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本の世界の鍛冶士 柊シズクの物語  作者: 川崎タイチ
港街アローナ・ビルド編<街灯ビルド>
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第41話 街灯の完成と街の成長<前編>

「おはよう!シズクちゃん」

 元気に挨拶をしたのは学級委員長の二葉ふたばだ。

「昨日は学校休んでいたけど……大丈夫?」

 二葉ふたばはズル休みしたシズクを心配してくれた。まさか『学年一位の文学少女』がズル休みしてバイクでツーリングしたなんて思わないだろう。


「……うん、ありがとうね。色々あってね……」


「おはよーシズクちゃん。昨日朝から本宮とは……攻めるね!」

 ――七海ななみにバレてた!

「う、うん、ちょっと諸事情で本宮大社まで……」


「私もシズクちゃんと丁度『おにぎりコーナ』ですれ違ったからね」

 シズクは思う……龍神から和歌山市までワープでも出来るのか!?

 七海ななみとはツーリングに一緒に行ける唯一の友達でもある。


 昨日休んだ事でクラスのみんなや先生達にまで心配された。

 当然、『学校サボってツーリングしてました』とは言えなかった。

 東高校の学年一位を3年連続キープしている現状だ。

 二年生のシズクが三年連続というのは、一年の時に長期入院して留年した。

 その為に出席日数が大幅に不足して留年となった。

 一年生で留年したために、シズクは全学年でも有名人でもある。

 現役女子高生小説であって、バイク乗りでもあるからだ。


 だから、シズクは七海ななみより1歳年上。

 ――成績はトップでも、見た目は下級生な不具合を修正できなようだ……!

 七海ななみは学年二位の成績で、学校で二番の美少女でもある。

 現、生徒会副会長の七海ななみはクラスでも人気者だ。


 意外な事に、シズクが七海ななみから関係を持ったと殆どクラスメイトは思っているが、図書室で『本の虫』だったシズクに興味を持ち、近づいてきのが七海ななみだ。


 ナキの一件の時とも同行してくれたのも七海ななみだ。

 七海ななみはナキの事には触れずそっとしてくれている。

 シズクにとって七海ななみは『天野ミカ』と同じ感じをしていた。


 色々考えているうちに学校の授業も何事も無く終わり放課後になった。

 エルチェにはスキをみて『学校の図書室』へ来るように打ち合わせをしている。


 ――いつも通り図書室に移動する。

 図書室の鍵はシズクも持っていた。

 今日はエルチェに預けている。放課後までに侵入しているはずだ。


 図書室に入ろうとすると、鍵がかかっている。

 昼休憩が終わると担当の先生が鍵を掛けるからだ。

 放課後は文芸部の部室となる為、放課後に本を借りるにはシズクが図書室に居るときだけだ。

 普通の学校なら『放課後に自習』という光景がよくあるが、そのようなシュチュエーションはドラマやアニメ等の創作の世界だけだ。

 特に東高校には特殊な事情もあった。

 学校の隣がコミュニティセンターがあるため、そちらに併設されている図書館の方が全てにおいて充実している。


 色々と条件が重なり放課後は『シズク専用』の図書室と化していた。

 唯一図書室に来るのは『水槽楽部すいそうがくぶ』だけだ。

 学園祭の為に展示用ブースとして図書室の一角を貸しているからだ。


 シズクは図書室の事を思い出しながら図書室へと向かった。

 図書室の前に到着したシズクがドアを数回叩く。


 ――『トン、トン、トトトン!』


「合言葉は……」

 エルチェが反応した……!

 シズクは合言葉を言う……!


「……いや……決めてないから!」


 スーッと図書室の扉が開いた。


「シズクの学校へ初めてきたけど、なんか簡単に侵入出来たよ?」

「裏のミカン畑の塀からヒョイッと……というか、あそこから生徒が脱走してコンビニに行ってたけど……」


 ――かなりフリーダムな学校である。


「うちの学校は田舎だからね……むしろ危険は『イノシシと側溝の溝』くらだいだね」


「では行こう!エルチェ!」


 ――シズクとエルチェはユニゾンをした。シズクは『ファバーダ・ストーリー』を取り出し、最後のページを開く!


