に顔をこすりつけ、瞳を輝かせて感動する!
「す、すごい!『秘技食パン切り』を陳列棚全ての食パンを正確に5枚切りにしたではないか!」
――陳列棚にズラッと並んでいるた食パン全てが5枚切りに正確にカットされた!
≪プロット帳:ミカのスキル『神技:ハイパー食パン切り』を記載した!≫
シズクはジト目をキメてミカを問い詰める。
「最近色々ありすぎてメモ取るの忘れてた……」
「ミカさん、悪い意味で想い出させてくれたよ……」
「てかさ、傷口に塩を塗るってどうなの!?」
「私の知ってる限り、かなりの信仰の対象だよね!?みんなで乗り越えていこう!的な事言えない!?……根深いわね……ニート神……」
「えええ!シズクだって私にすぐ戒めるじゃん!シズクは良くて私はダメなの!?」
ミカは腕を振りゴネる仕草でシズクに応戦する!
「不登校、賽銭ドロボー、カフェの不定期営業と中二病、卑下されるべき事柄だよ……」
「……そうね……見て見ぬフリをしている私も罪ね……」
シズクは自問自答し自らを戒める。
「……ふむ、シズクの想いは……私も判るのだ、人はどうしても流される」
「例え強き意志を持つ者でも一刻の揺らぎはあることだ」
「起こったことを咎めても何も解決しない」
「この先どう行動するかだ……」
「風のレリクス……『セレーナ・フィール』へ行こう!」
花梨はキリッとした表情をし、皆の意思を固めた。
花梨の説明では、『輪廻側≪人間側≫』からのアプローチは、『奥の院へ続く墓』から入れる。
『レリクス セレーナ・フィール』に入るには、キーアイテムを用意する必要がある。
シズク達は『キーアイテム』を手に入れるために街に出ることになった。
◇
『タラタラタラン♪タラタタタ♪』
「って!コンビニに売ってるの!?」
シズクが案内されたお店は『ファミマ カーハツヴァイ高野口店』だ!
「いや、訪問販売でも手に入るが、うちの探偵事務所は『ヤクルン・エース ライト』を定期購入していないのだ……!」
「だから、ヤクルンを人数分買いに来た」
シズクは何を言っているのか理解が出来なかった……。
レリクス最深部を目指す為に『ヤクルン』がどうして必要なのか?
コンビニの買い物カゴを手に取り、花梨は『おやつとヤクルン』、ペットボトルの水を人数分入れた。
「会計はこれで!」
花梨はスマートウォッチをレジにかざした!
決済の音が鳴り響く!!
「あの……これってどうなってるの?異世界と高野山……繋がってますよね?」
「でも、私のスマフォは電波入ってないんだけど……」
「……ふむ、私には『カーハツヴァイと高野山』を両方観測できる」
「シズクは『カーハツヴァイ』を観測してる……だろ?」
「龍!」
「はい!姐さん!」
花梨の呼びかけに舎弟の如く爽快な返事をする龍。
「龍には『あの看板』は何見える?」
「へい……?普通にファミマの看板ですが?高野山の雰囲気を壊さないようにディテールされている特注ですな」
「……付け加えるなら、LED化されていますな」
シズクは龍の解に驚いた!
「え!?私には……古木で出来た支柱に……一枚板の看板がぶら下がっているように見えるけど……」
「……ふむ、シズクには木製の看板、龍にはLEDの最新式の看板に見えているな」
「私には……『両方』見えているのだ」
「正確には、『瞬きすると交互に』見えている」
「シズク、私の瞳をよーく観察してみろ」
シズクは花梨の瞳をよーく……。
「へー!!中二病っぽい!?何これ珍しい!」
ミカが割り込んで両手で花梨の顔を挟み込んでまじまじと見た。
「うむぐうっぼうるぶいううるる!!」
花梨は何かを言っているがミカが挟んだ手のお陰で何を言っているか不明だ!
手を払いのけ花梨は再び話す。
「シズク……まあ、私の瞳をだな……」
シズクは花梨の瞳をよーく観察すると……。
綺麗な深紅色の瞳をしているが、左右で若干色が違った。
いわゆる『オッド・アイ』だ!
「ほんと……よーく見ないと判らないオッド・アイですね……」
「……うむ!私は両方のセカイを交互に観測できるシード≪精神≫を持っている」
「だから、異能の者との架け橋と高野山とカーハツヴァイの住人のいざこざや犯罪の仲介を行う探偵事務所をしている」
「ではヤクルンを手に入れたことだし……レリクス セレーナ・フィールへ行くぞ!」
シズク達はヤクルンを一人1本ずつ花梨より受け取り、『奥の院』にあるレリクスの入り口へと向かった。
――シズクはスマホの電波問題をオッド・アイに据え替えされた気がした……!
――シズクは察しておいた。