 ――ペラペラとページをめくる途中……。


「あれ?……気のせいかな?」


 シズクは街の説明の所で……。

 違和感を感じた。


「……まあいっか!」

 気にはなったが、スルーした。


 ――最後のページを開き……。

 シズクはスッと目を閉じ本を閉じる……。

 シズクは静かに目を開けると……!


「やっぱり、工房のソファ前に転移するんだね」

 ――シズクは鍛冶工房に転移した!

 シズクとエルチェはユニゾンを解放した。


「うーん……エルチェを転移させる事が出来るのね……」

「でも、意外と面倒だね?」


 エルチェが転移するのには一度『シズクとユニゾン』する必要がある。


「シズク!そんなことより、ミッキー達!!」

 ミッキー達をレリクスに置き去りにしてきていた。


 シズク達は工房を飛び出し、『宿屋 ラパン』を目指した!

 シズクの工房からだとラパンが一番近かったからだ。


 二人は全力で走ってラパンの前にたどり着くと……!


 ――ラパンの一階のテラスでは朝食のモーニングセットを頬張る客で賑わっていた。店主兼メインシェフであるバニラが居なければ店は閉まっているだろうが……?


 ラパンに入ると……!


「おおおお!シズクとエルチェじゃない!生きていたのね!」


 ――バニラは飛んで喜んだ!!

 厨房からバニラがシズク達の元へ飛んできて語り出す。


「ホント……レリクスの奥で迷子とか……」


「……まあよくあることだけど……鍛冶士が生け贄なんて……」

 ……ボソッとシズク達に聞こえないように呟いた……!


「ええ!何て今言ったの?バニラ!?」

 エルチェは聞き逃さなかった!


 確か、同じ展開が『アルハンブラの浄水釜』であったことを……。

 シズクはジト目を決め……!

「……まさか……アルハンブラの時もだけど……」

「レリクス奥で『鍛冶士』がトラブルに巻き込まれるって……」

 シズクは真相に近づこうとしたとき……!


「あらやだ?何のことかしら?」

 女らしさを魅せるバニラ……筋骨隆々ではあるが……。

 

 バニラはしどろもどろし答える。

「そ、そんなこと無いわ!可愛いシズクちゃんを生贄になんて……!」

 バニラは聞こえない程の小声で……。

「……いつの世も可愛い無垢な少女を捧げるモノよ……!」


 シズクは満面に笑みで答える。

「次のレリクス最深部への生贄は『バニラさん』にしましょう!」

「きっと純粋で最深部のスフィアが光り輝くこと間違いないわ!」

 バニラはポッと顔を赤くし……。

「あら!やだ!私、女子には興味ないわよ?」


 ――レリクス最深部にいるのは女子限定なのだろうか?

 火のレリクス最深部『カグツチ』、水のレリクス最深部『ナキサワサメ』共に女性の神だだった。

シズクは『脳的』に残る『風』と『土』のレリクス最深部にも『女性の神』が存在するのかと推測した。


 ご都合主義で「ミッキー達」が助かったのか?とも考えていたが……。


「アルハンブラの時もそうだけど、『鍛冶士』を生贄に捧げるの?」

「実際に行った私が思うのだけど、『話合い』で解決出来そうなんだけど……」

 しかし、まだ『火のレリクス・カグツチ』との問題は解決してない。


「だけどシズクちゃん、何とか乗り越えてるんじゃない?」

「無能な鍛冶士なら『アルハンブラ』で死んでるわ」

「火のレリクスもちゃと戻って来られているじゃない?」

 バニラはシズクを褒めたが……。


「……なんか……心配した私が……なんとも言えない……」

 シズクはモヤモヤした気持ちになった。

「でも……ローズさんもレリクス行かれるのですよね?」

「彼女も『風を得意とする鍛冶士』ですよね?」


 シズクは元アルハンブラの住人であるバニラに質問した。


「そうね……彼女も相当な腕を持つ『鍛冶士』よ。でも、風の属性しか扱えないわ」

「だから、火や水のレリクスは基本的に行かないわ」


「……彼女が攻略したレリクスは『カーハツヴァイ』だけだな……」


 ――何故ツヴァイなのか?


「あ!」

 エルチェは思い出した……大切な何かを思いだした!

「ツヴァイどうして思い出せなかったんだろ……」

「シズク!風のレリクスの『カーハツヴァイ』はホントにヤバいからね!」

 エルチェがもの凄く興奮をしている!


「火のレリクスは後回しで良いから、ゼッタイ『風のレリクス』の『精霊』と契約しよう!!」

 普段クールな方のエルチェがいつになく熱弁をする。

「私の生みの親が『風のレリクス』のあるじなの!」


 ――エルチェのはしゃぎ様にシズクは違和感を感じる。

 エルチェは言った、『生みの親』だと。

 ドルフィードリーミのエルチェは『シズクが生みの親』だからだ。

 判っていた事だが、『ドルフィードリーミのエルチェ』と『ファバーダのエルチェ』の生みの親が違っていることを。


 ――だが、『魂』はどうるなる?


 ――シズクは思い出す……。

『……変わってる……心が二つ・・ある!シズク!何この子!?』

 っと、ミカが言っていたことを。


 エルチェの真相が『カーハツヴァイ』にある。

 シズクは『風のレリクス』についてバニラに訪ねる。

「風のレリクスって、何処にあるのですか?……行ってみたい!」


「ああ、風のレリクスなら、あっちから来るよ」

「アルハンブラ同様、動く都市『風のカーハツヴァイ』だからな。こちらから行くのははっきり言って無理だ」


「ここは港町アローナ、動く都市は必ずアローナに立ち寄るわ」

「だから、焦らず待っていれば、そのうち来るわ」


「それよりも、街灯よ!火のスフィアは必要量を取り揃えられたわ!」

「シズクちゃん忙しくなるわよ!」


 シズクは上手い具合に問題をすり替えられた気がするが、『バニラ達を放置した』裏目もあった為、今回は話に乗っかっておく事にした。シズクが乗っていた『ミアス』をミッキー達がアローナに戻してくれていた苦労など色々あっただろう。


「それでバニラさん、『火のスフィア』は何処にあるのです?」

 シズクは回収した……正確にはシズクが無慈悲に『ぶっコロ』した『レッドウルフ達』の残骸である。

 カグツチの怒りで大炎上中だ。

 カグツチはミカが何とかしてくれる手はずだ。


「火のスフィアだがな……ミッキーが預かっているはずよ?」

 街灯用のスフィアを受け取りにシズク達は『ギルド』に行くことにした。


 『ミッキーか……』っとシズクは思った……!

 ナキ曰く、ミッキーのピンハネはかなり酷いと。

 今はナキが先頭に立っているから問題は起きなさそうだが……。

 急ぎ『火のスフィア』をミッキーから受け取ることにした。


 ――の前に、『朝食の紅茶とサンドイッチ』をラパンで食べた。


 ファバーダでは丁度朝だが、シズクとエルチェは『夕方』から転移したので丁度小腹が空いていた。サンドイッチ代は『ヒクイドリの羽』の御礼でサービスして貰えた。

 ――シズクは今まで一度も『宿屋ラパン』で支払いをしてなかったが……。

 ラパンだけなく、『アローナの街』で支払いを要求されたことは無い。

 シズク自身考えたら、『財布』を持っていないからである。


 ――シズクは街灯の完成に力を入れることにした!

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